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2009-06-28 私立桜が丘高校軽音楽部日記
■[ヱヴァ]【ネタバレ有り】「ヱヴァ破」の目指した破壊と再生はどこにいくのか?
映画館と言えばポップコーンとジュースですな!
今回も「ヱヴァコンボ」で、しかもアスカバージョンということだったので「アスカのフィギュア顔似てないな!」とか思いながら買いました。買うとも。アスカだもん。
で、食べ終わって裏側を見たら。

完食。
箱自体のギミックが色々面白いので、にやにやでした。
さて、ここから映画版を見ての感想になりますが、クリティカルな部分は避けつつもネタバレがあります。
ヱヴァ破は、ネタバレが非常に致命的な映画です。
ですので、以下は映画を見た人だけ見てください。
映画を見ていない人はご注意ください。
間違って開いた人でも大丈夫なように、がっつり下げておきます。
このくらいでいいかしら。
さっきの「完食」の箱ですが。
なんて悪い冗談ですか?
偶然ですか?わざとですか?
わざとだったらそれはそれで、そのブラックさに拍手しますよ。
ああもう。やりやがった。
今回「コミュニケーション」という最大のテーマの表象として「食事」が出てくるわけですが、それがあまりにも悲しく、嫌悪させるような仕方でぶつけてくるあたり、やっぱりヱヴァだなあと深く深く感じ入りましたとさ。庵野監督は今も菜食主義なんだろうか。
●「式波」●
アスカの名前が「式波」*1になっている、という事前情報が流れたときに、自分の頭の中では色々パニック状態でした。なにそれ?聞いてないよ?(そりゃそうだ
自分にとって「アスカ」という存在は、10年越しの恋愛でした。
たぶん自分だけではなく、アスカとレイによって人生が狂った人は多いでしょう。良くも悪くも。
自分にとって劇場版「破」を見に行くと言うことは、過去の恋人に会いに行くどころではありません、現在進行形で、愛しい人に会いに行くことなのです。
おおげさでキモいね!でもキャラを好きになるってそういうことなんだよ。
けれど、映画をご覧になった方なら、誰しもが「あれは惣流・アスカ・ラングレーではない」と分かるはず。

そもそも性格からして別次元。割と(シンジとレイ以外には)人当たりがよくて、人気もあって、「クラスのヒロイン」的だったのが惣流。誰が見ても「美人」と噂し、写真の売買も行われていました。
しかし、式波・アスカ・ラングレーは人とつるまないわけですよ。
私は誰よりも一番になろうとしている。私の居場所はヱヴァに乗ることしかないから。だからクラスの誰ともかかわらなくていい、私一人でイイ。
彼女がクラスメイトと話しもせず、一人でゲームをしているシーンに軽く衝撃を覚えました。
そこで、やっと気づくのです。
「ああ、これは惣流ではない、式波なんだ。」と。
根は「アスカ」なので、「アスカ」であることには変わりありません。実は寂しがり屋で、素直じゃないひねくれもので、かわいいところもあって、バカシンジとの相性もなんだかよくて、嫉妬深くて、そんなすべてをトータルするとなんだかかわいくて。
ただし、彼女は「式波」。
彼女が選択し、歩んでいく物語は、テレビ版とは全くの別物でした。テレビの「惣流」のように人とのコミュニケーションをそこそここなし、大人の男性にも興味があったりする明るい彼女では選ばない道に進んだのは、運命のいたずらではない。式波だからです。
それは、恋人に会いに行ったぼくらを驚愕させるだけではなく、あのキモが冷えるような展開に対する最善のクッションでもありました。
おそらく、スタッフも「アスカをどう物語に生かすか」に対して、死ぬほど苦労し悩んだのではないかと推測されます。
「とりあえず」というわけにはいかない。しかしアスカを中心にした物語を映画の枠に入れるなら、レイは、シンジは、もっと軽くなってしまう。
そして物語のテーマ、コミュニケーション不全は、今回別の方向での解決を目指そうとしている。
ある面、動かしようのない物語とキャラクターを「破壊」するのは、簡単なことではないでしょう。先ほども書いたように、それは恐ろしいほどの「ストレス」です。
パンフレットにも書かれていましたが、「(某回は)変えれば変えるほどだめになってしまう」というほどに、テレビでの完成度をスタッフが重視していました。
アスカのことを、視聴者以上にスタッフは愛していた。だからここにいるのは「式波・アスカ・ラングレー」だったのです。

無論、「どうせ別キャラだし」なんて自分には思えないわけで。
式波も、惣流も、スタッフが総力を尽くし、庵野総監督と摩砂雪・鶴巻両監督の熱い愛情を注ぎ込んで描かれたキャラです。決しておろそかにされてはいない。
だから、テレビ版と全く違う、背筋を快感がかけぬけるような登場シーンには思わず涙が出ました。
明るく色気を振りまくシーンには、中学生の少年の頃の自分のように、ひたすらにときめき、照れ、「かわいいなあ」と純粋に思いました。
アスカへの淡い恋ゴコロは、式波でも全く変わりませんでした。
アスカが、好きだ。
だから、自分はシンジ君と同じ視線でスクリーンを見ていた。
ほんと…予告がなかったら発狂するんじゃないかと思ったですよ。ある意味「式波なんだ」ということで一生懸命自分に言い聞かせながら、平静を保ちました。
ああ。
エヴァは十数年たっても、ここまでおっさんの魂を激しく突き動かし続けるのか。
なあ、アスカよ。
●もう一度なぞる。●
序の時に気づいた方が多いかと思われますが、ヱヴァ新劇場版は「リメイク」ではないです。かといって「育成計画」のようなパラレルワールドでもありません。
答えはまだ出ていませんが、「一度すべて終了した物語を、再度1から積み立て直す」という、なぞりなおしになっています。
物語自体がいったん終了し、それをリセットして見返している、という作りになっているのもありますが、制作者側もまた同じ行為をしているんですよね。
だから『新劇場版』も「同じものをやり直していること自体が映画になる」みたいな展開にできないかと。物語を変化させること自体が作り手にとってまずストレスであって、劇中の登場人物にとってもストレスであって、それが観ているお客さんたちにもストレスになって…みたいな。その状況含めて「映画」にならないかなと。
(パンフレットより、鶴巻監督)
式波・アスカ・ラングレーの辿った物語は、まさに制作者・キャラクター・観客すべてに恐ろしいほどのストレスを呼び起こしました。
テレビ版を知っている人間で、アスカが好きな人にとっては「出てこない方が幸せなんじゃないか」「出番が少ない方が彼女は無事に生きられるんじゃないか」とすら思われていたアスカ。
箱を開けてみると、思った以上に彼女の出番は多く…そして思った以上に彼女の運命は奇怪な方向にゆがみます。
ここで結論を出すのははやいので、アスカについては続く「Q」を待ちましょう。
●シンジとレイ●
「なぞる」ことによって色々なものが変わっていったのは、アスカだけではありません。すべてのキャラです。
特にシンジとレイの変貌には目を見張る物があります。
シンジは「弱虫で」「逃げてばかりで」「うじうじしていて」という印象が強かったキャラでした。直撃世代の人には「わかるよ、シンジ分かるよ!」という激しい共感を抱かれつつも、海外での「嫌いなキャラベスト」に毎回ランクインするほどのうじうじっぷり。日本ならではの「うじうじ」キャラの代表となりました。
が、今回のシリーズ…シンジの行動に関しては「そりゃー逃げるだろ普通!」って感じさせられること多いんですよね。
怖いんだよ、怖すぎだよ新使徒どもが。
前回のラミエルの恐ろしさも尋常ではありませんでしたが、今回の第十使徒、落下するサハクィエルとの戦いのシーンなんて恐怖そのものじゃないですか。
こええよ、そりゃ14歳なら逃げるよ。まじで勘弁してくださいよ!
だが、やつは走るんだよ。

映画版のシンジは、嫌なことから逃げだそうとします。それは変わりません。しかし「嫌なこと度」が桁違いなので「そりゃそうだ」と納得させる恐怖感がスクリーンからあふれ出ています。
そして、ここが最大の違いなのですが…積極的に人との交流を求めようとします。
トウジやケンスケの影響が一番大きいのかな、と思います。序で「がんばれ!」と言ってくれた彼らによって、シンジは「もう少しだけ人と触れあってみよう」とするんですよね。そこが大きな分岐点になります。
ケンカ腰のアスカに対してもなるべく仲良くしようとします。みんなにお弁当を作ってあげる気の使い方もできます。
レイに対しては特別に気にかけ、彼女と話そう、彼女が喜ぶことをしようと、彼が自分から選択して動くのです。
なあ、考えられるか。
あのシンジが、自分から動くんだぜ。
そして、終盤。彼は戦うんだぜ。自ら選んで、本気で。
かっこいいじゃないか。
きっかけは小さなことかもしれませんが、「同じ道」をなぞるはずだった物語は小さな刺激で大きな変化を遂げていきます。
レイも「何度死んでもかわりがいる」子でしたが、驚くべき事に彼女は自ら、選択し、動きます。
明らかにシンジの影響です。
「ポカポカする」は名言すぎて流行ると思います。(主に自分の中で
レイはテレビ版のラストの学園編で、はっちゃけた様子を見せみなをあっと驚かせました。「鋼鉄のガールフレンド」や「育成計画」では、意志をもった人形ではない一人の女の子として、感情豊かに描かれます。
それは「レイではない」という別キャラのような印象がありましたが、今回の「破」でつながります。
レイの中には、様々な可能性があった。
その一つが、何度でも死ぬ人形としての、テレビのレイ。
そしてもう一つが、みんなに喜んでもらいたいと積極的に動く決意をする、今回のレイです。
二人の行く末は全く見えない霧の中に突入してしまい、今は「Q」を待つしかないわけですが、同じ駅から出発した電車は全く違う線路を走っているのだけは間違いありません。
むしろ、結論に向かって線路をひいているのではなく、線路をひきながら走っているんじゃないでしょうか。
●マリ●
新キャラ、マリについて。
非常につかみどころのないキャラです。
そもそも彼女の性格を明確に表すシーンがほとんどありません。シンジ・レイ・アスカがそれぞれ苦悩しながらヱヴァに乗っているのに、彼女は全然悩んですらいません。
どちらかというと、デザインも性格も「トップをねらえ!2」に似ている気がします。
前向き?うーん、それも違う。ただ「その場を楽しんでいる」という感じに近い。
かなり破天荒なキャラですが、かといって「場をだめにしよう」としているわけでもない。
しかし、彼女がいないと、物語のレールは別の方向に進むこともないでしょう。
水は静かにしておくと、マイナスになっても凍りません。液体のままです。それが今までのテレビ版だとしましょう。
しかし衝撃を加えたり、棒を差し込むと、まるでアニメーションのようにパキパキと凍り始めます。
その棒の役割が、マリなんじゃないかと。

マリがいないと、話は始まらないわけです。
何か意図して絡むというほどではないけれども、そこにいることで大きく変化が起きる。
考えてみれば「ヱヴァのキャラクターはみんな庵野監督だ」なんて言う庵野監督自身の言葉がありますが全くそのとおりで。理由をつけて頑固にうんうんうなっている人が増えても変化はおきません。破壊も再生もできません。だからこそ、あれだけの完成度と話題を呼んだのですが。
しかし、マリの、いわばどーでもよいと割り切る性格やいい加減さって、結構リアルな気がするのです。カウンターというよりも、「こういう子も、いてもいいよね」という。
今後彼女がなにかアクションを起こすとき、それはシンジが悩んで下す結論のような思い物ではなく「なんとなくやってみた」に近くなるでしょう。でもそれこそが、物語の破壊と再生を呼び起こすための呼び水になるはず。
かめばかむほど味が出そうなキャラ、マリ。パンフレットでは比喩表現として「シンジを寝取る」なんて書いてあってぎょっとしましたが、そのくらいのことしでかしちゃうそうで…いやそれもありなんじゃないかしらと。
「ぼくの望むエヴァの世界」は、シンジとアスカがハッピーエンドを迎えて…という「鋼鉄のガールフレンド2」漫画版の世界ではありますが、それはそれ。
マリによって起きた化学反応が、スクリーン上で1秒ごとに形を変えていくから、この映画は面白い。
-----------------------------------------------------------------------
題名の「どこにいくのか?」の解答ですが、それは「今作っているところ」が答えだと思います。
きっと、解答ってないんだと思うんです。作る側が、観る側が、リアルタイムに動くヱヴァを体感しながら、それを追いかけていく。いろいろな原因を両手に抱えながら、全く別のルートを一歩ずつ。
完全なる模倣ではなく「全く新しいもの」を、ストレスの中から生み出してエンタテイメントにしようとする試みこそが、その誰もまだ分からない答えの鍵になるのではないかしら。
なにはともあれ…予告編があってよかった。
あれがなかったら立ち直れなかったよ!
とりあえず、今だから言える。
アスカのパンツえろかったです。もちもち。
せっかくのアスカのお風呂上がりを、ディフェンスに定評のあるエビチュビールががんばりすぎたのには「畜生!畜生!だがそこがいい」と思いました。
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