「保守系野党」が、憲法改正の足を引っ張る理由。

保守系野党は、大政党による党議拘束に、いざという時に応じる可能性が低いからです。


本人達は認めたくないでしょうが、我の強い保守系野党は、公明党以上に憲法改正の足枷になっています。

「小池の乱」で最も恐ろしいことは、
小さい保守政党が乱立することで、憲法改正の「実行」が不可能になることです。

何故、小さい保守政党が乱立してはいけないのか。
自公の枠組みでなければならない理由。


それは「党議拘束をかけることが出来るから」です。


ある程度議論が出尽くした時点で、「ゆるい方向性」で党議拘束をかける。
最終的に改憲を可能にするには、この方法しかありません。

改憲反対派は、総選挙に持ち込んで改憲議席を崩す為に、時間稼ぎの議論を延々と続けようとするので、
必ず、議論はどこかで打ち切らなければなりません)

ゆるい方向性とは、現時点では、公明党の案に自民が相乗りすることを指します。



憲法改正の具体的なルートは、以下の4通りぐらいに集約出来ます。


?大日本帝国憲法復活……難易度S+(非現実的)

?9条2項正面突破……難易度A

?緊急事態条項+96条……難易度B

?環境権などの加憲のみ……難易度C




?の「日本国憲法無効論」は、保守陣営の中でも少数派で、
正当性も無いので、国会での多数派形成は不可能です。


?は、保守陣営の中では100%の支持を得られますが、現時点で国会での多数派形成は至難です。
また、昨年行われた安保改正によって、当面の危機は回避出来ているので、
今すぐに9条改正の世論を多数派形成することは、不可能に近い。
例えば、中国軍が侵略して来て九州や沖縄などで数万人単位の死者が出れば、
世論はすぐに変わって成立出来るでしょうが、今はまだそういう状況ではありません。


?の、「災害対策などの緊急事態条項と96条をセットにした案」は、現在の日本会議の主論と思われます。
今のところ有力ですが、これも、「政治運動の外にいる人」には少々理解されにくいので、
実現性は微妙です。


?は、公明党の協力が得やすく、戦争アレルギーの方々にも反対されにくいので、
今のところ実現性は一番高いと言えます。
(但し、一部の勘の良い左翼の中には、その本質に「気付いて」反対している人もいます)


更に、維新などは(日本の伝統文化の破壊に繋がりかねない)
「首相公選制」や「道州制」のみを主張してくる可能性もあります。


このように、憲法については、政党や人の数だけ意見があるので、憲法改正派の中はバラバラです。



ですから、
「大多数の国民に理解されやすい範囲の話を」
「1つか2つまでの大政党で、3分の2の議席を占めている状態で」
「ゆるい党議拘束をかけて成立させる」
というプロセスが、一番現実的です。


ところが、政党の数がそれ以上多くなると、その数だけ調整が難しくなります。
調整不可能と言っても良いでしょう。
「よそ様の政党」には、党議拘束はかけられないからです。

つまり、現状では、頑迷に反対を続ける9条の会よりも、
「話し合いに参加する振りをして自説に固執し、
延々と議論を続けさせて総選挙まで時間稼ぎをする人達」の方が、
改憲の足を引っ張っていると言えます。


先ず、とにかく1度、何でもいいから変える。
たとえショボい加憲でも「変えた」という事実には変わりありません。

まずは、完全に閉じられた天の岩戸を少しでもこじ開けなければ、
私達日本人もその子孫も、そこから一歩も先に進めないのです。