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ゴタクはいいから拳と目で語れ!「鉄漫」1巻

出ましたねー、高遠るい先生の「鉄漫」
以前も「ソウルキャリバー」の解説漫画を担当していたので「もしや」とは思いましたが、ウルトラジャンプエッグで連載が始まったときには「ブラボー!」でございました。
やっぱね、殴り合いっていったら高遠るい先生っすよ!
たまごまごはシンシア・ザ・ミッション信者です)
 
さて、まずはハイライトです。
この本の山場はこちら!

ネコのミイラ!
 
しかも今見られる鉄漫6話にも出てます。出過ぎ!
だがそこがいい。
(適当に説明しますと、漫画「シンシア・ザ・ミッション」でネコのミイラは非常に重要なようなそうでないような役割を果たしており、なんども登場しております。おわり)
 

●「鉄拳やったことないんだけど・・・」●

こういうゲームのコミカライズで一番心配になるのは「ゲームを知らないから話に着いていけないんじゃないか?」という点だと思います。
特に、ギャルゲーみたいな物語性が分かっているものならともかく、格闘ゲームやシューティングなんかは話がこんがらかっているため、人間関係が分からないとチンプンカンプンなのも事実です。それは仕方ないです。
 
しかし、「鉄漫」に至っては心配不要!と断言してみます。
なぜなら、難しいことを考える前にとにかく殴るからです。
 
もちろん、「鉄拳」のキャラを知っている方が数倍楽しめるのは間違いないです。特に三島財閥のあたり。
しかし鉄拳っていかんせんキャラメチャクチャ多いんですよね。多すぎて把握出来ないくらいに。
すっごいチョイ役でも鉄拳のキャラはもりもり出てくるので楽しいのですが、だからといって「知らないキャラがー」という不安はしなくても問題ないです。
そもそも漫画自体が「お互いあんまり知り合いじゃない」部分から始まっていますし、色々口で語り合うくらいなら殴ってるんで、理解をしよう!とする必要はありません。

むしろ、そこに表現されるダイナミックな異種格闘技戦の瞬間を目に焼き付けて、その後でストーリーを理解すればいい、と思います。
実際アクションシーンの描写もものすごくレベルアップしている感があります。スピード感と緊張感のメリハリがとてもいい。
またヒロインが古武術使いなので、彼女の「スピード」と「受け・止め」がうまいこと漫画そのものに作用しています。
 

●女の子二人=正義●

主人公は風間飛鳥。ライバル役がリリ。
見た目にも巨乳でばり強い黒髪格闘家と、ロングヘアめちゃくちゃお嬢様、というコンビです。
ゲーム時でも自分はずっとリリ使っていて、対戦相手に飛鳥がきたらニヤニヤしたものです。敵ってより、ライバルってより、もう腐れ縁のケンカ友達なんですよねこの二人。
その初対面のシーンから、実際の戦闘シーンを経て、二人が同居するところまで描かれます。現在進行形でこの二人が軸になって物語が描写されているので、見た目がとにかく華やか!

仲は良くないです。生真面目で貧乏な飛鳥とおおざっぱで大金持ちのリリですし。
だけどやはり。
漫画において「女の子二人」というのは偉大です。実にいい。素晴らしい。
それが仲が良かろうが悪かろうが、二人でいるだけで物語が産まれるのが素晴らしい。
もちろん、二次元の世界の話です。
 
この漫画、もちろんリリVS飛鳥だけではなく、ポールやらミゲルやらボブやら出てきて闘いまくります。
でも全部視点の中心軸になるのはリリと飛鳥。女の子ふたり。
女の子ふたりで一つの物を見れば、それだけで「価値観の食い違い」と「共有」が発生し、「面白い!」が誕生します。
男と女じゃダメなの?と言われると別にそれでもいいんですが、やはり・・・
・恋愛感情が産まれるというフィルターが減る
・価値観の相違が性差で惑わされない
・なんと言っても女の子二人がしゃべったりケンカしたりしているのは見た目がいい
だから「女の子二人」は特別なんです。
(男の子二人も特別ですけどね)

戦闘シーンの描写方法もこの二人の場合は極めてユニーク。というか此の二人だけは特別。
やはり、「シンシア・ザ・ミッション」や「ミカるんX」で培われた高遠るい節がイキイキとしています。「かっこいい」と「面白い」が共存しているんですよ。
「シンシア・ザ・ミッション」の格闘は割とガッチガチで、命がけの戦闘でした。「ミカるんX」の戦闘も命がけではありますが、妙に浮世離れしているので命の感覚が軽い上にコメディのようにすら見えます。
ちょうどその二つを足してニで割った用な感じですね。
これが、高遠るい先生流「女の子二人の世界」です。
 

●目で戦えや!●

逆に男同士の格闘シーンは、板垣イズムの文法に則って、すっかり高遠るいワールドとも言える殴り合いを展開するようになりました。
必見なのはボブVSミゲル戦でしょうか。むちゃくちゃスピーディーに動きまくるデブのボブは、ゲームでも衝撃的でしたが、漫画で見事に再現されています。
「デブかっこいい!」と思えます。
 
高遠るい先生の格闘漫画が爽快なのは、動きが軽快だったり、独自に時間感覚があるからというのもありますが、同時に顔がいいからです。
出てくるキャラ達全員が、戦う顔をしています。

リリが戦闘に挑むシーン。
実にいい目です!
そう、目を逸らさない。相手をがっちり見る。
男も女も、絶対こいつに負けないという、闘志を超えた眼力で見る!
戦う相手見るのなんて当たり前じゃん、というのはそのとおりなんですが、上から目線、下から目線、対立目線などなど向け方ってやっぱりあるわけですよ。
「鉄漫」のキャラは、全員「お前になんて負ける訳ない」という目をしています。
ポール以外。
(詳しくはサイトで見られる第一話参照!)
 
高遠るい先生の描かれるキャラはみんな目が非常にいいです。好戦的な目をしています。
その目を見るだけで、たぎってくるんだよ!
たぎらせてくれる漫画なんて、最高じゃないか。
さあ、闘ろうか!(脳内で)
 

「鉄漫」
高遠るいDIARY

嬉しいことにちゃーんとシンシアも出ております。

ハゲなだけで違うかもですけどね!
 
一点だけ「鉄漫」にワガママを言うなら、泣き虫サクラ的な意味での「凌辱がないでしょッッ!」という所だと思います。人がほとんど死なない(最新話では死ぬ人もいますがほとんど残虐描写皆無)。「シンシア・ザ・ミッション」のブリギットのような、残酷さと凌辱はないです。
これはオフィシャルキャラだからどうしようもない! 鉄拳のキャラですから簡単に殺せないですものね。
割と「シンシア・ザ・ミッション」と「ミカるんX」が「がんがん死ぬ+殺す+残虐美」みたいな作品だったので、意外と平和的、スポーツマンシップにのっとった戦い方の作品になっています。なので「内臓が出る!」とかは期待してはいけません。……いやいずれ……いやいやいや。
それを差し引いても純粋に、深いことは考えず楽しめる格闘アクションに仕上がっています。
高遠るい先生、最近あっちこっちで漫画を描いておられて(まんが日本史とか!)相当ハードなんじゃないかと思っていますが、すごい執筆スピードと熱量。特に熱量が常に落ちないのがすごすぎる。
 
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