子供の頃,五輪や万博は未来への夢だった。
夜空を見上げ,星々の瞬きの向こうにある果てしない世界,
SFチックな便利な世界へ繋がる扉だった。
いつの頃から,そういった高揚感を感じることもなくなり,
国家高揚だとか,精神論だとか,(メダルへの)プレッシャーだとか,
テロだとか,メダル数だとか,もろもろのやんごとなき事々が
鬱陶しく横目でチラチラ見るようになった。
かと言って,好きな種目だとつい,握り拳から汗が滲むほど
熱中して見ていたりする。
ようは,自分勝手なだけなのだ。そして,群れることだけを
怖れるようになっただけなのだ。群れることで,その集団の中の
小さな小さな個として覆い隠されることが不安なだけなのだ。