Aではない君と

薬丸岳著 2015年講談社刊行
初出「週刊現代」(2014年〜2015年)、書き下ろし
少年犯罪に関する物語で薬丸岳のライフワークのような作品。
自分の身に置き換えると、加害者となった自分の子供を信じ続けられるのか、とても心配。
「心とからだと、どちらを殺したほうが悪いの」と聞かれた場合、どう応えるだろう。

ぼくは優斗だけじゃなくて、優斗を大切にしてた人たちの心も殺したんだね…

からだを殺すことは被害者の家族の心を殺すことになるから、からだを殺す方が悪いと言い切れるか。
とても悩む。

翼のことを嫌いになんかならない


自分にできることは、どうしようもなくいとおしい子に、付き添うことしかないのではないか。
世間の誰もが少年Aとして翼を憎んだとしても、自分だけは翼を愛し続けるしかない。

罪を犯した子供に罪を犯したことは厳しく叱り、
厳しく叱った後は誰よりも愛し続けることが必要だと理解は出来るが、
それが出来るかどうかはとても心配である。
もっともっと考えないといけない。
そう考えさせられる、そんな作品である。

Aではない君と

Aではない君と

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