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mainitigasundayの日記

2011-12-30

ジム・レーヤー「メンタル・タフネス」

 本書は、もっぱら有害なものと認識されることの多い、様々なストレスが、実は成長の糧ないし契機として利用し得るものであり、そうすべきだということについて、原理原則のみならず、いかにもアメリカハウツー本らしく、その方法論を非常に具体的に解説した本である。この点、我が国の巷間にあふれるストレス解消やストレス・フリーを目指す本とは趣が異なる。もちろん、本書の主張も、「過剰」なストレスによる心身へのダメージを否定するものではないが、それを避けつつ、「適度」なストレスの受容と、それからの回復のサイクルを経ることによって、個人のタフネスが徐々に増加すると説く。これは換言すれば、人間的な「器」ないし力量が大きくなると言う意味とも考えられる。
 恥ずかしいことであるが、私は、本書を読むまで、とりわけ職務上の繁忙・責任・リスクなどに起因するストレスから逃れる、あるいはそれをうまく解消することばかりを考えていたが、本書は、そのような発想の根本的転換をもたらしてくれた。本書を読んでからは、職務上起きる様々な困難や試練について、ある程度ではあるが、「自らの成長の糧」と感じることができるようになり、結果的には、そのような出来事自体を、まったく楽しんでいるとまではいえないにせよ、余りストレスと感じなくなってきたように感じる。本書と現役最後の年にではなく、もう少し人生の早い時期に同書に巡り合えていれば、もう少し成長できたのでは、という思いを禁じえない。
 ただ、同書を読んで、そのような趣旨を心から納得できたのは、実は、個人的には、別の契機があったからかもしれない。それは、たまたま、同書を読む少し前からランニングを始め、「マラソンを走りきれるようになるには、ただマイペースで長距離を走っているだけでは駄目で、自分が苦しいと感じるくらいのペースで一定の距離を走り、その後、呼吸を整えるためペースを落として一定距離を走り、また上げるといった練習をする必要がある」という趣旨のことを学んでいたことである。このため、そのような考え方を理解・納得する素地ができていたのであろう。

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