たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

小学校に通うとき、名札って付けて行った?

ネットラジオやっていて面白い話題になったので、少し記述。
 
「友達100人できるかな」というとよ田みのる先生の作品があります。
舞台が80年代の小学生の光景ということで、むせかえるほどの80年代臭に溢れた傑作なのですが、出てくる子供たちが明らかに80年代だと思わしめるあるアイテムが細かく描写されています。

おわかりになりますでしょうか。
そう、名札です。
 

●消えた名札●

名札 - Wikipedia
名札と言っても学校ごとに違うので、画一化されたものではありませんが、今20代後半以降の人ならビニールケースに布製の記入欄が入った名札は馴染みが強いかと思われます。40円から50円くらいだったはず。
校章、学校名、学年と組、そして名前。
裏にもう一枚紙が入っていて、学校によっては住所・電話番号を書くようになっていた所もあると思います。
血液型を書く学校もたまにありました。万が一の事故にあったときの、輸血のためなんでしょう。
 
そして、上の方の安全ピン。ここがちぎれて買い直した人も多いはず。
安全ピンの部分もかけまわって遊んでいると安全じゃなくて、あちこちに刺さったりしたものです。逆に自分からはずして、手の皮にさしてぶらさげたりとかしましたね。小学校高学年で、好きな人の名前を安全ピンでひっかいて手に書いている子がいたなあ。あれも全国区でいたのかしら…。
中学校になると、制服にプラの名札を縫い付けていましたね。ジャージや学ランだと刺繍だったりしました。幼稚園だと花の形していたり。
ttp://www.nahuda.co.jp/products/01_01.html
そうそう、こんなの。フルネーム+学校名版なんてあったんだ。
 
袋状なので、5円玉や10円玉を名札に入れていた子もいました。何で入れてたんだか分からないけど自分も入れてました。
あと付けたまま洗濯しちゃうのね。裏の紙がひどいことになって恥ずかしいんだけど、次の日そのまま学校に行かざるを得なくて笑われて恥ずかしかったり。
 
このベーシックな形の名札、80年代はほとんどの学校にあったようです。無論学校によるので「必ず」ではないですが、80年代を語る上では欠かせないアイテムでしょう。
なぜ90年代ではないかというと、90年代に入ってからは「名札を外してもいい」「むしろ登下校時は外しなさい」という学校が激増したからです。
 
この頃からというわけではないのですが、誘拐やいたずらが問題として明るみに出始めます。
名札なんて、言ってみれば「歩く個人情報」ですよ。あの子はどこの学校の何年生の誰それ、どこに住んでいる。丸わかり。
加えて、名札があると声をかけやすいんですよね。
「あれ?○○のところの△△さん?」
「○○くん、おじさんのこと覚えてるかな?」
名前で呼ばれると警戒心ゆるゆる。これは恐ろしい。
 
いや、恐ろしいと思わない時代もあったはずなのですが、気づけば「登下校時は外す」という習慣が2000年前後には当たり前になってきます。
学校で朝配って、帰りに集めるための「名札入れ」がある教室…なんて光景もありました。
中学校でも最近は名前の刺繍やプラ名札、なくなりつつあるようですね。
 
同様の理由で、連絡網も激減。クラスの他の人を疑う、というわけじゃないですが、悪用しやすすぎる情報の塊だから、です。少し前に、連絡網がネットに流出して問題に…なんて事件もありました。
 
今でも連絡網・名札ともに残っている学校もあります。
ただ、名札は今、少子化の影響で恐ろしいほど売れません。なので文房具屋さんでその学校オリジナルの名札を作るだけ、赤字。ボランティアみたいなものになってしまいます。そんな金銭的な問題もあって、廃止せざるを得ない学校も増えています。
なにはともあれ、現在、80年代に比べたら名札を付けている学校は比較にならないほど少ない、と言って間違いありません。
20代でも「名札つけたことないよ?」という人が今は増えているのではないかと思います。
 
マンガからもちょっと見てみましょう。

志村貴子先生の「放浪息子」より。
名札、付けていないですね。
80年代以前世代にしたら違和感のある光景かもしれませんが、今となってはこれが当たり前です。
 

●名札?●

面白いのが、私屋カヲル先生の「こどものじかん」。

舞台は現代ですが、名札付けてるんですよ。
しかし、この胸に付けているのが本当に名札なのかどうか、よくわかりません。というのも名札っぽいものはみんな付けているけれども、名前などの文字が一切記載されていないから。しかもなんか妙に硬そうに描かれています。
実は名札にもいろいろな種類があるわけです。丸見えにならないようにポケット状になっており、必要なときだけ出すタイプのものも存在します。
大規模校や、逆に名前が分からないことで不審者が侵入する可能性がある学校などでは、そんな防御型名札を付けることもある、ようです。実際にそれを付けている学校を見たことがないので明言はできませんが…。
また、防犯のためにこんな名札も。

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通常はプラスチック部分が回転してひっくり返せるタイプ。普段は見えない仕組みです。
まあまあ…いろいろあるもんですなあ。確かに授業ごとに先生のかわる小学校もありますし、名札は教育上はあった方が便利なのでしょうけれども…。
 
名札は現実では猛烈に減っていますが、マンガ表現の中では非常に便利なアイテムです。なんせ「つり下げ型の名札をしている=小学生」です。「こどものじかん」はそういう記号的側面を利用するために、児童が名札をしている気はします。ただ、表紙などの色や形を見ても、明らかにビニール製の名札と質が違うので、「緊急時用カードケース(血液型や連絡先の入ったケース)」の可能性が高そいのではないかと踏んでいます。
 

それにしても名札のノスタルジィを感じるようになりました…歳なのでしょうねえ。
でもそういう懐かしい話、嫌いじゃないのぜ。
 
お前ら小学校の時名札のうらに10円入れてたよな?(2ch)
大人になってから思い出す小・中学校の思い出は、一段と特別な味がします。
 

ちなみに「こどものじかん」の巾着袋にはしっかり名前まで書かれていますね。あの胸に付けている硬質なものはなんなんだろう?