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2006-12-22 [日記]よもやま日記

[][][]青い花」2巻に見る、百合のリアルとファンタジーの狭間

12月はすごいんだゼ。

袴田めら「最後の制服」3巻が出るし、「マリア様がみてる クリスクロス」が22日発売だし。

そして志村貴子先生の「青い花」2巻がついに出ましたし!

毎月このくらい百合本が出たら幸せなのにー。自分が。

 

さて、「青い花」1巻が出たときは「これは百合じゃなくてビアン物だ」と話題になったものです。そもそも百合ってなんだよ、って話にまた舞い戻ってしまうのですが、「マリみてっぽいのが百合だろう」と思っていた多くの人の価値観に大きな衝撃を与え話題になりました。

「好き好き大好き」さん、青い花1巻感想

百合好きな人はもちろん、そうでない人の心にも訴えてくるこのマンガ、読んでいて非常に血が逆流するような感覚に襲われます。別段なにかすごい冒険をするわけでもないのに、妙にハラハラしてしまうのです。「マリみて」で感じる「ドキドキ」感とはまったくベクトルの異なる「ハラハラ」感、それはどこから生まれるのか、この本を知らない人への紹介もかねて書いてみようと思います。

  • 友情と憧れと恋愛にもまれる少女達。

様々な少女達が出てくる話ですが、主に主人公格なのは4人。

万城目ふみちゃん。

背が高く、大人びた外見をしているのに、ものすごく泣き虫です。先輩のことが好きになって付き合うことになるのですが、彼女の感情は非常に繊細で、気持ち悪いって思われたらどうしようとか、友人のあーちゃんのことが初恋だったんじゃないかとか、とにかく考えて考えて悩んじゃって、泣いたり照れたり泣いたり泣いたりします。

ものすごく大人っぽいのに、見ていて不安で仕方ない!だけど「こうしちゃえよ!」と言えるほど事態が簡単じゃないのもしっかり描き込まれているので、歯がゆいやら切ないやらなんとかしてあげたくなるやらで大変です。人間的に接触する視界が女性たちだけしか写らない、この子の脆そうな心理描写が、作品のテーマへのカギになっていきます。

そしてその親友、あーちゃんこと奥平あきら。

天真爛漫で「わりと」しっかりもの、という表現がしっくり似合う子です。あくまでも「わりと」。ふみちゃんが見ていて不安になって仕方ないならば、この子は見ていて安心したり爽快だったりします。そしてふみちゃんと同じ気持ちで「あーちゃんに甘えたい!」と感じてしまうから不思議。見た目でいうと登場人物の中で一番幼げなんですけど、一番しっかりしている気がします、わりと。物語を動かす原動力になっていますが、周りの子たちが悩んでしまうので彼女の思っている価値観で世の中は動きません。それでも、様々なキャラに感情移入しながらあーちゃんについつい頼りたくなってしまいます。

あ、関係ないけど、あーちゃんのアニキは変態です。それ以外の説明ができない。

女生徒キラー、杉本恭己(やすこ)先輩。

一挙一動がかっこよすぎて、小学生からノーマルな生徒までみんなメロメロにしてしまいます。意図的か偶然かはわかりませんし、おそらく本人もわかってないんじゃないかと思います。

周りの生徒や後輩たちは彼女にキャーキャーなんですが、彼女にも様々な悩みがあるようで、そう単純に宝塚の男役にはなれません。そりゃね。マンガみたいに簡単に「ミスター」にはなれないですよ。これもマンガだけど。

あーちゃんの高校に入ってからの友達、井汲京子。

杉本先輩が好きで好きで、しかたないといった感じ。色々複雑なこと考えてスキかどうかを考えるほかの子と違い、比較的ストレートに好きな感情を吐露します。まだ出番は少ないですが、3人の間にどうはいって来るのか楽しみなキャラです。


  • 百合のファンタジー。

「百合」という言葉は、現在は主に「女性同士(あるいは精神的に女としての性を持っている人同士)の人間関係性」をあらわす言葉になっています。オタク世界だけでなく一般的にもわりとそのイメージで浸透していますネ。昔はエチィーなイメージが先行していたようですが、今はすっかり切り離されています。

しかし、セーラームーンあたりから連なるアニメのイメージは、「百合」という言葉を女の子同士の関係性以外の印象を知らずのうちに残すようになっているのではないかと自分は感じています。

・ミッション系の女子校

・寄宿舎や、密接に暮らせる閉じた環境

・お上品な言葉づかい(ごきげんよう

・お互い引き(受け?)気味になりやすい心理描写

あまり百合作品を読まない人でも、百合と聞くとこのへんが頭に浮かぶのではないかと思います。

これ、全ての作品がそうだ、ということではないですヨ。むしろこれをなぞったままの作品は少な…くはないですね。結構あります。

マリみての影響の大きさもありますが、女子校の印象というのはその前から少女小説などで多く用いられたモチーフかもしれません。

これがよいか悪いか、新しいか陳腐かというのは問題ではないです。

素直に「そういう」世界が見たいじゃないですか。

既に一つの世界観として確立している感のあるそれら「百合イメージ」、SFや魔法の世界のような一つのファンタジーとして捉えられるようになると、百合作品への敷居が一気に低くなります。やおいもそうですね。現実と違う!と言い出すとほんとキリがないのですが、ジェンダー論で頭を悩ませるよりは、素直に受け入れた上でキャラの心の動きを見る方がその世界に浸れるんじゃないかな、と自分は思って読んでいます。

そのような面で、「青い花」はムリして頭をひねらなくても、また一定量の基礎知識がなくても、それらファンタジー部分をすんなり受け入れられる描き方をしています。一つ一つのコマがそのファンタジーを分かって描かれてるんですよネ。

作者の志村さんの話によると、まだ校舎の構図や設定は完成段階ではないらしいですが、十分に「ファンタジー」をぶつけてくる、説得力のあるコマが多くて魅了されてしまいます。コマによっては1枚イラストとしてかなりの完成度を誇るものが多いと思います。それだけでも見る価値ありです。

  • 百合のリアル

ファンタジーな論調の中に、現実的なものをほおりこむと、そのインパクトは絶大なものになります。

1巻では、ふみちゃんがあーちゃんに言った「気持ち悪いなんて思わないで」が、自分には強烈に心に残りました。そもそもどういう意味で言ったんだろう?単純に、一つの答えで解決できるものではないので、そのへんは読んで確かめてください。

2巻ではこのコマが強烈に光っているのではないかと思います。実際にどういう内容なのかは、これも読んでいただくとして。

基本的にファンタジーな「百合」で物語は進行していくので、読者もふみちゃんと一緒にハラハラしながら顔を赤らめて楽しめるのですが、志村先生はそれだけですまない現実を差し込んできます。

現実が差し込まれていくと、物語は急速に角度を変えます。読者もドッキリしてしまうのですが、キャラ達もやっぱりドッキリします。そしてそれらの、現実をたたきつけるような言葉に関して、解答になる説明はまったくありません。

杉本先輩が「ミスター松岡」と言われても浮かれることが出来ないのはなぜか。

ふみちゃんがなぜ泣いてばかりいるのか。

放浪息子」でもそうですが、残酷なまでに冷静に現実をたたきつける言葉が志村作品には多く見られます。しかしそれは、非常に温かいです。きづきあきら先生が同じシーンを描いたら、再起不能になりそう。自分が。

志村先生の描く現実は、確かに軽い痛みも伴っているのですが、描かれているからこそほっとしたりします。そのときの感覚ってとても特殊なんですよね。逃避してしまいたくなるようなハラハラ感と、過去を振り返るようなノスタルジック感と、うまくいかない性を見守るやさしさと。

投げっぱなしにキツイ言葉をちりばめるだけではなく、それを受け止める存在が描かれているから志村貴子作品はハラハラしながらも安心して楽しめます。

「青い花」で言うとそれはあーちゃんだと思います。ほんと読んでいるとあーちゃんがひたすら愛しくなります。何もかも投げ出して涙ぼろぼろこぼしながらあーちゃんのところに行きたくなります。もしかしたら、これが志村先生の見ている世界なんじゃないかと思ったりするのです。「放浪息子」でいうと佐々ちゃんやマコちゃんの位置カナ?

にしても、ナチュラルにパジャマパーティーしている二人、見ていてキュンとなります。ああもう、この二人が結婚しちゃえばいいのに!(暴言

  • 百合は空間も大事。

自分が一番好きなシーン。映画館で不安でいっぱいのふみちゃんが、あーちゃんの手を握り締めるシーンです。

といっても、ふみちゃんは先輩のことが好きなわけで、あーちゃんのことは友人として好きです。

そのあーちゃんへの好きの思いを「持て余して」しまいそうです。つか見てのとおり持て余しています。

「友情」という言葉だけでは表現できないなにか。寄り添いすぎず、離れすぎず。この距離感がうまいんですよね。

百合作品の面白さには、この独特の距離感もあると思います。

1巻よりもはるかに密接に近づきはじめたふみちゃんとあーちゃん。この二人がどのような関係になっていくのかはまったくわかりません。それもあわせてやっぱりハラハラするのです。

この二人の関係は今は恋愛ではないけれど、その関係性がとても「百合」だなあ、と感じます。だから大好き。

 

まだまだ書きたいことはいっぱいあるのですが、どうやってもネタバレになるのでここまででガマンしておきます。ちょっと長く書いてしまいましたが、そのようなわけで百合ベテランな人にも、百合なんて興味ないよという人にもオススメできる本だと思います。

あと言いたいことは、ふみちゃんとあーちゃんは結婚すればいいのにということです。ほんとにもう。

 

青い花 1巻 (F×COMICS) 青い花 2巻 (Fx COMICS)

追記

これから買われる人は、とらのあなで買うことをオススメします。志村先生のおちゃめなペーパーの質の高さに自分はぶったまげました、まさかここまで!!続編希望!

 

追記2

重要な情報いただきました。ありがとうございます><

>ペーパー開催店舗が「通信販売除く」なので文章に注意をいれてほうがようのではな

>いでしょうか?

>http://www.toranoana.jp/shop/061214blue/061214blue.html

>■ 開催店舗

>コミックとらのあな全店(なんば2号店・通販は除く)

>私も通販で買おうとして「除く」で Σ(゜Д゜)ガーンとなりアニメイトの方のペーパー

>を入手しました。

もう品切れしているとらのあな店舗も多いようで、もうはや重版も決定しているとのこと。

ペーパー付きを見つけたらラッキー、という感じで。なんかあおるような書き方になってしまって非常に申し訳ないです。でもね、そのくらい志村先生のネタ詰め合わせ(とらのあなのふみちゃん)なので見てほしいんですよぅ、重版にもペーパー付くといいのだけど…。



〜関連記事〜

百合ってどっからどこまで?

百合作品の本質

「百合的」というファンタジー

「801とは」から「百合とは」を考える。(未定稿)

「受けx受け」が百合っていう考え方はいまいちしっくりきてなかったんですが、青い花を読んだあとに考えると、距離感の問題なのかなと思うようになりました。

 

〜関連リンク〜

「青い花」1巻 志村貴子インタビュー

青い花2 (百合な日々)

女の子ばっか被害者かよ(負け組日記)(再掲)

「放浪息子」に関して。