椎名誠に思う

 今年の正月に買った椎名誠の新刊を今日読み終えた。タイトルは「ぼくがいま、死について思うこと」だ。北海道に転勤になってから知った作家だが、何となく風貌や考え方や遊び方が似ていて一気にファンになり読み漁った。そして彼の遊び友達とその界隈を知ることになった。彼は昭和19年生まれなので今年は七一歳になる。

 世界を相手に旅するドキュメントはワクワクする。「とにかく端っこに行きたい」とか「零下50度を体験する」とか途方もないことをやりとげて、こんな単行本で報告してくれる。
 北海道にいるときに彼の友達の赤井川村のアリスファーム(藤門弘家)を訪れた時には、受付で「椎名さんの身内の方ですか」と言われたこともある。

 この本の巻末に彼は親友に「そして自分はどう死にたいか」というアンケートを発している。相手は野田知佑(ゆらゆらとユーコンで知られるカヌーイスト:77)、中沢正夫(椎名が勝手に主治医と呼ぶ:76)、木村晋介オウム真理教で活躍したキム弁弁護士:67)、沢野ひとし(うまへた絵のイラストレーター:68)などだ。
 その中沢正夫が「死について思われることがありますか」の質問に対して答えている。「人類生まれて400万年。文明起こりて4千年。核をもてあそんで百年。半減期何億年と言う核の種をばらまき、スローデスへの道を歩み始めた。ホモ・サピエンスは欲と好奇心はあってもあまり賢くないなあ、と思います。」と。昨日の酔っぱらいの見解となんら変わることはないなあと思った。

【今日の言葉】
あれもいい、これもいいという生き方はどこにもねえや。あっちがよけりゃこっとが悪いに決まっているのだから、これだとおもったときにメクラ滅法に進まなきゃ嘘ですよ。(尾崎士郎:作家)