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あわわ

2018-11-02

世界で一番のクリスマス


石井光太2017年文藝春秋刊行
初出「オール讀物」(2014年2017年)

風俗関連で働く人たちの物語。
吉原浄土」は少し違うか。
こういうビジネスが多く見えないところで静かに深く進んでいるんだろうなと思う。
自分が巻き込まれないとも限らないのでとても怖い。
「月夜の群飛」の“ドブネズミ”はどうにもここから抜け出すことはないのだろうか。
病気だけは撒き散らさないで欲しいと思うけど相手も相手なんだよな。
知らない世界の話が多くとても興味深かった。

世界で一番のクリスマス

世界で一番のクリスマス

@2018年@図書館

2018-07-31

恋愛仮免中

2017年文春文庫刊行

初出「オール讀物」「別冊文藝春秋」(2015年2016年)など
窪美澄作品は読んだことがある。
全作品ともすべて心に沁み入る。
「あなたが大好き」も「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」も読み終わるとジーンとなる。

一緒に見なくちゃ、人類が火星に降り立つところを。
一緒に行かなくちゃ、宇宙に。
こちら島崎、応答願います。
沢野、応答願います。
応答願います。

このシーンを想像すると涙が浮かんでしまうし。
自分に置き換えると耐えられるか心配になる。
タイトルの『恋愛仮免中』に合うのは奥田英朗作品、窪美澄作品だけかもしれないけど。

@2017年@図書館

2018-04-07

増山超能力師大戦争

誉田哲也著 2017年文藝春秋刊行
初出「オール讀物」(2016年2017年)
増山超能力師事務所』の続編。
やっと続編が出た。今回は長編。
しかもどうやら超能力を良くない方向に使おうとする連中と
手段を選ばずに守ろうとする組織と
それに巻き込まれる超能力師の事件でとても面白い。
「超能力で相手を催眠状態に陥れる、自在に暗示を掛けて操る」
というのは怖いし無敵になるし
本当に超能力戦争になってしまいそう。
続編もありそうだしとても楽しみ。
アリスちゃんはどう成長していくのか...
これもしっかりと描いてもらわないと悶々としてしまいそう。

増山超能力師大戦争

増山超能力師大戦争

@2017年@図書館

2017-03-06

あしたの君へ

柚月裕子著 2016年文藝春秋刊行
初出誌「オール讀物」(2014年2015年)

  • 背負う者
  • 抱かれる者
  • 縋る者
  • 責める者
  • 迷う者

家裁調査官(補)のお仕事&成長物語。
とても読みやすく読後感も良い。
しかし、書かれている内容は身近にありそうな事象であり、
子供が絡んでくるととても胸が痛くなる。
「背負う者」の子供のように自分が子供に何か重いものを背負わせてないか心配になる。

人間は機械じゃない。
完璧な人間なんていないよ。
その人間の欠けている部分を認めるところから、
相手への理解がはじまるんじゃないかな

という言葉がとても印象的。
「迷う者」に登場する子供の叫びがとても胸が痛い。

子供にとっては、本当の親も嘘の親もない。
自分を愛してくれる存在が親なのだ。
子供がこの世に生まれる前の親の事情など、本人には関係ない。
大人の事情など、親の身勝手でしかないのだ。

まったくそのとおり。
大人の身勝手で子供を振り回すことないようにしたい。
とても良かった。

あしたの君へ

あしたの君へ

@2016年@図書館

2016-11-30

奥様はクレイジーフルーツ

柚木麻子著 2016年文藝春秋刊行
初出「オール讀物」(2011年〜2014年)

  • 西瓜のわれめ
  • 蜜柑のしぶき
  • 苺につめあと
  • グレープフルーツをねじふせて
  • ライムで半裸
  • 林檎をこすれば
  • 柚子の火あそび
  • ピオーネで眠れない
  • 桃の種はしゃぶるしかない
  • 柿に歯のあと
  • メロンで湯あたり
  • よそゆきマンゴー

セックスレスの物語。
分かる人にはとてもよく分かるし、分からない人にはなんじゃこりゃという感じかもしれない。
夫婦で居ることをやめなければ薄い膜越しかもしれないがお互いの肌の温かさを感じることが出来るかもしれない。
そして道具を利用しても良いのである。

奥様はクレイジーフルーツ

奥様はクレイジーフルーツ

@2016年@図書館

2016-11-28

ポーラースター ゲバラ覚醒

海堂尊著 2016年文藝春秋刊行
初出誌「オール讀物」「野生時代」(2015年2016年)
チェ・ゲバラ4部作の第一部。
青春編で医学生のゲバラが南米旅行をしてブエノスアイレスへ帰ってくるまでの物語。
サッカー場にはゲバラの弾幕があったりするから、ゲバラの名前を聞いたことがある。
でも時代背景もよく知らないし、南米の地理関係、国の対立関係もよく分からないので、
読むスピードが一向に上がらない。
旅行記のところは面白いのでそれなりに頭に入れて、
政治的な部分は飛ばし気味に読んだ。
四部作とのことだけど次を読むかはなかなか悩む。

あたしがしたのは慈善じゃなくて援助なの。
慈善は金持ちの気前のいい行為で、受けた人には屈辱が残るけど、
援助は社会的な不公平を改めて励ましになるの。

という言葉が印象に残った。

ポーラースター ゲバラ覚醒

ポーラースター ゲバラ覚醒

@2016年@図書館

2016-09-16

ままならないから私とあなた

朝井リョウ著 2016年文藝春秋刊行
初出「オール讀物」(2015年)、「文學界」(2016年)

  • レンタル世界
  • ままならないから私とあなた

両方ともとても良い。
「レンタル世界」については確かにこれを読むまでは自分で人間関係を築けよと思っていたけど、

確かにレンタル業は本物の人間関係じゃないよ。
でも、誰かをレンタルしたことによって、別の誰かとやっと築き始めた本物の人間関係の芽を守れるかもしれないんだよ。

という部分を読んでこういう関係でも今を切り抜けることで未来が拓けるかもと思ってきた。
そして表題作「ままならないから私とあなた」についてはとても胸に突き刺さる。
二人とも両極端ではあるけど、それぞれが正論なのだと思う。
現在、この両極端を結びつけるような仕事をしているわけだが、
もっともっと自分の役割を果たさないといけないと思った。

あなたの今までのやり方は間違ってますよ、とか、あなたのこれまでの努力は無駄だったんですよ、とか、そういうことを言ってるわけじゃないんだよ。ただ、こうすれば今までよりも簡単にできますよ、今後はこういう方法も使えますよってことを教えてるだけ。なのに、すっごく嫌がられるときがあるんだよね。そういう人って、今までのやり方が正しい、って信じて疑ってないの

こういう風に頑張ってきたつもりがいつの間にかこういう風になってしまっているような気がする。
最後の二人の怒涛の激論は何度でも読み返して自分に対して鞭打たないといけない。
この2編より相手を否定するのではなく受け入れた上ですり合わせる力をもっと持ちたいとも思った。
とても良い作品。

ままならないから私とあなた

ままならないから私とあなた

@2016年@図書館