インターセックスについてのよくある誤解

各地のブログで見かけた誤解について。


インターセックスは男性器と女性器をあわせもっている(両性具有)』 あわせもってません。どちらか一方に完全に分化していないか、あるいは内性器と外性器がマッチしないといった具合に混ざっているだけです。


インターセックスの人の性染色体は XX でも XY でもない』 内性器や外性器の「異常」をもって生まれる人の大半は、XX もしくは XY の性染色体をもっています。 XXY などの性染色体「異常」をもってうまれる人の一部には内性器や外性器の「異常」がみられますが、必ずしも直結しているわけではありません。


インターセックスは「男でも女でもない性」である』 そんな題名の本もありますが、大多数のインターセックスの当事者は普通の男性もしくは女性として生活しています。「どちらでもない性」として生きたいと思う人も少数いますが、それはインターセックスでない人についても同じことが言えます。


インターセックスの人の多くは間違った性別を与えられて苦しんでいる』 それはトランスジェンダートランスセクシュアル性同一性障害インターセックスの当事者の大半は、育てられた性別で普通に暮らしています。もちろん例外もありますが、それはインターセックスでない人の中に性同一性障害の人がいるのと同じ。インターセックスの運動は性別決定にともなう性器形成手術による弊害を批判してきましたが、性別決定そのものを否定しているわけではありません。


『生物学的に言ってヒトの性別は2つではない』 ヒトに性別がいくつあるかというのは自然を解釈して人間が勝手に決めたコトなので、「2つである」という説も「5つある」という説もどちらも「可能な解釈の1つ」という意味では等価です。が、「生物学」というディシプリンにおいては「ヒトの性別は2つ」とされているので、「生物学的に」言うなら「ヒトの性別は2つではない」というのは間違いです。


『セクシュアル・マイノリティの団体はインターセックスを含めるべきだ』 インターセックスの当事者団体は含めて欲しいとは思っていません。協力関係を持つことは賛成だけどね。


性同一性障害インターセックスの一種である』 そのように法律上解釈するべきではないか、というのがミルトン・ダイアモンド氏の見解ですが、医学ではそのような認識にはなっていません。また、インターセックスという言葉自体、「性分化・発達障害」という名前に変更されるようです。これからインターセックスについて分析するなら、ジェンダークィア理論より障害理論の方が役に立つでしょう。


インターセックスはISと略される』 そんなコミックがありますが、もともとトランスジェンダーの人たちがTS(トランスセクシュアル)、TG(トランスジェンダー)、CD(クロスドレッサー)などと並んで勝手に略しただけあって、インターセックスの当事者が言い出したことじゃないです。まぁいいけど。


インターセックス萌え〜』 空想や同人本で萌えるのは大いに結構ですが、あなたが萌えている対象(「プリキュアに魔法がかけられてペニスが生えてくる」みたいな?)は多分実際のインターセックスとは全然違うモノです。現実は違うと分かった上で「ふたなりもの」読んで妄想に浸る分には OK です。


『道に迷ったインターセックスの人は、地図を読めず人に道を聞くこともできない』 トンデモ本の読み過ぎです。