山麓の空気はきらきらとまぶしかったし

むかし八ヶ岳山麓の風景が大好きで、日本で一番好きなところだと思っていた頃があった。で、山麓清里清泉寮で皿洗いや乗馬馬の世話のアルバイトをしていた。田舎の大学の大学生だった僕には、透明な山麓の空気はきらきらとまぶしかったし、そこに集まる学生たちはなんとも屈託がなく自由で、何もかもが違った世界だった。今日そんな清里から何十年ぶりかの友人が訪れてくれて、いろんなこと思い出していた。当時、いちばん驚いたのは、東京の学生たちははっぴーえんど・風をあつめてなんていう、こんなおしゃれな歌を聴いたり歌ったりしているんだということ。寒い朝、朝早く皿洗いに出かけなくてはならないのに、毎晩のように遅くまでのんだくれていたから、でも寝坊しないように、彼らが目覚まし時計代わりに鳴らすのはhere comes the sunで 、そんなの聞きながら寒い朝に飛び出していくんだと知ってひどく驚いた。そんなショックは確実に僕の人生の指針をいい意味でも悪い意味でも変えてくれた。でも数十年経った今、あの皿洗いと馬のひずめ洗いの仕事はとっても貴重なものとして輝いている。
https://www.youtube.com/watch?v=PfFEPtJE0D4
https://www.youtube.com/watch?v=nlwnCMSZteI