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アジア雑語林

2018-07-14

1163話 桜3月大阪散歩2018 第17回



 国立民族学博物館 後編


 話は民博訪問2日目の朝に戻る。
 特別展会場で講演会があるというので行ってみると、旧知の野林厚志さんがいた。民博の教授で、この特別展の実行委員長だ。廊下ですれ違うことはあるかと思っていたが、講演者として会うとは思ってもいなかった。
「おや、前川さん!」
「あっ、おはようございます」
 この朝講演をやる教授に急用ができて、野林さんが代役を務めることになったという事情を説明してくれた。特別展は、きのうすでに見ているのだが、野林さんの解説付きで、EEMが集めた民族資料をもう一度見た。まるでVIP待遇のようなぜいたくだ。
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/20180308taiyou/index
 会場で別れ際、200ページほどの展示品カラーカタログをいただいた。じつは、きのう買おうかと思ったのだが、資料はまとめて買う心づもりだったので、買わなかった。そんなわけで、館内の書店で本格的な買い物をすることにした。文化人類学関連書と民博関係者の著書が多くある。昔はなかった民族音楽などのCDが今はある。時間無制限で本を点検し、そのあとはまたビデオライブラリーにこもった。
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 世界のインスタントラーメンの展示があり、
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 世界の祭りの展示もある。
 ビデオ、特に食文化関連の映像資料を見ながら考えていたのは、このまま閉館時刻までいるか、それともすぐ近所の’70パビリオンで開催中の70年万博関連の展示会を見た後、門真市パナソニックミュージアムに行こうかということだ。
https://www.panasonic.com/jp/corporate/history/panasonic-museum.html
 産業博物館にちょっと興味があったのだが、同時に大阪モノレールに乗りたいという希望もあった。万博を早めに切り上げて、大阪モノレール万博記念公園駅に向かった。そこから門真市までモノレール京阪本線に乗り換えてひと駅、西三荘で降りて駅前がパナソニックの工場街で、その一角に博物館がある。
 大阪に行く直前に、パナソニックミュージアムができたというニュースは見たので、気になって出かけたのだが、ああ、ここは博物館ではない。松下幸之助廟とナショナル製品倉庫である。松下を讃える廟は、その信者たちにとっては聖地かもしれないが、私には見るべきものはほとんどない。自称ミュージアムは、いくつかのナショナル製品がただ置いてあるだけの倉庫で、あの、世界的家電メーカーの、「松下電器の製品」展示にしては何とも貧相だ。トヨタ博物館並みのものを求めるのは無理でも、これではあまりにみすぼらしい。5分で見終わって、4時。民博は5時閉館だから、今から戻っても間に合わない。ああ、こんなところに来ないで、あのまま民博にいればよかったと後悔したが、わざわざこんな地区に来たのだからと駅周辺をちょっと散歩したのだが、おもしろいものはなかった。
 さて、これからどこに行こう。西三荘駅の路線図を見た。京阪本線だから当然、大阪とは逆の方向に行けば、京都だ。駅員に聞いたら、出町柳まで1時間ほどかかるという。近いとも遠いとも言えない微妙な時間だ。淀屋橋に向かう京阪本線に乗りながら、「そうだ 京都 行こう」は自分の心にあるのか点検してみたら、「なし!」という結論に達した。明日京都に行くなら、JR新快速で30分ほどで大阪から京都に着くのだが、京都に何の魅力も感じない。神社仏閣・土産物屋・おしゃれなカフェに興味がないのだ。京都に行っても、したいことがない。大阪散歩の楽しさを思い浮かべると、京都が色あせる。
 このまま大阪に居ようと決めた。大阪がいい。「さて、今日はどこに行こう」と考えている大阪の日々は、ワクワクする毎日だ。
民博でかなりの本を買い、古本屋でも買った結果、帰りの関空LCC機の荷物過料金を徴収されることになってしまった。安く買った航空運賃は、この金額を加えても往復の新幹線料金よりも安かったが、本は宅配便で送ればよかった。失敗。LCC荷物料金で儲けているのは、インク代で稼いでいるプリンターメーカーと同じだな。
注 6月18日の大阪地震のため運休していた大阪モノレールは29日から平常運転に戻ったが、民博は現在休館していて、9月に一部で展示再開し、完全再開は10月中旬を予定している。訪問を考えている人は、民博のHPで確認のこと。
http://www.minpaku.ac.jp/

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 インドネシア仮面劇の面。

2018-07-12

1162話 桜3月大阪散歩2018 第16回



 国立民族学博物館 前編


 大阪にしばしば行く目的のひとつは、国立民族学博物館(以下、民博)に行きたいからだ。今まで行ったことがある博物館のなかで、「相性がいい」とすぐに思い浮かぶのは、ワシントンスミソニアン博物館大阪の民博のふたつだ。この2館は別格扱いだと言っていい。スミソニアンは、はるか昔に1度行ったきりだが、また行きたい。
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 ガーナの棺桶が展示場のすぐ前に展示してある。
 前回民博に行ったのは、韓国食文化を中心に見るのが目的だった。うまくいけば、この展示の責任者であり旧知の朝倉敏夫教授(当時)に声をかけて、昼飯を一緒に食べながら韓国食文化の話をしようかと思っていたのだが、展示があまりにおもしろくて、気がついたら3時過ぎで、結局昼飯も食べずに閉館までいた。後日、「いらっしゃたのなら、ひとこと、声をかけてくれればお昼を・・・」と朝倉さんに言われたが、民博にいると時間が無くなる。昼食の時間が惜しかった。
 今回も、開館と同時に入り、閉館までいた。音声ガイドを借りて、すべての展示品をじっくり見て、それぞれの展示コーナーの説明を読み、聞き、次の展示にと移動していると、もう閉館時刻だ。最近、音楽の展示が増えたので、見るのに時間がかかる。そして、今回もまた時間切れで、閉館時刻を迎えた。
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 こういう面を見て、旅を思い出しながら、音声ガイドを聞く。旅の反芻である。
 後ろ髪をひかれる思いで博物館を出たので、翌日も開館ちょっと前に民博に来た。出直しである。2日目の目的は、数多く収集してある映像資料を見ることで、以前来た時も見たが、まだ全作品を見ていない。民博は「モノで見せる世界」なのだが、そのモノがどう使われているのか、現地で撮影した映像をここで見ることができる。きょうは腰を据えて、じっくり見ていたのだが、定例講演を知らせる館内放送が流れた。気になって受付で講演者を調べると、私が知らないアフリカ学者らしいが、なんとなくおもしろそうだから、講演をやるという特別展示会場に行った。この時の特別展はEEM(Expo’70 Ethnological Mission)である。説明が長くなるが、こういうことだ。
1970 年に大阪万国博覧会が開催されることになった。テーマ館太陽の塔を企画した岡本太郎は、塔の中で「人類の原点を示すモノ」の展示を考えた。そこで、世界の民族資料を収集する組織、日本万国博覧会世界民族資料調査収集団が作られ、その略称がEEMである。展示品は、パリ大学民族学を学んだ岡本太郎の思想が大きく影響していた。収集団の中心は、泉靖一(東京大学)と梅棹忠夫京都大学)というふたりだが、その当時教授だったのは泉だけで、梅棹もまだ人文科学研究所の助教授だ(69年に教授)。団員の平均年齢はなんと30歳あまりと、実に若い。のちに民博館長になる石毛直道さんも団員だが、当時まだ京大助手だった。のちにアフリカ研究で知られ、民博の教授になる江口一久さんは当時まだ京大大学院生だった。団員名簿に、「高橋徹」という名があった。記憶に残る名前だ。元京大探検部員で、当時京都新聞記者だった。チモール探検記である『忘れられた南の島』(朝日新聞社、1963年)をすでに出している。アサヒ・アドベンチャーシリーズの1冊で、私はもちろん読んでいる。EEMが京都新聞社に「高橋をしばらく貸してくれ」と依頼した結果、収集団に加わった。そういう時代だったのである。
 ひとことで言えば、団員は大学の探検部などにいた学者のタマゴたちだ。名簿を見ると、明治初期の日本のように、若き人材がひしめいていることがよくわかる。
日本の若者たちが世界に出て、民族資料を買い集めた。その当時の日本は、まだ「カネにあかせて」と言えるほど豊かではなかったが、さまざまな苦労と工夫をして民俗資料を収集し、それが現在の民博収蔵品になっている。
http://192.51.169.32/museum/enews/201
 1970年、高校3年生の私は万博に出かけたのだが、あまりの混雑で太陽の塔には入っていない。だから、その当時は収集品を見ていない。民博に最初に行ったのがいつだったか、それもまるで覚えていない。

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 太陽の塔の内部公開が始まったので、大混雑していた。予約制だから、私には縁がない。たまには、普段はあまり目にしない、太陽の塔の背後写真を。

2018-07-10

1161話 桜3月大阪散歩2018 第15回



 星野リゾート新世界


 昨年の春のことだ。新今宮駅のホームのすぐ下に広い空き地があって、フェンスで囲まれていた。何かの建設用地なのかもしれないが、小学校ができそうなほどの土地に何ができるのだろうか疑問に思った。
 帰宅後、大阪旅物語を書くための勉強をしていて、この空き地の情報を見つけた。それは、この場所をよく知っている者は誰しも、「まさか!!」と思う情報だった。4月1日の発表だったら、大阪人のすべてが「しょーもないエープリルフールや」と苦笑するような情報とは、この空き地に、高級ホテルチェーン星野リゾートがホテルを建設するという発表だった。
 この計画の驚きというのは、少しでも大阪を知っている者なら、開いた口が塞がらない。当然、「ケンミンSHOW」でも取り上げ、「星野リゾートは、大阪の恐ろしさを知らんらしい。教えたらなあかんなあ」という街頭インタビューを放送していて、「その通り、異議なし」と私も思った。よそ者である私でさえ驚いたのだから、大阪人はもっと驚いた。驚きの文章はいくらでもある。
https://www.rakumachi.jp/news/column/217956
 かつて化粧品会社などの工場があったこの土地を、大阪市は公園用地として買収したのだが、1996年から2009年まで浪速警察署仮庁舎と大阪府警本部なにわ別館があった。そして、更地になって星野リゾートに売却されたというのが、この土地をめぐるいきさつだ。この計画が発表された2017年春というのは、大阪市の北の豊中市で、森友学園問題が連日報道され始めた頃だ。新今宮駅裏の敷地は国有地ではなく市有地だが、「大阪の、公有地の民間企業への売却」ということで、私のアンテナに引っかかり、ちょっと調べてみたのだが、問題になったという報告は見つからなかった。
ホームと隣接した駅裏のこの商業地1万4000屬18億円で買ったという。1屬△燭衞13万円だから、坪約43万円ということになる。関空へ乗り換えなしで行ける場所で、難波天王寺もすぐ近くという駅前の土地なのに、この価格でいままで売れなかったということか。
 ちなみに、森友学園の隣の国有地が豊中市に売却した時の価格は、1屬△燭15万円、森友学園はその1割くらいの価格で購入したと話題になっているのだが、豊中市高速道路脇の土地よりも、新今宮駅裏の商業地のほうが安い。森友学園用地の値引き理由は地中のゴミだったが、新今宮のこの土地の割引理由は何だろう。何か理由がないと、この販売価格はあまりに安くないか。「星野リゾート」というブランドで大阪市のイメージ上げたいと考えたのか。あるいは、ここの土地柄そのものが割引理由なのだろうか。
 さて、2018年、あの敷地がどうなったのか。星野リゾート計画では、20階600室のホテルが2022年に開業するという計画だが、計画発表から1年後、敷地に何の変化もなかった。我が安宿がある新今宮駅の南側は西成区。駅の北側の星野リゾートが買収した土地は浪速区。区は違うが、新今宮駅周辺はどちらも労働者向け宿と生活保護受給者などが住む福祉アパートがある。浪速区には毎度おなじみ通天閣が建つ繁華街新世界がある。そして、その新世界は、今や外国人のテーマパーク化していて、紙コップに串カツを数本入れて食べ歩いている人も多い。そのど真ん中(これ、大阪弁です。東京言葉なら、まんまん中という)にあるのが東横インで、そのほかにも新しいホテルができている。星野リゾートが生まれる準備運動はすでにできているのだ。
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 新今宮駅ホームから見た星野リゾート用地は、2107年とまったく変わっていなかった。右に通天閣があり、その近くに東横ホテルがある。高級ホテル用地周辺は労働者向けアパートで、こちらにはバックバッカー用ゲストハウスは、たぶんほとんどないと思う。

 新今宮駅のホームから、高級ホテルができるという敷地の撮影をしていたら、電車が入って来て、ホームに音楽が流れてきた。聞いたことがある。知っている曲だが、さて、なんだったか。大阪でも、駅の発車音楽をそれぞれ工夫しているという話題は知っていたが、新今宮らしい音楽はあるだろうか・・・。
ホームで星野リゾート用地を撮影しながら考えていて、突然わかった。まさか、と苦笑。
 日本では普通ドボルザークといい、チェコ語ではアントニン・ドボルジャークの交響曲第9番ホ短調作品95である。なぜこの曲を使っているかというと、この交響曲の表題が「新世界より」だからである。まあ、音楽ダジャレですな。ただし、使われているのは、この交響曲のもっとも有名な「家路」の部分(第2楽章)ではなく、別の主題だ。以下で、その発車メロディーと、電車が通り過ぎたあとの星野リゾート用地の更地が見える。
https://www.youtube.com/watch?v=Lpf-8XFwxFo

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 大阪環状線の外側、天王寺寄りの方で、こういうホテルを発見。あのドンキホーテがホテル経営に乗り出し、アジア人観光客にさらにカネを使わせようという策略かと思ったら、このビルとホテルのオーナーはJR西日本系列の会社で、ドンキホーテはそのテナントだった。 

2018-07-08

1160話 桜3月大阪散歩2018 第14回



 統計資料で見る大阪の位置 後編


 なかなあ終わらない話なので、さらにもう一回やる。
■面積・・・大阪府の面積の話をすると長くなるというのは、大阪人の常識だろう。ここではごく簡単に触れる。かつて、都道府県でもっとも狭いのが大阪府だった。全国最下位の47位が、1988年に香川県と入れ替わった。香川県の井島と岡山県石島は名は違っても同じ島で、島内に県境があるのだが、未確定部分がある。1988年に、国土地理院は未確定部分は香川県の面積に加えないと決定したために、ほんのわずかな差で、面積最下位が大阪から香川に入れ替わった。未確定部分が香川になったとしても、大阪が最下位を脱出する事態がその後生まれた。1994年に開港した人工島関西空港である。その後、大阪では埋め立て工事が進み、香川との差が広がってはいるが、僅差であることに変わりがない。インパクトという点では、「日本でもっとも狭い大阪!」のほうが良かったのだろうが・・・。
 島のことを調べていたら、海があっても島のない都道府県とか、島はあっても有人島はないのはどこだなどということが気になって、http://imagic.qee.jp/といったサイトを見て遊んでいたので、1時間ほど寄り道をした。文章を書いていても、こういう散歩をよくやる。雑学遊びが好きなのだ。
■外国人・・・大阪市在住外国人の多くは韓国朝鮮人で、大阪市はその影響を強く受けている。ちなみに、中国人住民の比率は、都道府県別でも市町村別でも、大阪はトップ20にも入っていない。
http://area-info.jpn.org/FornPerPopAll.html
 市町村別外国人比率番付というのがある。人口100人当たり外国人住民がどれほどいるかというランキングで、トップ10はこうなる。
1、大阪市生野区 
2、川上村長野県) 
3、大泉町群馬県
4、南牧村長野県
5、新宿区東京都
6、美濃加茂市岐阜県
7、大阪市東成区
8、神戸市中央区兵庫県
9、大阪市浪速区
10、坂祝町岐阜県) 
自転車関連のランキング。放置自転車数ワースト1は長い間大阪府が1位だったが、最近やっと1位を脱出したらしい。しかし、自転車危険運転調査では、大阪府が栄えある第1位(もちろんワースト1)になっている。
地下街・・・大阪市地下街の街という印象が強いが、専門家がきちんと調べた資料が発表されている。都市地下空間活用研究会の資料だ。
https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK0602G_X00C11A9000000
この資料によれば、駅の地下街というカテゴリーでは、全国一広いのは小田急エース新宿サブナードなどがある東京新宿駅周辺だ。以下、名古屋・栄駅地下が2位、名古屋駅地下が3位で、大阪長堀橋駅地下が第4位。私を悩ませた梅田駅地下は6位。広い地下街ベスト10のうち大阪地下街は2か所しか入っていない。
 地下街店舗面積ランキングでは、その様相が変わる。地下街の店舗面積ベスト3では、1位東京八重洲地下街、2、なんばウォーク、3位ホワイティうめだである。つまり、地下街総面積は広くないが、店舗面積は広いということだ。大阪地下街日本一のはずと考える人は特に大阪に多いのだが、統計上そうならない理由がきちんと説明されている。似た語だが、地下街と地下階の違いだという話は「大阪地下街はなぜ一番ではないのか」
https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK2002R_Q1A920C1000000?channel=DF130120166138&style=1
所得・・・総務省の調査による市町村所得ランキングというのがある。第1位は東京都港区だが、大阪府市町村の順位は以下のようになる。大阪市は、実はあまり豊かではないことがよくわかるようでいて、本当かという疑問も多い。国際都市大阪は世界の常識(大阪の常識は世界の常識)にならい、表に出てこない裏資金が豊富にあるから、普通の調査では出てこないということか?
33位 箕面市
39位 豊中市
40位 吹田市
73位 池田市
108位 大阪狭山市
109位 茨木市
158位 枚方市
170位 交野市
174位 高石市
184位 堺市
201位 富田林市
201位 大阪市
以下略。

 こういう統計資料は、扱い方や発表媒体によって大きく変わるから「正確」の度合いが違う。これ以上やってもキリがないので、これで終わる。
大阪の漫才風に言えば、「いい加減にしなさい!」か。

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 大阪にいたのは、こういう季節だった。桜が満開の四天王寺境内を抜けて、住宅地に入り、自動車が入れない路地を歩いていたら外国語が聞こえた。前を歩いている若い男女がしゃべっていたのは、タイ語の東北部方言(イサーン方言)だった。どこに行くのか気になって尾行したら、ホテルの裏口ドアを開けて、「おはようございます!」となかに声をかけた。従業員らしい。

2018-07-06

1159話 桜3月大阪散歩2018 第13回



 統計資料で見る大阪の位置 中編


 引き続き、統計資料のなかの大阪を探してみる。
 大阪の欠点を探して笑おうという意図などみじんもないのだが、すばらしい第1位がなかなか見つからない。
■小学生体力テスト・・・最下位が大阪、以下奈良北海道東京の順。家でゲームばかりやっているからか。
万引き認知件数・・・警察が万引きと認めた人口あたりの件数では、大方の予想と確信に反して大阪がもっとも少ないという妙な結果になっている。多い順では、香川東京兵庫大阪の皆さん、東京に勝ちましたよ。でも、この統計を信じていいのか? 本腰を入れて調べようと思ったが、調べきれず時間切れだ。
刑法犯検挙率・・・また悪い資料だ。大阪の検挙率は、ワースト2の京都よりぐっと落ちる。大阪は、事件が多く、しかし犯人はあまり捕まらないということだ。
「月刊宝島」が「全国警察ワーストランキング」を発表している。
http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1820070.html
ここに「全国警察の懲戒処分率ワーストランキング」というのがあり、不祥事で話題の大阪府警が堂々の第1位かと思ったら、ワースト5は、奈良群馬山梨高知北海道で、大阪府警は18位という中途半端な位置にある。このランキングの読み方は、「月刊宝島」本文で解説しているように、不祥事を表に出さなければ表面上は「いい警察」になるわけで、実はあまり意味のあるランキングではない。というわけで、こういうニュースを紹介しておこう。「大阪府警 不祥事」で検索すると、笑えるほどヒットする。
https://www.kenkokarate.com/entry/2018/05/25/101939
https://www.asahi.com/topics/word/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%BA%9C%E8%AD%A6.html
https://www.sankei.com/west/news/160216/wst1602160006-n1.html

 大阪を笑いものにするための資料を探しているのではないのに、こうなってしまうのが大阪か。そこで、総務省統計局の力を借りて別のテーマで大阪を探る。大阪府ではなく、大阪市が全都市の1位を探してみるが、はたして見つかるか?
■白菜消費量・・・2012年の総務省家計調査で、大阪市が1世帯あたりの消費量第1位だったようだが、2015~2017年平均では、堺、京都神戸和歌山がトップ5だ。
消費が少ない方では、山形前橋水戸秋田などがある理由がよくわからない。かつて大阪が1位だったとき、日経スタイルは次のような記事を発表しているが、さて、どうだか。
https://style.nikkei.com/article/DGXNASIH2600C_W3A920C1AA2P00
パンの購入数量・・・食パンの購入数量では、京都神戸岡山、堺、大阪の順。
■牛肉の支出額・・・京都和歌山奈良大津大阪の順。
タコの購入数量・・・たこ焼きソウルフードのひとつである大阪なら、タコ消費量はで全国1位のはずと、総務省家計調査(2015~2017年平均)で調べてみると、政令指定都市ランキングでタコに支払う金額の多い順は、奈良、高松、大阪、堺、神戸がベスト5だった。
サツマイモ支出額・・・産地は鹿児島埼玉千葉だが、支出額が多いのは、徳島佐賀大阪京都和歌山の順。田辺聖子の『芋たこなんきん』を思い出す。それでは、なんきん(カボチャ)の消費を調べてみると、都市別ではなく都道府県別資料だが、ベスト3(2016年)は、奈良秋田長崎の順で大阪は入らない。この家計調査のランキングを見てみると、調味料でも外食でも、飲み物でも、あらゆる食品、食事のランキングに大阪市はベスト5に入っていないことがわかる。つまり、これといった個性に乏しいということがよくわかる。これは平均化しやすい大都市だからなのか。「粉モン」の大阪というイメージがあるが、「そばうどん」でも「中華麺」でも、大阪はベスト5に入らない。では、小麦粉の支出額ランキングではどうかというと、全国の57都市のなかで44位という実に意外な結果だった。う〜む、である。
■宿泊施設の客室稼働率・・・外国人観光客が急増したせいで、ここ数年、客室稼働率日本一が続いている。
都道府県別訪日外国人数ランキングというのがある。観光庁がやった空港や港での聞き取り調査によれば、1位東京、2位大阪、3位千葉、4位京都、5位福岡という順だが、羽田成田関空でも調査ならこうなるだろう。実感としては、東京よりも大阪の方が外国人旅行者を見かける機会は多い。これは、大阪の外国人は、トランクを引きずるなどいかにも観光客然としているからだろう。
■訪れるべき都市・・・Airbnb(エアB&B)が発表した人気急上昇の地域2016年ランキングは、こうなっている。
1、大阪市中央区
2、バンコクバンランプー
3、クアラルンプール市ブリックフィールズ
大阪市中央区は、北は淀屋橋、南は難波心斎橋筋大阪城などがある文字通り中心部にある。
■魅力度の市町村別ランキング(ブランド総合研究所)によれば、大阪市2016年34位、2017年は41位ということらしい。都道府県別魅力度ランキングでは7位。コメントしにくいランクだ。
http://tiiki.jp/news/05_research/survey2017/3791.html
■住みよさ・・・東洋経済が発表した「住みよさランキングトップ50  2017」によれば、印西市千葉県)が1位だが、50位以内に入った大阪府市町村はない。
https://toyokeizai.net/articles/-/176683
しかし、生活ガイドが発表した「住みたい街全国ランキング 2016」のトップ5はこうなっている。「にわかに信じがたい結果」という感想を書いたら、大阪府民の共感を呼ぶが、あるいは大阪市民の反感を買うか?
1、横浜市 2、京都市 3、札幌市 4、世田谷区東京都) 5、大阪市
大阪ランキングの話はまだ続く。

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 天王寺から北上する日は、道路を歩いてもおもしろくないので、四天王寺境内を抜けていく。こういう洗浄作業を眺めているうちに朝の時間が過ぎていく。すいう時間も好きだ。