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2010-03-09 私立桜が丘高校軽音楽部日記

[][]嘔吐する女の子はこんなにもかわいい。「ハルシオンランチ」

もう各所で話題になっておりますが、沙村先生のハルシオン・ランチがめちゃくちゃ面白いです。

しかし、なんというか個人的には諸手を挙げて面白いと思うしすごい技術力だとも思うんですが、人に勧めるとき一瞬戸惑いますねこれ。

いやあもう「ブラッドハーレーの馬車」に比べたら数百倍勧めやすいのですが(あれは傑作だけどエログロダメな人にはきついし)、なんというか沙村流を受け入れられる人じゃないと困惑する気がしないでも無いのです。

 

ぼくの考える沙村流。

・基本的に不謹慎。

・割と死ぬ。簡単に死ぬ。

・グロネタは基本パーツ。

・ものすごいサブカルなネタの詰め合わせ。

・女体は正義。

ラストが一番大事です。

 

●白痴少女の微笑●

「ハルシオン・ランチ」のキービジュアルとも言える日暮里なシーン。

この可憐な少女ヒヨスがなんでもかんでも喰っちゃうと言うむちゃくちゃな展開が面白い作品です。そりゃねー。化物がメキメキ喰うよりかは女の子が貪り食う方がいいよね。

とはいえ人間でも生ごみでも平気でばりばり食うのでかなり猟奇的。

しかも食べている彼女の知能レベルがちょっとアレなのです。

言わば白痴。最初期こそ少しカタコトっぽくしゃべりますが、後半全然しゃべらずニヘラニヘラと笑っているシーンがほとんど。

食欲以外において脳がまったく動いておらず、ずっと笑っている様はなんとも悪趣味な美学に充ち満ちています。ここが沙村流。

 

一応彼女が白痴っぽいのは、理知的行動をとる寄生ドライバ(?)がついていない(?)ため(?)らしいんですが、まあそういう設定はおまけみたいなもので。

ようは極めてこの子、人形的に描写されているんです。

そして、美少女を人形的に描くことに対する美学のようなものもまた、存在するのを沙村先生はよくご存知のようです。

 

作中で「桃娘」のエピソードが出てきます。

かなり悪趣味極まりないお話。

【閲覧注意】桃娘:アルファルファモザイクだった

桃娘の作り方(2ch)

桃娘1 - 都市伝説広場

グロネタにつき閲覧注意。

真偽の程は定かではないです。まー多分昔の魔都上海香港お得意の猟奇譚の一種だと思いますが、なんだか「ありそう」に感じられるのが恐ろしい。

さてはて、この話非常に非人道的なわけですが、同時にものっすごい少女コレクション的な美的センスをも感じます。これがフィクションとしての物語ならば。非常によく出来ているんです。

沙村先生はこの「ハルシオン・ランチ」で、その物語の持つ耽美さと荒唐無稽さを引っこ抜いて全体にさりげなく散りばめています。

 

ようは、ヒヨスは「食べる」ためだけの存在なわけですよ。

作中でも桃娘の話をキャラ達は毛嫌いしますが、位置づけ的には桃娘のようなものです。

非常にかわいらしい、物を考える事を放棄させられた人形のような少女が、ただひたすらに食べる。

それを、読者が眺める。

見世物小屋のような禁忌感が、沙村先生らしい軽快なジョークで披露されるので、悪趣味と分かっていながらニヤニヤさせられる。

この不謹慎でちょっぴり残酷な笑いがどうにもたまらないんだなあー。

 

●嘔吐する少女は美しい●

サディスティックに女性を描くことで定評のある沙村先生、今回は「ゲロを吐く女の子萌え」に挑戦されています。

マンガっていいよね。

臭いがしないもんね。

 

吐いている女の子がかわいい、というのはわからんでもないです。

いわば、現実社会でもっとも身近な苦悶の表情を見る機会なわけですから。

痛いのとかはちょっといやですが、無力に苦痛に責めさいなまれるよくある光景としての嘔吐。しかも口から何かを吐き出すと言うちょっとした非日常のエロティックさ。そして何より涙目。

 

沙村先生の描写方法が、あまりこの女の子達に感情移入しすぎないように、乾いた感じで描かれているので嫌味がないのが面白いところ。

ようは、もう完全に客体美として割り切っているんですよ。

このヒヨスは、見てかわいい人形としての存在のように、完全に切り離して描かれています。だからヒヨス可哀想とかとはあんまりなりません。

むしろ「苦悶する女性美」や「人形的少女美」を体現していることで、リアルなキャラクター以上にイキイキと幸せそうにすら見えます。

吐き終わった後のエロティシズム。

これを一つの肖像として「かわいい」と割り切れるか否かで、この作品が楽しめるかどうかが大きく変わる気がします。

不謹慎で残酷なことが楽しい、そんなブラックジョーク的なノリが少女美をとことんまで讃えあげます。

やっていることは非常に女性に対してサディスティックなのに、きわめてその女性たちが美しく描かれることで、沙村先生の女性崇拝性が浮かび上がるというのは面白いところ。

例えば「ブラッドハーレーの馬車」も残酷ですが、最終的には女性讃歌になっていたと思うのです。

 

●ファンタジー女体とリアル女体●

ヒヨスの存在は極めてファンタジーです。

ファンタジーの極地として描かれているので、現実味が全くありません。

それを支えて行くのが主人公のアラフォー化野元さんと、メタ子。ツッコミしかいないようなすごいハイテンポで物語は進んで行きます。

 

このメタ子がエライ面白い立ち位置なんですまた。そもそも一話でどう見ても雑魚モブの人りでしか無かったのに、あれよあれよというまにヒロインの座に座ってるんだもの。ヒロインどころか、最近では化野さんよりはるかに主人公しています。この計算された適当さが軽快で素晴らしい。

メタ子という名前からしてアレですが、この子も大概のおばかというかあんまり何も考えていません。考えてもうまい答を出せないというか、話を混乱させるばかりです。でも化野やヒヨスよりはましなのでどうしても物語の中心に。

 

ヒヨスが幻のような少女美だとしたら、メタ子はリアルの権化みたいなキャラです。

目立たない、上手くいかない、甘くない、頑張ってもダメ。現実の美味しくないところを詰め込んだのがメタ子なわけです。

沙村先生の特にギャグ系の話は、突拍子もない話と、リアルすぎて痛々しい話をミックスしてミキサーにかけることで、苦い笑いをドロドロ注ぎ込む所に特異性があります。もちろんそれが肌に合わない人もいると思いますが、あらゆる絵の技術の粋を尽くして描写していることと、軽快すぎるドライブ感であまり気にせず笑えるように計算されています。

余計なサブカルネタをここぞとばかりに詰め込んで、うまくチャフをばらまいて笑いに昇華している部分もあります。このバランス感覚が天才の技だと思うんですよ。

 

メタ子は作者にものすごい愛されているキャラのような気がします。ネタの大部分を背負ってたくましく生きている彼女を好きにならずにいられません。ぶっちゃけ見た目はキレイなヒヨス派ですが、キャラ的にはメタ子がかわいくてしかたない。

ちょっとドキっとしたのはこのシーンでしょうか。

ヒヨスのいる日常はあまりにもスラップスティックでファンタジーすぎるのですが、メタ子はごく自然に「セックスとかする?」と漏らすんですよ。

別に愛し合っている二人でもないです。腐れ縁というかぐだぐだに同じ部屋で寝ている羽目になっているだけの男女ですが、男女ふたりで同じ布団にいたらまあとりあえず・・・というなんとも生々しい感覚。でもリアルです。

このリアルさが差し込んできた時、ヒヨスは寝ているというのも象徴的。ヒヨスはあくまでも非現実の象徴なんです。

単なるモブだったメタ子が、ヒヨスとのバランスをうまく保って、ファンタジーとリアルの綱渡りをダッシュで駆け抜けているからこそ、この作品はいい意味で安心しきれずに面白いんです。

 

ハルシオンランチ 1 (アフタヌーンKC)
沙村 広明
講談社 (2010-03-05)

マンガ作品としては、もう技術的にも満点を付けたいくらいですし、個人的面白さのツボも全開で押されまくりなんですが、いかんせん不謹慎なブラックジョークが基盤になっているのでそういうのが苦手な人なら「有名だから」と読むのは注意。でも多少苦手、程度なら余裕でハードルを越えられるくらい面白いのは間違いと思います。

友人と「なぜ沙村先生はこんなに残虐に女性をいじめて描くのか?」という話をしていたとき、「それが女体讃歌なんだ」と言われて目から鱗でした。なるほど、サディスティックにいじめているように見えて、そこにある美にひれ伏しているのかもしれません。

 

サディズム、フェティシズム、女体賛歌。「シスタージェネレーター」

少女たちの夢と希望は丘の向こうに…「ブラッドハーレーの馬車」

あなたはどう読んだ?男女から見た「ブラッドハーレーの馬車」の見方

「酷い目に遭う女の子たちの話」は、どっちの視点で見ようかな。