33. ドラゴンクエストⅧ

ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君

ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君

新生した往年の名作

嬉しい意外性をもったタイトル。人気シリーズの最新作で、やり終えた人多いと思うんですが、いや〜楽しかった。
なにが意外かというと、映画に例えていえば「『ロッキー5』が一番面白い!」というようなアリエナイこと。新しい技のためか、それとも往年の練られた技か…。続編モノでいったいなんでこんなにハマッタんだろう。
内容紹介は、上の画像をクリックしてください。
補足すると、まず「トゥーンシェーディング」技術による、アニメ風グラフィック。これは、素材は3DCGだけどアウトラインがあってイラスト調に表示されてること。これがメチャクチャ親しみやすくて、鳥山明の世界にどっぷり浸れてイイ感じ。
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次に、データは3Dなので、広大なマップの探索が楽しめます。「(町とか)時間かかってヤダ」という時もありますが、「アニメ調だけどリアル」感をかもしている。
さらにシステム面では、バトルで使う「テンション」等ありますが、思うに、そうした新しい演出がRPGのオーソドックスな楽しみにしっかりなじんでるんですね。例えば「合成」は、次の町での買い物の楽しみを邪魔しない。例えば「スキル」は、パーティ(勇者、戦士、魔法使い、神官(騎士))の役割分担を大きく逸脱はしない。
ともすれば「よくあるただのRPG?」という疑念もありそうですが、そうではない。たぶん、高い高い次元のレベルでバランスとれてるんだと思います。
このへん、これまでに蓄積されたデータ、なにか練られたものが生かされてるのかなと推測したりもするんですが。シナリオも同様です。王道。お姫さまを救うおとぎ話だとして、なぜか夢中にさせられる(いい歳こいて)。ゲームってこれでいいよね。妙な自己分析話とかはもう古いかも。
本作は、新しい技術の魅力を充分に発揮しつつ、熟練されたバランスに知らず酔わされる、という二面性をもったゲームです。
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なお、エムリンクmLink更新の言い訳。本作にハマリ、返す刀でリメイク『Ⅴ』もやりこんでますた。突如襲うドラクエブーム!アホですね〜、はっはっ。……。(..)

ゼルダリンク【ややネタバレ】

本作の新しい技術、3Dを全面採用した「トゥーンシェード」。ネットで言われましたが、どうしてもゼルダを思い出します。直接的には、『風のタクト』。
ゼルダの伝説 風のタクト
実は、本作プレイして3Dゼルダシリーズの影響を他にも随分感じました。絵柄に限らず、狙ってる雰囲気が似てるというか。。気ままにあげていきます。ドラクエの井戸の中とゼルダの地下(岩の下など)、序盤のBGM(トラペッタ)、3D平原での馬のいななき、モリーチンクル(声の効果音&衣装)など。比べてプレイすれば他も確認できると思います。
ゼルダの伝説 時のオカリナ
3DRPGでは先駆けのゼルダの影響というのは避けられない気もしますが、あえて狙ってるというか、ゼルダ好きなスタッフが作ってるような、そんな不思議な印象があります。オマージュというには間隔短い気もするしな。
僕はゼルダファンなので次のように考えます。ゼルダが開拓した表現法が、ドラクエにのっかったことで、3Dゲーム表現の真のスタンダードになったのかなぁと。パクリ論争するより誇らしいしね。
ちなみに、逆にドラクエでは全く採用されなかったゼルダ的3D要素もあります。それは3次元ダンジョンでの謎解き(視界をまわして上方の入口探したり、3D迷路のブロック移動したり)。あれ、難しすぎるもんな(笑)。

メッセージ【ネタバレ】

物語の本筋は、序盤の「呪い」の謎や近い人々の死でひっぱられるけど、終わってみるとあたりさわりのないゲームっぽいお話かもしれません。エスコートストーリー、姫を救って大団円の話なんだと思う。
なんだけど、一本の筋を王道物語でみせながら、サイドストーリー、エンディング後のストーリーあたりもしっかりしてたので浸れました。このあたりも、メインは基本的にして、周囲に遊びがあるという構成。
で、サブイベントに意外とメッセージ性があるのかもと思ったりしたんで、最後にアスカンタ城のイベントとりあげます。ここでは、本筋で必要なアイテム入手あるけど、サブなのに王様のイベントムービーがやけに長い。
お話は、最愛のお妃を亡くした王様が、いつまでも涙して悲嘆に暮れているところから始まります。状況を好転させるために、主人公達の働きによって月の魔法がお城にかけられます。魔法は、モノ(例えば靴)に染み込んだ(人の)思い出が再現されるというもの。玉間のカーペットや玉座や城の屋上で、在りし日のお妃が、若い(未熟な)王様をいつも励まし愛しんでくれたこと。そして彼女の言葉で、前に進むことができたかつての王様の姿。これらがビデオ再生のようにあらわになります。目の当たりにする今の王様は、徐々に力を取り戻し、再び前向きになり、王政がよみがえるのです。
これはいわば、過去の思い出を励みとして未来へ歩みを進めるといった小話です。どこにでも思い出はひそみ、魔法で蘇えるというのはロマンティックですが、メッセージにはなにか老成されたものを感じたりもします。たとえ思い出話でも、聞いてるの時の感情はライブで、それは未来を動かせるもの、というか。
なお、似たようなモチーフが『Ⅴ』(←今やってるんで(笑))にもあって、神の塔で「たましいの記憶」というのがチラっとでました。
人それぞれでしょうが、僕はこんなとこになんだか「ドラクエらしさ」を感じて、嬉しくなっちゃうんですよね。