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2016-04-02

ギリシア人の物語 1;民主政のはじまり

| 09:16

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり

この半世紀余り、西洋史上のルネサンス中世古代ローマと書いてきてつくづく思うのは、時代を画すほどの本格的な改革を成し遂げる人は、既成階級からしか出ないのではないか、という想いである。この階級に属す者の中には時に、自分たちの属す階級のどうしようもない欠陥を直視できる人が出てくる。

改革は、既得権階級のもつ欠陥に斬りこまないことには達成できない。斬りこむには、欠陥を知りつくす、と言うか肌で知っている者のほうが有利にきまっている。


第二次ペルシア戦役

1年目の前480年は、サラミスの海戦によってギリシア側が、ペルシア相手に「決定打」を放った年になる。

2年目の前479年は、プラタイアでの勝利に加え、ミカーレとセストスの奪還成功によって、ギリシア側がペルシアに、「とどめ」を刺した年になったのだった。


ツキディデスのおかげで、パウサニアスは、スパルタの「エフォロス」にとってだけでなく、その後も長く、「裏切者」と断罪されてしまったのであった。

おかげで、ペルシア帝国を完膚なきまでに叩きのめした「プラタイアの戦闘」への後世の評価までが、「サラミスの海戦」と並ぶものにならなかったのだ。スパルタが主役の戦闘は、レオニダスと三百のスパルタ兵によるテルモビュレーの玉砕だけが、後世に名を遺すことになってしまったのである。



感想

塩野さんの最新作。僕もローマ前史といえるギリシャ史に興味があったので、それを塩野さんが綴ってくれるのはとても嬉しいこと。相変わらずの力作で、とても楽しく読むことができた。これを機に、ギリシャ神話とかにも親しんでいきたいところ。


ペルシアを追い払った「サラミスの海戦」は有名だけど、その後に行われた陸戦の「プラタイアの戦闘」での勝利と合わせてのペルシアへの勝利だった、というのは初めて知った。そして、そんな重要な戦闘が現代にあまり知られていない理由についても。やっぱり歴史ってのは面白いね。


ギリシア政治家といえばペリクレスしか知らなかったけれど、それ以前に体制を固めた政治家達について知れたのも良かった。2,3巻の刊行も楽しみ。