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自分の根っ子探し|地方公務員の日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-01-24

文化財防火デーの季節です

毎年1月26日前後に、集中的に文化財に指定された建造物の防火訓練の様子がニュースで配信されています。「地方公務員拾遺物語 別館」でも取り上げていました。

文化財防火デーの制定は、昭和24年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し、壁画が焼損したことを契機としています。

この事件は国民に強い衝撃を与え、火災など災害による文化財保護の危機を深く憂慮する世論が高まり、翌昭和25年文化財保護の統括的法律として文化財保護法が制定されました。

その後,昭和29年11月3日に法隆寺金堂の修理事業が竣工し,文化財保護行政も確立するとともに,文化財保護思想の一層の強化徹底を図るために普及啓発事業が行われるようになりました。その一環として,法隆寺金堂の焼損した日であること,1月と2月が1年のうちで最も火災が発生しやすい時期であることから,昭和30年に,当時の文化財保護委員会(現在の文化庁)と国家消防本部(現在の消防庁)が1月26日を「文化財防火デー」と定めました。以来,毎年この日を中心に,各都道府県教育委員会,各消防署文化財所有者等の協力を得て,文化庁消防庁が連携・協力して全国各地で防火訓練などの文化財防火運動を展開しています。

文化庁ホームページより

文化庁消防庁が連携・協力なんですよね。

消防法

第8条 学校、病院、工場、事業場、興行場百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める2以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるもの*1の管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行なわせなければならない。

実は消火訓練実施の義務は、消防法に基づきます。つまり、文化財に指定されているからといって、1月26日前後に実施しなければならないというものではありません。実際に夏に消防訓練を実施している自治体もあります。火を出さないことが一番なんですが、実際に火が出た場合を想定して対処方法を研究・訓練するならば、毎年違う時期に実施しておくほうがいいのかなぁと思う部分もあります。

正直、「夏場の訓練のほうが参加していただく方々への負担は少ないんじゃないか*2」「何も真冬に放水訓練しなくても」と思いつつ、「やっぱこの時期にやると身が引き締まる」という関係者一同の声に支えられ、今年も無事訓練を終えました。

*1消防法施行令第6条 別表1(17)で文化財に指定された建物が定められている

*2:河川やため池等自然水利から取水すると、水の臭いがキツイというケースもある。しかし、訓練終了後のシャワーとアルコールの誘惑(以下、自粛)

2012-01-22

史跡指定された土地の取得に関して

日曜の午後、昼食がほどよく消化された頃、偶然茨城県牛久市の市指定史跡小坂城跡を取り上げたこの番組を見ました。

大抵は他局の番組を見ているですが、CMの間にチャンネルをザッピングしたまま、結局番組終了まで見ました。

住民運動まで起こっている牛久市林地購入問題。

小坂城跡…その場所を調べてみると「市街化調整区域」であり「埋蔵文化財包蔵地の指定」を受けた土地なのです。その林地を申請できるという可能性だけで「宅地見込み地」として評価してもいいのでしょうか。

市職員は「文化財保護法の所定の手続きを行えば、開発することは可能。今後宅地として開発される可能性も排除できない」と私たちの取材に答えています。

確かに調整区域文化財指定も手続きを行えば網が外れ、開発は可能になるでしょう。

しかし、牛久市は歴史的財産保全を目的として「小坂城址公園整備事業」を計画し、国の補助金などを使い整備事業をはじめたのです。「宅地として開発…」ということは、史跡的財産を壊し造成するということです。「守る」のでしょうか「壊す」のでしょうか?疑念を抱く現場でした。

TBS「噂の東京マガジン」山城跡の不透明な売買!血税返せ住民激怒 TBS「噂の東京マガジン」

番組HPの紹介文は突っ込みどころ満載なんですが、史跡の取り扱いに関することだけ指摘します。

「市街化調整区域」であり「埋蔵文化財包蔵地の指定」を受けた土地なのです。その林地を申請できるという可能性だけで「宅地見込み地」として評価してもいいのでしょうか。

『林地』ではなく『隣地』の誤字ではないか、という疑いもありますが、山林だろうが、農地だろうが文化財包蔵地として登録されただけでは『宅地見込地』として扱うことはありません。

宅地見込地とは、農地地域、林地地域等から宅地地域へと転換しつつある地域内にある土地をいいます。市街化調整区域に指定されている箇所であれば、市街化を抑制すべき区域として、開発行為は原則として抑制され、都市施設の整備も原則*1として行われないのです。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することが出来ないするには規制がある地域*2だということを取材前・取材後に理解できていれば、こういう文章は書かないと思うのですが。

確かに調整区域文化財指定も手続きを行えば網が外れ、開発は可能になるでしょう。

史跡に指定されているので、開発はほぼ不可能です。

歴史ある場所を後世に残すために、史跡に指定して土地に対する開発に制限をかけます。しかし、所有者は制限を受けることから、財産権の制限に対する補償的措置として公有化を行います。個人の土地を公有化することは、地権者が誰ということを考えて購入するものではなく、その土地の意義や目的を考えて購入するものです。ですので、地権者が市長の親族であれ、史跡として保存が必要な箇所であれば、堂々と主張すればよいと思います。

ただ、元所有者から、不動産会社、親族の方に至るまでの土地取得の経緯に関して、いくつかのサイトや資料をみると、複雑な事情があるようですね。ネット上の情報ですので、詳しい経緯や実情はわかりませんので、こちらは割愛します。

*1:区域の変更は都市計画法をはじめとする関係法令等に従って進められるので、簡単にできるものではない

*2:市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域

2011-05-23

いまさらながら気が付きました

以前から実務(地方自治体が発掘調査をする場合)においては、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載したものを、あらかじめ事業者と取り交わしていますが、そのあたりも地方自治体で規定しておく必要もありそうです。

文化財保護法の一部改正

冷静に考えてみれば、とっくにやっておかなければならない仕事だったorz

目下、各自治体の要綱・要領を収集中です。

とっく:都道府県教育委員会市町村での事務について定めた直後くらい。って、平成18年度から平成19年度。

2011-05-07

文化財保護法の一部改正

地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律で、文化財保護法の一部が改正されましたね。

文化財保護法の一部改正)

第十条 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の一部を次のように改正する。

第九十九条第二項を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項を同条第三項とし、同条第五項を同条第四項とする。


改正前の文化財保護法第99条はこちら。

(地方公共団体による発掘の施行)

第99条 地方公共団体は、文化庁長官が前条第1項の規定により発掘を施行するものを除き、埋蔵文化財について調査する必要があると認めるときは、埋蔵文化財を包蔵すると認められる土地の発掘を施行することができる。

2 前項の規定により発掘を施行しようとする場合において、その発掘を施行しようとする土地が国の所有に属し、又は国の機関の占有するものであるときは、教育委員会は、あらかじめ、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項につき、関係各省各庁の長その他の国の機関と協議しなければならない。

3 地方公共団体は、第1項の発掘に関し、事業者に対し協力を求めることができる。

4 文化庁長官は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に関し必要な指導及び助言をすることができる。

5 国は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に要する経費の一部を補助することができる。


今回の改正では地方公共団体による発掘の施行に関することの一部が改正(削除)されました。

実は改正された第99条の前、第98条では、国による発掘の施行について位置づけています。文化庁長官による発掘の施行の対象を「歴史上又は学術上の価値が特に高く、かつ、その調査が技術的に困難なため国において調査する必要があると認められる埋蔵文化財」とした上で、発掘を施行しようとするときは「文化庁長官は、あらかじめ、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付しなければならない」としています。


改正前の第99条第2項では、その土地が「国の所有に属さないものし、又は国の機関の占有するものではないとき」の取扱いについて不明確だった部分を残していました。土地の所有者・占有者にかかわらず、地方自治体は発掘調査の施行することができることになりました。


以前から実務(地方自治体が発掘調査をする場合)においては、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載したものを、あらかじめ事業者と取り交わしていますが、そのあたりも地方自治体で規定しておく必要もありそうです。

発掘を施行しようとする際の手続は地方自治体で定めるべき、というところが『地域主権改革の推進』で取り組む主意・・・。(なのか?)

2010-07-27

所有者の意向と指定・登録

 文化財保護法及び関連法令では、関係者の同意を必須とはしていませんが、文化財は、所有性があり、それゆえ、関係者の協力は不可欠であり、安定した文化財保護のため、結局所有者をはじめとする関係者の同意を必要とする運用が必要としている、というようのは経験上の感覚(極めて個人的な経験則)。

 で、所有者の協力を得られないとどうなるか、という問題は悩ましいところ。

 羽澤ガーデンの取り扱いをめぐっては、行政文化財保存団体それぞれに主張があるようであるが、まずは文化財指定に関する所有者同意の取り扱いについての裁判所の判断については注目しておきたいところ。加えていうなら、所有者同意がないまま指定が実施された場合の財産権の判断まで踏み込むかどうか。