インターネット・インフラ考

河野美也さんのブログに、僕のデジコア研究会の記事にトラバってエントリがあったのでそれに連ねて。
まずは河野さんらしく言語分解による考察。infrastructureという言葉は infra + structureだから一般的に「下部構造」という意味だから、「どのレヴェルにも存在し、また相対的だ」。これは7/26の研究会で浅羽さんの発表の中にあった指摘です。
infra- の対義語は supra- なんですが、suprastructureとは言わないんですね。ただインフラの対義語として「上に乗っかる通信」という意味で一般化して良く僕が遣っていたのは「アプリケーション」です。「インターネットはISDNのアプリケーションだ」とか「VoIPはインターネットのアプリケーションだ」とか、微妙な表現を遣っていたのですが、これはinfrastructureの対義語のセンスでした。

河野さんのエントリは

 時々、人によって、時と場合によって、インフラ議論がかみ合わなくなるのは、この辺の相対性を、考慮から外してしまうからかもしれない。
 

 そして、たぶん今考えないといけないのは、社会基盤としてのインフラだ。各所に、各レヴェルに、インフラは遍在しているが、社会基盤ということになると、単なる「下部にある構造」という訳にはいかない。それが「社会基盤」である以上、参加者の行動や行為を律する規範のようなものが必要になる。水道、鉄道は、限られた専門家によって制御・運営することにより、安全を保つ。道路には一般人も参加するが、そのためには免許を取らなければならない。

 社会基盤としてのネットワークのあり方、という意味では、道路交通法が参考になるかもしれないですねー。

と締めています。
道路のアナロジー道路交通法というと、ネットワークの利用者を法で縛り免許を導入する方向になっても道路運営者の自由参入のほうにあまり目が行かないかもしれないんですが、
インフラの運営を自由にすると、米国西海岸の電力供給不安定のような問題が起こる懸念が大きくなるわけで、それを避ける方向にしたいのであれば、インターネットを構成するネットワーク運営事業者を縛る方が妥当かもしれないんですが、河野さんはそうじゃなくて利用者の規範設計のほうが重要だとなさるのだろうか。(コメント・トラバ希望 :-) )

道路とのアナロジーは、最近水越一郎さんから聞く議論がとても面白い。

  • 道路運営者が他の事業に乗り出すことがほとんどない水平分業モデルであること
  • 利用者自体のインテリジェンスに頼る以上の輻輳制御をせず、ベストエフォートで車を目的地に届けること
  • 道路の途中でどんな商売が流行っていても気にしない。

この対極が鉄道型で、垂直統合のフルサービスだ、と。