悪党

薬丸岳著 2009年角川書店刊行
初出「野生時代」(2007年〜2009年)

  • プロローグ
  • 第一章 悪党
  • 第ニ章 復讐
  • 第三章 形見
  • 第四章 盲目
  • 第五章 慟哭
  • 第六章 帰郷
  • 第七章 今際
  • エピローグ

犯罪被害者や被害者家族が加害者を赦すことは出来ないだろう。
ただ、被害者や被害者家族がそこに留まっていることは出来ないし、
そこに留まってしまい不幸になることはダメであることは分かる。
自分たちより幸せになることは赦せないけど、
不幸になることを願うだけではそこに留まっていることになるような気がする。
でもどうしたら良いのか、どうなれば赦すことはできなくても癒やされるのかは分からない。

あの男を殺してやりたい。
いや、あの男の魂まで殺してやりたい。

というのもよく分かる。

赦すことなどできないだろう。
悪党はそのことを自覚しているんだ。
だから、赦してもらおうなどという七面倒臭いことは考えないし求めないのさ。
だけど、悪党は自分が奪った分だけ大切な何かを失ってしまうこともちゃんとわかっている。
それでも悪いことをしてしまうのが悪党なんだよ

ということなのか。
とても難しい。

悪党 (角川文庫)

悪党 (角川文庫)

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