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2010-02-02 私立桜が丘高校軽音楽部日記

[][]12歳の少女にお弁当を作る よ「高杉さん家のおべんとう」

●三十路男子が力強く生きて行くのに必要なのは少女だ●

三十路前後の一人暮らし男性は色々なものを適当にしてしまいます。

部屋の掃除とか、お金の管理とか。

その中でも如実にひとり暮らしっぽさが出てしまうのはなんといっても食事!

食べ物がものすごく適当になります。食べられればいいや、となりがちです。ついジャンクフードや外食になることも。

これはいけない。分かってはいるのですそんなことは。

でもなかなか「自分のために」というのは難しいものでして。

 

じゃあそんな男が、しっかりと現実を受け止めながらも豊かな生活と食を育み生活を充実させるにはどうすればいいか。

答え:少女の養い手になればよい。

…って本気で思いそうになりましたともええ。

 

●どう接すればいいかわかんねっつの!●

WEB拍手で教えてもらった「高杉さん家のおべんとう」が死ぬほど面白いです。

ものすごい勢いでツボに入ってしまいました。もう諸手を挙げて「いい、面白い、かわいい」とのたうちまわりたいです。

 

なんせ、この作品独身男性の心臓鷲掴み度が半端じゃないです。

主人公が大学で博士号を取ってから大学教員公募に落ち続けた、後の無い感じの31歳。ほとんどフリーター。ものすごいハンサムというわけでもない凡人。

頭はいいけど学者的な堅苦しさが抜けず、とにかく不器用。

もう危なっかしいと言うか、前半の彼の言動が空振りすぎて見ていられない!

ひーやめて。

 

しかしですよ、実際彼と同じ立場になったら空回りせざるをえませんて。

そんな自分のことでイッパイイッパイなのに、そこにきて12歳の少女を預かってくれとか言われても、なんというか、その、困る。

自分はロリコンなのでこんな事態になったら大喜びして飛び回りそうですが、冷静に考えてみたらそんな少女と家族としてコミュニケーション取れって言われてもほんと困る。しかも手なんて絶対出さないとしても「あいつは性犯罪者だ」とか後ろ指簡単に指される可能性あるわけで、そりゃものすごく困る。

ましてやその女の子に嫌われないという保証も無いですよ。

保護者、という立場で突然女の子あずけられたら、正直困惑するのと、あと怖いと思います。

実際この作品、最初12歳の少女久留里がやってきたばかりの時、二人の距離感がものすごいです。

確かに彼女はかわいいし、荒っぽい性格ではないのでその点楽といえば楽なんですが、何を考えているか分からない分難しさもあるんです。基本31歳男性視点で描いているのですが、最初はボソリと放たれる言葉の一つひとつに怯え、彼女が何を考えているのか分からない、闇の中で手探りするような感覚が描かれています。

「キモい」と言われてべこべこに凹むし、彼女の視線を見て怯えて何も言えなくなったりもします。

しかも無茶をすれば、自分はあっさり犯罪者扱いされかねません。下手なことが何もできない八方ふさがり。そんな彼のリアクションがすごいリアル。あー、こうなるわなー。

 

●久留里とのつながり●

しかし、お互い人間なわけで。

人間はそれぞれが何を考えているのか全く分からないように出来ています。一人ひとりに個があるからです。

その個を知るためにコミュニケーションを交わし、一歩ずつ相手を知ろうと努力する。これが「人生」であり「人間関係」そのものであると言っていいくらいです。

 

久留里は12歳の少女、たぶんこの年齢としてはかなりかわいい部類に入ると思われる、そして比較的無口。

この無口がクセモノです。

「〇〇だ から」とか「〇〇だ し」と最後の1・2文字を遅らせて話すクセがあるようです。

単語会話が多いため、最初はなかなか距離が詰まって行かない感覚に溺れてしまいます。

実際やったはいいけど空振り、話てみたけど大失敗、の繰り返し。急に家族になれと言われても、ほぼ異星人のような思春期の少女を家族として見るには、なんらかのきっかけが必要です。

 

「急に家族が出来ました」系の話は昔からありますが、最近多いですね。「マイガール」とか「おたくの娘さん」とか。

そんな中、この作品の最大の特徴は、コミュニケーションの表象としてお弁当が引き合いに出されていることです。

 

そもそも独身男性はお弁当なんて作らんこと多いのですよ。

しかし他人が、しかも保護者として守らなければいけない家族ができたらそうは行きません。

ここで異文化状態のすれ違いが発生します。

これは豆腐一つ買う時の二人の差。独身男性側は適当に買っちゃうんですが、少女の方は見切り品の安いものをハンティングするように買います。

本当に些細なことですが、重要なんですよ。

どっちに生活のものさしを合わせるか。

 

この「食べ物問題」一つ一つを丁寧に解決するとき、相手の少女との関係が一歩ずつ前進することになります。

そう、食べているものというのは人間そのものの生き方の表現でもあるんです。

久留里はあまり自己主張をしません。ものすごくおとなしい子です。

「おとなしい=何も考えていない」というのは当然大きな間違い。彼女がここに来たこと自体ワケありです。むしろ彼女を知ることはより一層難関であると言っていいでしょう。

彼は彼女の心を知るために、器用な会話が全く出来ません。むしろ普通の会話力すらもままならない。なんというディスコミュニケーションな二人。部屋にいても気不味いのなんの。

しかし食べ物をちゃんと作って二人で食卓を囲むだけでいいよ。それだけで全然変わるよ!

 

ましてや今食べるわけではない来るかどうかの保証されていない「明日」のために作る「お弁当」というアイテムは、曖昧で不安定な関係をつなぎとめるものじゃないですか。

明日は必ず来るよ。

明日もそばにいるよ。

 

●久留里がかわいすぎて生きて行くのが辛い●

最初は「つっけんどんでおっかない子」として描かれる久留里ですが、話を重ねるに連れ主人公がどんどん久留里に感情移入したり距離を詰めて行き、その存在がみるみるかわいくなっていくのが圧巻すぎるんです。

見た目は変わりません。彼女自身もそこまで変わったわけじゃないです。

変わったのは、二人の距離感と、視点です。

もうね…かわいいんですよ。

彼女は別にコミュニケーションが嫌いとか苦手とかではないんです。しゃべれないというわけでもないんです。ただ、夢中なものがあるとそれに一生懸命になるだけなんです。

今彼女が夢中なのは、節約と料理。特にバーゲンセールのプランを立てるのが、ほとんど趣味です。

 

彼女は別に冷たいわけじゃなくて、料理作りに打ち込んでいるんだ、夢中なんだと分かると、彼もそれに生活をあわせて行くわけですよ。

すると、普段自己主張をしない久留里も「こうしたい」と表明するようになります。

一歩ずつ、ほんと一歩ずつなんです。

その一歩近づくたびに、久留里が一歩かわいくなる!

こいつぁやべえ…。

前髪ぱっつん、黒髪ポニーテール、小さい体に制服、大きな黒目。

まめで料理が趣味で、わりといい意味で頑固。

ああ、これはいかんですよ。こりゃ生活も必死に改めるってものです。

 

もちろん心労も多いです。

二人が家族としてどんどん近くなっていくのは、お互いが努力しているからに他なりません。特に男性側は、宙ぶらりん不安定不器用だった自分を見つめ直しながら、それでも自分に出来る最善のことをしてあげようと、もうなりふり構わず必死になります。

あとはこれね。

「少女には手なんて出しませんよ家族だから」という綺麗事はそうそう簡単には言えません。やっぱりもう女性になりつつあるわけで、意識はしますよ。自分がしなくても周囲がするよ。

主人公はロリコンじゃないので決して手を出そうとはしませんが、少しでも変な素振りを見せたらいつでも逮捕される可能性と背中合わせなのも理解しているので、割とハラハラした生活を送っています。

 

確かに久留里はかわいいものすごくかわいいとんでもなくかわいい(超強調しておくところ)。

でもファンタジーの生き物じゃありません。一人の人間です。彼女が突然やってきた「ワケあり」の「ワケ」に直面しなければいけませんし、男性として・女性として意識だってしないわけではないです。世間の目だって必ずしもあったかいわけではないです。

加えて久留里は無口なので学校でいじめられていたりもします。

そのへんもひっくるめてシビアに現実をこの作品は見つめています。人が生きているからにはいい事ばかりではない。

しかしながらシビアな現実をも、プラス思考でとらえながらあったかく見守ってしまうからこの作品はすごい。特にいじめ関連のくだりはちょっとゾクッとしました、なるほどそういうことかと。

ただただ、久留里が愛しくて仕方なくなる。明日の不安なんて山ほどあるし、死んでしまってもいいかなーというあてのない男性独身生活ですが、彼女のために何か出来るならそれで一日が十分にすら思えてくる。

「してあげる」「してもらう」というギブアンドテイクじゃないです。そんな器用な思考なんてできませんから!

もっと愚直でアホで必死な、ただその人に自分の出来る範囲で何かしたい。

それが絆として、何らかの形になっていくのかなー…とか真面目なことを考えそうになるのに、久留里がかわいすぎてニヤける自分はたぶん保護者になれなさそうです。でも全力で応援…するよ!

 

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最後のコマからどう続いているのか気になりすぎる…。その他のたくさんの出来事も含めて一筋縄ではいかない展開ではありますが、それでも見ていて「明日が不安にならない」のは全体に漂う、明日を生きて行こうとする前向きさゆえなのかもしれません。アラサー男子には本当に読んでもらいたすぎる本です。「ホームコメディ」とか「ラブコメディ」とか、そういう物語枠じゃない、1対1の姿なんです。それが共感できすぎます。

女性からの視点でも見てもものすごい面白い本だと思います。主人公の歯がゆさにツッコミをいれながら、久留里とシンクロできるポイントも山ほどあるはずだと思います。決して聖少女としては描かれていません。一人の普通の女の子です。

 

つれづれやな:発売日

柳原先生のサイト。

ヒトコマ写植ミスがあったことが書かれていますので、もうすでに本を持っておられる方は是非チェックを。