4月〜6月のGDPで消費増税を決めるのではなかったんか。

デフレと超円高 (講談社現代新書)

デフレと超円高 (講談社現代新書)

麻生大臣と甘利大臣が7月の数字を持ちだして消費増税の材料としています。

麻生財務相「消費税上げに良い方向」と好感 失業率や物価指数など改善
2013.8.30 11:50 産経ニュース
 麻生太郎財務相は30日、同日発表された7月の全国消費者物価指数完全失業率など主要経済指標で改善が相次いだことに対し、「景気が上昇しつつあることを意味し、いろいろな意味で消費税を上げるに当たって影響する数字だ」と述べ、消費税率の引き上げを判断する材料となるとの見解を示した。

甘利経済再生相、消費増税の環境整備に「プラス」 7月の主要経済指標改善
2013.8.30 11:18 産経ニュース
 甘利明経済再生担当相は30日の記者会見で、この日発表された7月の全国消費者物価指数完全失業率、有効求人倍率などの主要経済指標が改善していることで、消費税率引き上げの環境整備が「プラスの方向に進んでいる」と述べた。経済環境の好転が主要経済指標からも裏付けられており、来年4月に予定通り引き上げるべきという考えを示した形だ。

ずるずると我田引水していますなぁ。
増税派の言い分を聞いていると、不利な材料は無視して、有利な材料が出てくるまで延々と「増税増税」言いまくっているだけですね。
阿呆陀羅経を聞かされている気分です。

業率が下がったと言っても…

失業率が3.8%に下がったのはアベノミクスの成果として喜ばしいことですが、決して良い数字ではありません。
日本の失業率は1995年に3%台に突入する前はずっと2%台です。1995年はGDPデフレーターでみてデフレに陥ったあたりの時期です。
日本の人口・就業者・失業率の推移 - 世界経済のネタ帳
デフレという異常な経済状況が終わったと言えるのは、失業率が3%を切ったときということになりますから、まだまだ道のりは遠いです。

価もまだまだ

物価が上がったのも良い傾向ですが、上がったのはCPIとコアCPIであって、コアコアCPIはまだ下がっています。
CPIとコアCPIにはエネルギー価格が含まれているので、金融政策以外の要因、たとえば原油の値上がりなどによって上昇してしまいますから、日本経済の活発化をしめす上昇とは言い難いです。
デフレからの脱却を判断するには、以前政府が発表したように、コアコアCPIで見るのが妥当でしょう。
【朗報】コアコアCPIで判断へ - Maddercloud
ただ、日銀はコアCPIでみると言っており、ここにも裏切りの香りが漂っています。
2015年度コアCPI見通しは前年比+1.9%=日銀
私はインフレ目標政策を支持していますが、それでも名目GDP成長率をサブ指標として常にみていくべきだろうと思います。
世間では「賃金の増加が大切だ」とさかんに言っていますが、賃金の原資は名目GDPです。
インフレ率だけを見て判断するのではなく、私たちの賃金の原資が増えているかどうかを観察するべきですね。
岩田副総裁は「デフレと超円高」において、「名目GDP成長率を4〜5%に保つことを念頭において3%のインフレ目標を設定するべきだ」と主張していましたから、単純に計算すると2%インフレ目標なら名目GDP成長率を3〜4%に保つようでなければならないでしょう。ただ、名目3%成長では薄板一枚したはすぐにデフレですから、相応しくありません。
やはり4%成長が必須だと思います。

点検会合が利権取引場になっておる

イカリ消毒 シロアリハンター 6個入

イカリ消毒 シロアリハンター 6個入

醜いのう。
実に醜い爺さんどもです。
消費増税付和雷同する代わりに財政でカネを恵んでもらおうという魂胆。
官から特権を付与してもらって旨い飯を喰らいたいという、昔ながらのお上依存精神構造であり、社会のことなど何も考えていないようです。

点検会合5回目、予定通り増税容認が大勢
2013年 08月 29日 20:29
[東京 29日 ロイター]
この日の会合のテーマは「地方・地方経済」で、出席者からは消費増税自体はやむを得ないが、地域の隅々までアベノミクスの効果が行きわたるよう、経営がぜい弱な中小企業の資金供給や観光を含む地方振興対策など、政策努力で後押しして欲しいという意見が相次いだ。

地域の隅々までアベノミクスの効果を行きわたらせたい、経営が脆弱で不安、というのなら、消費増税を延期すればいいだけではありませんか。
財政再建のために消費増税」と言っておきながら、更に財政支出を増やしてどうするのですか。

ソをついてまで政府のカネがほしい人たち

「地方景気に配慮を」 消費増税の点検会合4日目
2013/8/29 22:48 日本経済新聞
 消費税率を引き上げた場合の価格転嫁の難しさを訴える声も多かった。農業団体や漁業団体の代表者は、市場で売値が決まる水産物増税を価格転嫁しにくいとして、転嫁対策の徹底や農水産物への軽減税率の導入を求めた。全国農業組合中央会(JA全中)の万歳章会長は、農産物や食料品への増税は国民生活に影響が大きいとして、15年10月に消費税率が10%に上がる段階では「確実に軽減税率を導入すべきだ」と述べた。

コメは市場で売値を決めてないでしょう。
税金を投入して減反政策を行い、価格のつり上げをやっているじゃないですか。
漁業も「燃料代よこせ」とか政府に要求しているわけで、価格転嫁以前にコストを自前で調達できていないですよね。
独立して経営を成り立たせられない人たちがこぞって政府のカネをあてにして群がってくるからこそ、官の権力も増大するわけで。
潰れそうな産業をとにかく救済するという発想から脱却しない限り、官と民の腐敗したつながりが齎す財政危機は収まらないでしょう。
社会保障、土建、農水業、輸出産業、マスコミ、と、どいつもこいつも官依存=税金依存で社会を食いつぶそうとしています。

「財政再建」などと言いながら、予算規模がどんどん増大

支出をガンガン増やしながら、どうやって「財政再建」するのか全くわかりませんが、自民党のお年寄りたちの脳内はどうなっているのでしょう。
「続々なって族議員」と、五七調で絶好調です。

「続々なって」族議員 自民ベテランが発言
2013年8月30日 朝刊 東京新聞
 自民党は二十九日、二〇一四年度予算の各省庁の概算要求をめぐる議論を終えた。党側から相次いだ各省庁への増額要求が反映され、概算要求額は過去最大規模になる見通し。政権与党に戻り、かつて特定の業界や団体の利益を代弁して政官業癒着の温床になった族議員の復活が指摘される中、ベテランからは族議員化を勧める発言も出ている。

財政政策でガツガツ利権を貪りながら、「財政再建のために消費増税」とか何の冗談だよ、と思いますがね。
自民党のお爺さん方が議員を辞めてくれたら自然と財政再建できるような気がしてきました。

年度 予算(補正こみ) 内閣
2004 86兆878,703,384円 第二次小泉内閣
2005 86兆704,827,493円 第三次小泉内閣
2006 83兆458,343,026円 第一次安倍内閣
2007 83兆804,191,294円 福田内閣
2008 88兆911,212,716円 麻生内閣
2009 102兆558,155,543円 鳩山内閣
2010 96兆728,392,685円 菅内閣
2011 107兆510,466,856円 野田内閣
2012 100兆536,648,944円 第二次安倍内閣

リーマン・ショック東日本大震災があったとはいえ、予算を激増させているのが、麻生・鳩山・野田内閣であることがわかります。
一方、安倍内閣では抑える努力をしていることが読み取れます。
民主党政権での浪費ぶりは、彼らが野党時代に言っていたこととは全く矛盾していますが、バカだから仕方ないでしょう。
一方、消費増税の旗振り役を買って出ている麻生太郎大臣はもともと金融政策に否定的な人物ですが、財政政策には依存する傾向があったことがわかります。
それでいながら、「財政再建」を理由に増税しようとし、自民党内で族議員の増殖を目論む勢力に対して一言も無いという態度は厳しく批判されるべきですね。
ただ、麻生・鳩山・野田がこれだけ濫費していながら日本の経済がよくならなかったことを鑑みると、「変動相場制の下では財政政策は効かない」という教えの正しさが実感できます。
麻生・鳩山・野田の時代に財政でバラマキをやっていた時代と、金融政策中心のアベノミクスで素早い効果がでている現状とを比較してみると、「経済のために財政を活用」という考え方は放棄する方が財政再建につながることがわかります。
2013年の当初予算は93兆6115億円で、膨張をどの程度抑えられるか注視したいところですが、2014年の概算要求は99兆円などと言われております。補正を入れたら100兆円を超えることはまず間違いありませんね。
世界的経済危機や大震災を勘定に入れる必要のない状況でこんな数字を出してくる人たちは、どの口で「財政再建」と言うのでしょうか。恥を知りません。

2013年08月29日のツイート