たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「けいおん!!」ED、『NO,Thank You!』のロックンロールは鳴り止まないっ

昨日、知人達と「けいおん!!」EDの『NO,Thank You!』について話していたら、もうだめなんです、心の中が熱くなっちゃって何か書かずにいられないので書きます!
 

●彼女達が着ているのは制服であって制服ではない。●


EDは1期の「Don't Say Lazy」も二期の「LISTEN!!」も、PV風のつくりになっています。
ところが、『NO,Thank You!』は一見PV風に見えないシーンがあります。
そう、制服の部分。
 
後半の私服ロックのシーンやスプレー缶の部分は非常にPVらしいですが、制服ジャンプのシーンはどうにもひっかかる。
制服を着ていることで、どうしても「彼女達5人のリアル」が描かれているように見えるんですよね。やっていることはPV的(スプレー缶など)なんですが、どっちかというと第一期の「Cagayake」を髣髴とさせるじゃないですか。
じゃあリアルってなんだろう? つくりものってなんだろう? どこまでなんだろう?
 
ひとつポイントになるのはスカートの柄なんじゃないだろうかという話が出ていました。
けいおん!」の原作スカートはチェック柄です。
しかしアニメ本編のスカートは無地なんです。
おそらく動きを魅せるため、できるだけシンプル化した結果のデザインなんだろうな、と。
ところが、NO,Thank You!』のスカートはチェック柄なんです。
 
一番分かりやすい普段の制服との違いは、ネクタイ。
つまりこれは「制服」であり「桜高の制服ではない」ということです。
しかしチェックのスカートで、ある意味原点に戻っている。
ここが違和感の重大なポイントになっている気がします。
 

●胸のワッペン●

一番見てもらいたいのは、EDの胸のワッペンです。
そう、HTTマークなんですよね。
つまり、彼女達が着ているのは放課後ティータイムという制服」なんです。
 
今、アニメも漫画も佳境に向けて動き出し、「別れ」がにおわされ始めています。
梓から見た3年生たちの姿がまさにそれです。
寂しい。悲しい。失いたくない。未来が不安。
しかし梓は最近、「後輩」として一歩引いていた立ち位置から、みんなと並列であろうとしています。
上級生下級生ではなく、「放課後ティータイム」の一人として楽しんでいるんですよね。
無論寂しさや不安が払拭されたわけじゃありません。
しかし、律に対して「プッ」と笑ってみたり、ケーキ残り一個の取り合いで「じゃんけんが苦手だからやだ」とはっきり言って、譲る気がない全力っぷりを出しています。
そして呼応するように、3年生の劇を見て寂しがっている梓に対して、泊りがけの練習で「仲間の一人」であることを強調します。
 
そうか。
桜高軽音部としては一区切りつく日が必ずくるけれども、「放課後ティータイム」としての区切りがあるなんて誰も言ってないじゃないか。
それをあらわすのが、EDの『No,Thank You!』の例の制服です。
けいおん!」「けいおん!!」内で常に交わされるおしゃべりによって描かれる、細やかに変化し続ける人間関係。
それは常に「今この瞬間が楽しい」ことを浮きぼりにします。
 
今がある。
それだけで十分じゃないのか?
未来を憂うことも、過去を懐かしむ必要もないんじゃないのか?
彼女達の今、それは今の「放課後ティータイム制服」で表現されます。
今が、楽しいのです。
 

●だって今強く、深く愛してるから。●

さわ子が友人の結婚式で、デスデビルライブに登壇した瞬間を覚えているでしょうか。
大人になったら大人になれるのかな。「けいおん!!」第10話
魂が熱くなる、最高のシーンだったよ!
あのシーン、彼女達が演奏していたのは「かつてのデスデビルという思い出」じゃないんですよね。
色々な人と話していたのは、あれは「現在のさわ子達」の「楽しい」そのままだという点でした。
昔の曲かもしれない。昔の再現ではある。でも「昔のデスデビルを懐かしがっている」だけじゃない。
だからこそ、過去の形にメンバーも固執しないし、悲観的にならないし、妙にさらっとしている。
そしてさわ子登壇で「最高の今」が出た瞬間、「最高の今」を全員が喜びました。
 
刹那主義とは違うんです。

NO,Thank You! 思い出なんていらないよ
だって"今"強く、深く愛してるから
思い出浸る 大人のような甘美な贅沢
まだちょっと・・・遠慮したいの

約束なんていらないよ
だって"今"以外、誰も生きれないから
約束欲しがる 子供のような無邪気な脆弱
もうとっくに・・・卒業したの
(『NO,Thank You!』より)

大事なのは「今」。
大事であり、楽しく、愛してる。
それだけなんです。
 
歌詞で一番すきなのはここ。クライマックス寸前です。

いつまでも どこまでも きっと聞こえ続ける
永遠さえいらないのになぜ 失くせそうにない
Our splendid Songs
 
Let's sing もっともっともっと声枯れても
くちびるでこの瞬間 讃えて
ルート同じ地図持ち めぐり逢えた
ワタシタチノキズナ
(『NO,Thank You!』より)

ここからクライマックスになるんだよ!
フルバージョンの歌を聴くと、1番だけのアニメEDよりはるかに歌詞に深みがあって泣けてくる。
 
終わりや未来を考えて不安になるのは人間のみがもつ特徴です。
未来を考えるから人間はストレスを感じます。悲しみを感じます。
それを打ち消すために、言葉での約束を作ったり、目に見える形に残したりします。
 
でも「放課後ティータイム」は違うんですよ。
あえて「桜高軽音楽部」とはいいません。だってワッペンが「HTT」だものね。
放課後ティータイム」はワタシタチノキズナがあるんです。
だから「今」を楽しんでいる。それ以上でもそれ以下でもない。悩まない。今をいっぱい楽しむんだ。
 
だからさ。
卒業しても、大人になっても、「今の放課後ティータイム」を楽しむんだよ。
彼女達が「うれしい」でも「かなしい」でもない顔をしているアニメーションの絶妙な表情が脳裏に浮かびます。 
「今」を見ている彼女達は「今」を生きているから、それ以上のものはいらない。
HTTがここにあり、演奏できていればそれでいい。
澪のあかんべが目の前をよぎります。
 
無論3年生だって未来は不安です。梓も不安です。
しかし不安になっている暇なんてないんですよ。「今」を楽しみますよ、と。
将来どうなるかなんてわからない。でもさわ子回のおかげで「そのときはそのときで楽しめる」ことがすでに浮き彫りになっているんです。
だってさ。
昔好きだった音楽やアニメなんかが、過去のものになったとしても、好きだろ?と。
音楽やっていた人がいったんなんらかの理由でやめても、やっぱり音楽やったら楽しいでしょ?と。
 

●どこまでも鳴り止まないさ●

けいおん!!』のアニメは終わりに向かってソフトランディングしているのは、見ていて分かるとおりです。
しかし、卒業はしても、着地するかどうかなんてわかんないんですよね。
むしろ着地なんてしないよと。
どこまでも私達は今を楽しむから。
いつまでも私達は今を楽しむから。
だから別れの言葉は遠慮します。誓いの力も遠慮します。No,Thank You!
 
以前「この空は明け空なのか、宵空なのか」と書いたことがありました。
今やっと分かりました。
朝でも、昼でも、夜でもない。
「今の青空」なんです。
だからあんな普通じゃない色をしているんだと。
 
終わりなんてないんだ。
寂しさ悲しさは0じゃない。梓はさみしいにきまってる。
でも何かが消滅するわけがないじゃん。
「部活」という仕切り? なくなったら仲悪くなるなんてことないでしょ?
「リアル」?「フィクション」? そんなのどっちでもいいよ、楽しいでしょ?
 
OPのシーンで、5人のしぐさがどうしても揃わないのに楽しそうに笑っている顔を思い出してください。
これが冷凍保存される作品なんだと自分は思っていました。
夏祭り回で、花火の後の煙を見たとき、梓と気持ちとシンクロして「置いていかれる、何もかも消えてしまう」と不安になりました。
梓の、夢から覚めた夢。「けいおん!!」第13話 その1
今ここにある、梓とぼくらのしあわせ「けいおん!!」第13話 その2
高校生のこの時代だけがまぶしいんだと、失われることが怖いと。だからそのままでいてほしいと。やめないで、終わらないで、と。
 
今は違うんだ。
大人になっても、おばあちゃんになっても、きっと彼女達は笑っている。
ずっと「今」を楽しんでいる。
だから終わりへの悲しみや寂しさなんていらないよ。今後も「HTT」は飛んでいくから。
そんな寂しい顔しないでよ。 No,Thank You!
 
ものすごくよく配慮された歌だと思います。
曲のよさもあわせ、大人のツボを突く歌だと思います。
OK,今強く深く愛させていただくよ!
 
ムギになれよ!!!
 


 

私立桜が丘高校軽音楽部日記

コミケで「たまご酔拳」ブースに来てくださったみなさま、ありがとうございました!
たまごまごです。
「ROCKei ON!!」は思った以上のスピードで完売。「純PA!」にいたってはしゃれにならん勢いでした。純ちゃんすげえ!
依託は出来るだけ早くさせていただこうと思います。
またろっけいおん一冊目「ROCKei ON」も依託できるか次第ですが、ちょっと頑張ってみようと思います。
 
で、「純PA!」の反響が予想外に大きかったため、改めてオフセットで印刷することにしました。出来るだけ多くの方の元に届くことを祈りつつ!
ただ、その際まんま同じだとコミケ会場で並んでまで買ってくださった方に失礼ですので、何らかの形で今回の版を入手された方が得できるような方法を準備したいと思います。
しばらく時間がかかるかもしれませんが、お待ちください!!
 

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ハナムラさんじゅっさい、連載開始!
以前から何回か紹介していた「ハナムラさんじゅっさい」が、正式連載になったようです!
うおおお、うれしい!
哀愁の30歳崖っぷち漫画家……趣味の自虐エッセイ漫画がまさかの連載デビュー!