生と死の間をつなぐ風景

風の丘葬祭場もぼくたち風景をつくる仕事をするものにとって聖地のようなものだった。昔、われわれは1日3回ニューヨークのセントラルパークに向かってお祈りを捧げなくてはいけないと言われていたことがあって、結局お祈りを捧げることはしてこなかったから、今もこうやってしょぼっとしているのだけれど、風の丘葬祭場もちょっとそれに準ずる場所のような所でした。それで今回ようやく訪れることができて思ったのは、死者とのお別れの儀式を終えた黒い喪服姿の参列者たちがこのお庭に出てどんな心持ちで歩くのだろうと言うことで、多分彼らのこころは黒ではなくて、緑に染まるのだろうなぁということだった。もしそうだとしたら、この仕事は優れたものだったのであろう。1997年にできた風の丘葬祭場に続くプロジェクトが僕が知る限り生まれていないのはどうしてなんだろう。高齢化社会と言われて久しいのに、生と死の間をつなぐ風景をつくることこそ、ぼくたちの仕事だと思うのだけれど。