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アジア雑語林

2018-05-24

1141話 ダウンジャケット寒中旅行記 第25話(最終話)

 落穂ひろい その5

■前回のスペイン旅行で残念だったことは、旅行中ずっとショルダーバッグに入れていた愛用の水のビンを出国時の空港で廃棄してしまったことだ。なかの水を捨てて、空瓶なら持ち出せたかもしれないと、あとから気がついた。ただし、疑問もあった。前回、マドリッドからリスボンに飛んだときに、「中がからでも、100cc以上の大きなビンは機内持ち込み禁止」と言われて廃棄を命じられたことがあったからだ。いつも荷物はすべて機内持ち込みにしているのだが、今回はからビンをバッグに入れてチェックイン・ラッゲージにして持ち帰った。
帰国前夜、万が一没収された場合に備えて、部屋で写真を撮った。青いビンは無事持ち帰り、この夏に活躍するはずだ。
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 「シングルルームは満室だから、悪いけど3日間だけ3人部屋にして」と言われ、広い部屋で過ごした。アップグレードである。その部屋の写真と、愛用の水ボトル。

■前回のスペイン旅行の最後と同じ写真を空港で撮ろうと思ったが、今回のターミナルには適当な店がなく、ごく簡単な食事にした。せっかくユーロを残したのに、使う店がほとんどない。市内の物価基準をしているから、バカ高い空港のレストランで飲み食いする気にはなれないというのが正直な気持ちだ。それにしても、1ユーロが140円はきつい。昨年のイタリア旅行は136円。ユーロ米ドルと同等くらいに安くなってくれると、貧しい日本人旅行者は助かるのだがなあ
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 この旅、最後の食事は、マドリッドの空港でサンドイッチになってしまった。この手の硬いパンが好きだから苦にはならないのだが、違うものにしたかったという気もする。

成田空港に着いて、ユーロを日本円に再両替した。「またヨーロッパに行くのだから、両替しなくてもいいか」という気もしたが、次回のユーロ圏旅行がいつになるのか分からないので、再両替することにした。もし次回もヨーロッパ大陸に行くにしても、ユーロ圏ではないような気がするが、もちろん先のことはわからない。
出発時の成田空港で、140円で買ったユーロを、同じ店で128円で売る悲しさ。空港で何か食べようかと思って食堂街を歩いてみたが、食指は動かず。未だ経験をしたことがないほど機内食がまずく、半分以上残してしまった。こんなの初めてだ。そのせいで、かなり腹が減っていたのだが、特に食べたいものはない。地下のコンビニでおにぎりとお茶を買い、電車が出るまでの時間をゆっくり過ごす。「たっぷり旅をした」という満腹感はない。たった今空港に着いたばかりだというのに、旅行者を見ているともっと旅をしたくなった。ああ、旅をしたい。どこかに行きたい。

今回でダウンジャケットを着て旅した物語は終了です。いつも旅物語はどうしても長くなるので、今回は意識的に簡素に書いただけで、つまらない旅だったわけではない。今回も、立ち去りがたいスペインだった。文句を言っていたイタリアも、いつかまた行きたくなってきた。
今回、生まれて初めて寒い国の旅を経験したので(じつは、11月のイギリス体験している。雪のアムステルダムも知っている。旅行ではなく取材だが、2月のソウルで零下10度を体験しているのだが、まあそれはともかく・・・)、東京の冬程度の寒さなら旅はできるという気もしてきた。いままで熱帯専門旅行者だったが、軽い冬なら旅できそうな気がしてきた。冬の東京を歩けるなら、同じような気候の外国でも歩けるだろう。少なくとも、気温10度のマドリッドなら、気温37度湿度70%の熱帯よりはずっと快適だ。「さて、次はどこへ行くか?」と考えながら、空港を出る電車に乗った。

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 旅を終えて、パソコンの壁紙を変えた。スカッと明るい世界を感じたかった。この場所はモロッコのタンジェだから、印象は悪いのだが、それでも数日続いた雨の後の青い空と白壁の家は、旅心を刺激する。パソコンの電源を入れたらこの写真が姿を見せ、「さて、旅物語を書くか」と、ワードの画面を出した。
 

2018-05-22

1140話 ダウンジャケット寒中旅行記 第24話

 落穂ひろい その4

 デジタルカメラというのは、やたらに明るく撮れてしまう。かつて使っていたフィルム式カメラの場合、コダクローム64かエクタクローム100というフィルムを使っていたから、夕刻が近づくと三脚なしでは撮影できない。タイの芸能を撮影していた時は、感度400のフィルムを増感して使っていた。
 それ以来長らくカメラを持たない旅をしてきて、ほんの数年前にコンパクト・デジタルカメラを買った。ちょっと奮発したのでレンズの開放値はF1.8で、しかもデジタルだから、夜なのにプログラム設定にすれば、手持ちで夜景が撮れる。そして、実際に自分の目で見ている景色よりも明るく撮れている。しかし、明るければそれでいいのかというと、写真がおもしろくない。いつもは、「写真は記録」だと思っているのだが、夕暮れ時に散歩をしていると、柄にもなく黄昏の街を撮ってみたくなる。カメラの説明書をほとんど読まずに使っていて、何も知らずに撮れる写真で充分満足してきたのだが、ヒマな夕刻だから、街灯の下で説明書を開き、まだ1度も使ったことのない「夜景モード」の説明を読みながら撮影してみた。
 その結果わかるのは、きれいな夜景を撮るには、やはり三脚が必要だということだが、「人間2脚」となって、手持ちで3秒のシャッター速度でも、手振れ防止装置がついているから、なんとか撮れてしまう。デジカメはすごいのだが、色調はフィルムの方が好きだ。「今は、そんなもの、いくらでも加工できるよ」と言われるだろうな。

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 夕日を受けたアルハンブラを眺めたあとの下り坂。石畳は視覚的には美しいのだが、歩くと疲れる。つまづきやすくなる。
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 マドリッドサン・ミゲル市場は、すっかり観光地になってしまった。もはや、私がひとりでのんびり食事ができる場所ではなくなった。
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 マドリッドの路地。
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 アルカラ・デ・エナーレスの路地。写真を撮ると、肉眼では見えない青空がまだ残っていることがわかる。
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 これもアルカラ・デ・エナーレスの公園の南。もう少し暗くしたいと思って絞りをいじったのだが、うまくいかなかった。

2018-05-20

1139話 ダウンジャケット寒中旅行記 第23話

 落穂ひろい その3

マドリッドの道路表示板がいい。満足に道路表示板がなかったりホコリで汚れきっていたナポリや、小さくて見にくかったローマと比べると、スペインはすばらしい。こういう表示板だけの絵葉書もあるくらい名物にしようという熱意を感じる。この雑語林のイタリア編で何度か書いたが、イタリアはできるだけカネをかけずに歴史遺産で儲けようとしているが、スペインは旅行者が気持ちよく旅できるように工夫し、投資もしているように思う。

 通りの名前の由来は簡単にわかるものもあるが、地元の人でもわからないものもある。Luis Velez de Guevaraは劇作家小説家
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 ついでに、モロッコのタンジェの道路表示板を紹介しておこう。役所の仕事にしては、デザイン的には悪くない。
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2018-05-18

1138話 ダウンジャケット寒中旅行記 第22話

 落穂ひろい その2

餃子焼きそばが大好物だ。散歩をしていて古本屋の前を通りかかると立ち寄らずにはおれないのと同じように、餃子焼きそばの看板を見てしまうと、心と胃袋がひどく刺激さ、焼きそばなら店に入ってしまうこともある(餃子は皮から自分で作るので、店ではほとんど食べない)。
 外国の場合はその心配がないかというと、スペインの場合、焼きそばにやられる。焼きそばの艶やかな肌を見てしまうと、「スペインに来たら、当然スペインの料理だろ」という原則など忘れて、店に入りたくなってしまう。マドリッド焼きそば屋は、2016年よりもさらに増えていた。だから、散歩をしていれば、焼きそばの看板にいたる所で出会う。焼きそば屋は、店名に”WOK”(中華鍋)という語が入っていることが多い。
 次の写真のような、垂涎の写真を見てしまうと、どうしても食べたくなる。自室で食べようと思ったので、宿のすぐ近くの店で買った。期待値が高いから、実際に口にすると、それほどの喜びでもないのだが、それでもスペインの安飯よりはうまいと思う。
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 WOKがつく店は、焼きそば専門店で、テイクアウトのほか、店によっては椅子やテーブルもある。
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 こういう看板写真を見てしまうと、「今は、スペイン料理はいいか」という気になる。
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 部屋に持ち帰った焼きそば。前回も失敗したなと思い出したのは、まずい鶏肉入りにして高くなったこと。これで、5.95ユーロ。量が多いから、高くはないが・・・。
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 WOKがつかない店も多くなった。この店は、すしのほか、ラーメンなどがあるが味噌汁があるのに驚いた。

■テレビを見ていたら、「agua(水)! agua(水)!」という声が聞こえてきた。画面を注視していたら、便器のコマーシャルのようで、なんと洗浄機付き便器の広告だ。当然日系メーカーかと思ったら、ROCAの文字。知らない会社だから調べたら、スペインの衛生機器メーカーらしい。ビデの伝統のある国では、受け入れられやすいのだろう。
 テレビCMと言えば、マツダCX-5のもの。画面に「人馬一体」という漢字が出てくるが、誰も読めないだろう。そのあとナレーションが「ジンバイタイ!」と入る(日本人の声ではない)が、視聴者にはそれでもやはりわからないはず。日本のCMでも、視聴者がわかるかどうかなど考えずにフランス語のナレーションをかぶせるようなものだ。外国語異国情緒を醸す効果音なのだ。

バルセロナで初めて行った食べ放題レストランのフレスコ。前回の滞在で、マドリッド支店にも行き、「うまいものはない」という結論だったのだが、今回も行ってしまった。以前は、平日昼間が9.95ユーロ、土日と夜は11.95ユーロだったのだが、全日すべて9.95ユーロに値下がりしていた。ふたたびフレスコに行った理由は、みっつある。ひとつは生野菜をたっぷり食べたかったからだ。ゆでたジャガイモもあるから、自分でポテトサラダも作ることができる。ふたつ目は、コーヒーをがぶがぶと飲みたかったからだ。エスプレッソほどの量のアメリカンを6杯くらいは飲むから、コーヒーだけで6ユーロ分くらいになる。3番目の理由は、果物が食べられることだ。レストランで果物を注文すれば高額だし、スーパーで買うと量が多い。
 というわけで、パスタサラダを2皿食べ、コーヒーを飲みながらケーキとオレンジを食べた。明るく比較的静かなので、ノートにメモを書いたり本を読んだりするには最適な場所だ。そして、店内や客を観察する。カウンターの調味料のコーナーに、タバスコがあった。アメリカ人と日本人客のためか。アメリカ人の団体は、自分のテーブルにケチャップを持って行き、使い果たし、「おかわり」を注文していた。客の、ナイフとフォークの使い方を見ているだけでも、興味深くて楽しい。
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 最初にサラダやスープ、飲み物を取って、料金を払うシステムだ。あとは食べ放題。飲み物はビールもジュースもコーラも1杯は料金に含まれているが、ペットボトルの水は別料金。
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 ピザやパエジャや、鳥や魚料理もあるが、パスタサラダが質と量の両方で満足。そのあと、小さなケーキと果物と、大量のコーヒーを飲む。

2018-05-16

1137話 ダウンジャケット寒中旅行記 第21話

 落穂ひろい その1

 そろそろこの旅物語を終えようと思う。恒例により、いままで書きそびれていたことや、まだ公開していない写真などを紹介する「落穂ひろい」を始めよう。

■日本出発の日の成田空港。チェックインカウンター前で並んでいると、制服の女性社員がちゅうちょなく私の前に立ち、「恐れ入りますが・・・」と声をかけてきた。「オーバーブッキングですので、ビジネスクラスに変更してくれませんか」か、あるいは「お急ぎでなければ、明日の便に変更していただけませんか。つきましては、お礼として・・・」というセリフを期待し、0.4秒の空想をしたのだけれど、違った。「お客様は、英語は話されますか?」というもので、制服社員が何を言いたいのかわからないまま、「ええ、まあ」と返事した。いったい、何を言い出すのか?
「ドア脇の、客室乗務員の向かいの席が空いていまして、足を延ばせてゆったりできる席です。通常は、その席に代わるには100ドルの追加料金を頂くのですが、今なら無料でご案内できます。3人席の真ん中ですが、前に席はないので、トイレに立つ場合もまったく問題はありません。いかがですか?」
このあとの記憶がはっきりしないのだが、もしかすると、「ドア近くの席ですので、緊急事態が発生した場合は、救助活動にご協力ください」と言ったかもしれない。それで英語がわかるかどうかという質問だったのかもしれないが、日本語での会話だったのに記憶は一切ない。たぶん、この申し出の謎を考えていたのだろう。
その席、前の席がないのだから足は好きなように伸ばせるのだが、バッグを前の座席下に置くことができない。ショルダーバッグの小物は、頭上の荷物置き場からいちいち取り出さないといけない。それはまだいいのだが、私の右隣り、通路側の客は、身長190センチ、体重150キロの男。汗臭い肩も腕も、絶えず私の体に当たる。脱いだ厚いブーツと足から悪臭が吹き付けてくる。エコノミー席には、体重制限を設けるべきだ。
だから、私にこの席を割り当てたのか。
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 マドリッド空港の第4ターミナルがちょっとおもしろいインテリアなので、バッグからカメラを出して3枚撮ったところで保安職員がやって来て、「安全上の問題があるので、撮影禁止」と言い渡された。撮影済み写真の消去は求められなかったが、「なんだかなあ」という気分だった。

■今回のスペイン旅行でいちばん残念だったことは、愛用の喫茶店コスタコーヒーの、国立劇場テアトロ・レアル内の店が閉じていたことだ。帰国してから、調べてみた。倒産か、それとも支店の閉店なのか調べてみると、閉店だとわかる。スペインの何店かが閉店している。このチェン店はイギリス資本だが、エスプレッソの牙城では、私好みの薄めのコーヒーを出す店はうまく行かないということか。
■シベーレス宮の屋上から、マドリッド市内を見渡す。視界に入る限り、超高層ビルはほんの数本あるだけだ。アジアの、例えば香港バンコクのように超高層ビルの森を見慣れていると、近代的なビルがほとんどないことがわかる。それを、「すばらしい」とも「遅れている」とも思わない。「それがマドリッドだ」と納得している。バルセロナには超高層ビルがもっとある。
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 シベーレス宮の屋上から、マドリッドを眺める。ガラス張りの超高層ビルは数本しかない。道路も広いから、散歩をしていても香港のような圧迫感はない。