大きな木々の下から始まった

6月17日、史が嫁いだ。梅雨空の中、時々日が射すお天気だった。新郎のお母様がてるてる坊主を作ってくださっていたのだった。それがうれしかった。お祝いにしようとこの2ヶ月ピアノの猛練習をしていた。初めて人前で華麗に弾くつもりだった。散々だった。しどろもどろだった。熊谷 守一の「へたも絵のうち」を信じているから、「へたも音楽のうち」だと思っていた。まったく違うのだった。それ以外は万事おだやかで笑いのたえない結婚式だった。普段とても父に厳しい史が、にこにこと笑っていてくれていた、これを機会にもっともっと練習しなきゃだよと。音楽を甘く見ていた、そのことを嫌という程思い知った一日だった。会場の砧公園は1941年、戦時体制に備えて防空緑地として位置付けられたそんな歴史を持っている。若い二人の新しい人生が穏やかな公園の大きな木々の下から始まったことがとてもうれしかった。
https://www.youtube.com/watch?v=FsZMyTGmNeI