ブラック・ドッグ

葉真中顕著 2016年講談社刊行
初出「小説現代」(2015年〜2016年)

  • 【プロローグ】熊BEAR
  • 【Ⅰ】犬DOG
  • 【Ⅱ】獣BEAST
  • 【Ⅲ】人HUMANKIND
  • 【エピローグ】鳥BIRD

ロスト・ケア』などで社会的問題を題材にした物語で問題提起している葉真中顕の最新作。
今回のテーマは差別についてか。
種差別(スピーシズム)というテーマとともに社会的マイノリティへの差別についても記述している。
さらに今回はパニック&スプラッターホラー風味で表現していて、とてもグロい描写の連発である。
これだけ強烈に記述するのが売り上げ的にどう寄与しているか気になるところである。
(これだけグロいと人には勧められないなぁ...)
犬と人間の関わり合いについてタメになった。

同じ環境で淘汰圧を受けた生物種は、遺伝的な距離に拘わらず同じ特性を身につけることがある。これを収斂進化という。

白目のこととか本当なのかな...
社会的マイノリティについては今現在の閉塞感を打破するにはこういう人たちの力が必要な気がする。
既得権益を打破する力が欲しいところではあるが。

彼の存在を〈最後の審判〉の一部とすればいいと思ったから。
彼の〈野生の脳〉には私に対抗するだけの能力があるかもしれない。
でもそれを発揮させるためには、短時間でヒトの社会が彼を認め、居場所を提供する必要がある。
あなたたちが、私や息子たちにしてくれたようにね。
ヒトが総体としてそんなふうに理性を働かせることができるのなら、
そう遠くない未来に種差別スピーシズムは克服されるはずでしょう?

ということである。
ペットは人間のおもちゃではないのである。

ブラック・ドッグ

ブラック・ドッグ

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