たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「さん」「ちゃん」「っち」。いつの間に定着するんだろうね?

ちょっとコメント欄で面白いのがあったのでピックアップ。
まどか☆マギカ」の話なんですが、ここ気になるので。

take
『あと、脱線しますが「マミさん」とかに表れる呼称の感染(主に主人公の呼び方)はどうして起こるんでしょうかね?w単純に一番感情移入するからなのかな。』

そういえばそうですね!?
確かに「マミ」とか「巴マミ」とか呼ぶ人より、「マミさん」とさん付けの人が圧倒的に多いですね。
かくいう自分も、気づかないうちに「マミさんがマミさんが」とさん付けでした。
 

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ちょっと頭の整理。
「さん」「ちゃん」「様」などがファンの間で定着しているキャラを挙げてみましょう。

まず「けいおん!」より中野梓ことあずにゃん
理由は簡単、主人公の平沢唯が「あずにゃんあずにゃん」と呼んでいるからです。
しかしこれ意外なことに、あずにゃんって呼んでるのふたりだけなんですよね。
一人は唯。もう一人はとなりのおばあちゃん(「あずにゃんさん」)。
あんなに親しい純や憂、律・澪・ムギですら呼んでない。うーん、これは唯パワー恐るべし。
まあ「ムギ」も、だれも「紬」って呼んでないですよね。梓の「ムギ先輩」って表現ちょっと面白くないですか。愛称+敬語。
さわ子も軽音部は全員「さわちゃん」ですね。軽音部だけなのがポイント。ほかの子は「さわ子先生」「さわちゃん先生」など。視聴者は「さわ子」派と「さわちゃん」派に分かれそうです。
あずにゃんの場合は他に、性格の猫っぽさがマッチしたというのも、また唯視点から見ているため「後輩」としての立ち位置があっていじりキャラにしたくなるというのもあるでしょう。年下の子を可愛がる、というのが逆に一般化した変わった例です。
最近は「ペロペロ(^ω^)」「ペロペロ様」などとも呼ばれてカオスになってます。
 ご存知デトロイトメタルシティクラウザーさん
クラウザー様、……と呼ぶファンはあんまりいないですね。クラウザーさん、です。
作中のファンのキャラがみんなそう呼ぶから、というのもありますが、作品のノリが「クラウザーさんがすげーことをするんだ!」というテンションになっていて、そこが笑いどころなので、気づいたらみんなが「クラウザーさん」とさんを付けずに呼ばないわけにいかないくらいあっさり染まりました。
むしろ、「クラウザー」って呼んでも誰のことか分からないよってくらいですよ。ここまで定着しているのは珍しいんじゃないでしょうか。
 血溜まってない方の、安心して見られる方の「ひだまりスケッチ」のゆのっち
これも親友キャラの宮子がそう呼んでいるからですね。
実はこれも「ゆのっち」と呼んでいるのは宮子くらい。ほかは「ゆの」「ゆのちゃん」「ゆのさん」とバラバラ。
逆に宮子のことは「宮ちゃん」とゆのが呼んでいるんですが、こちらは思ったほど定着していないのが面白いところ。ふーむ?
このへんどこに視点が当たっているかがポイントになりそうですね。あずにゃんの場合は「唯から見たかわいい後輩」であり、ゆのっちの場合は「ドキドキしている自分に対して優しく呼ばれる愛称」になります。
ゆのっちがそう呼ばれて嬉しそうだから、ぼくらも「ゆのっち」と呼んじゃう。と推測。
まあそれより、ゆのに関しては
× ┃ ┃ ×
でそれっぽく見えちゃう記号性がすごいんですが。
あ、ぼくは宮子派です。結婚したい。
 ストライクウィッチーズの芳佳……ではなくて「お姉ちゃん」ことゲルトルート・バルクホルン
名前が長いのでフルネームで呼ぶ人はまずいない。本当のニックネームは「トゥルーデ」ですが、別アニメとの絡みで「ゲルト」と呼ばれることもしばしば。
しかし大事なのはそこじゃない。冷たく冷静だったゲルト、突如中盤から妹バカっぷりがすさまじくなり、すっかりそこから「お姉ちゃん」呼ばわりされるようになりました。ストパン(この略語考えた人もすごいよなあ)でゲルトといえば「お姉ちゃん」なのです。知らない人が聞いても「芳佳にお姉ちゃんいるの?」と聞かれそうですが、うん、まあだいたいあってる気もしないでもない。
こちらはどちらかというと愛称というより、キャラの面白さをネタにしたニックネームです。
同じく「もっさん」こと坂本美緒少佐もそうですね。雄々しく力強いからこそついた、ネット上での通称になっています。
その他、ミーナが「ミーナさん」とみんなにさん付けされているのも印象的。これも「全員にとっての頼れる先輩の位置」にいるからで、視聴者がウィッチーズと一緒にミーナさんに一目置いて楽しんでいるのが感じられます。
ストパンはこの点において、どこに自分の視野を持っていくかで面白さのにじんでくる作品だと思います。
ストライクウィッチーズとは (ストライクウィッチーズとは) - ニコニコ大百科
しかしニコニコ大百科の編集っぷりは酷いね!(褒め言葉)
 アイマスもネット上での定着した愛称が多い作品。
例えばよく見るのは三浦あずさ「あずささん」。これは最年長であることから。マミさんもそうですが、作品での立ち位置が年長になると「さん」付けにはなりますね。
あとは「いおりん」なんかも、逆に年少組だからのかわいがり愛称という感じです。
ネットのみの呼び名になりますが「わた春香さん」「閣下」と呼ばれる春香さんや、「お姫ちん」と呼ばれる貴音など。元ネタは今更解説なくてもいいですね。
ちなみに「涼ちん」のちんはまた別の意味がある気がしないでもない。ちん。
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ドリームクラブの方は例えば「セッちゃん」なんて、雪の自称ですもんね。しかしネット上で「雪」と呼ぶ人はあんまりいません。みんなのセッちゃん。「亜麻音ちん」も考えてみたらセッちゃん命名でしたっけ。セッさんまじぱないの。
にしても個人的に気になる呼び名は双葉理保の通称「ヴァリホ」です。
理由がすげー分かりづらいんですが、「ふたご姫」の「はにほー!」とかけての「ヴァリホ」。

自分もこのシーン、何度見ても「はにほー!」しか聴こえませんが、だからってドリクラでネタに使われるとは思わなんだ。
あとは「酔っ払った状態でのカラオケ」が「カワオケ」だったりと、ドリクラはネタの宝庫……いや、もともとがネタの宝庫だからなあ。今ZEROやってますが、相変わらず主人公が最低で素敵です。
 アルカナハート3の「きら様」こと大道寺きら。
メインヒロインでもなんでもないですが、1が出たときは「横柄で人を蔑む態度」「10歳のくせにスライムに乗っているのででかい」「必殺技が投げ技しかない」「ネコミミスク水」とめちゃくちゃな組み合わせが熱狂的なファンを呼び(例・ぼく)、きら使いの間ではすっかり「様」を付けずにいられない勢いになり定着しました。
「偉そうな少女キャラ」というジャンルは実際かなり広くあるわけで。大体そういうキャラは「様」付けされるのが通例になりました。
ダンスインザヴァンパイアバンド」のミナ様、「フレッシュプリキュア」のイースなんかですね。
この「少女(実年齢は別として見た目が)に様をつける」という慣習は、いわば下僕プレイみたいなものです。全くとんだドMプレイだぜ! でもそれによってつながることが出来るのがネットの強み。おお、お前も好きか、そうかオレも大好きだぜ、一緒に叫ぼうきら様ー!みたいな。アイドルの親衛隊のつながりみたいな通称です。
 

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番外編、男性編。

アマガミ「橘さん」
正直ギャルゲーで主人公に「さん」が付くってすごいことだと思うんですが、プレイした人なら彼を「橘さん」と呼ばざるをえない。
エロゲを抜けば、ギャルゲ界においては屈指の変態ダメ人間キャラだと思います。またの名を「紳士」。
アマガミ*Amagami @wiki - 橘さんの紳士的言動集

(う〜〜ん……何となくだけど、七咲のスカートの中が気になるな……)
(そうだな……水着かどうかを スカートをめくって確かめてみるか)

いや、そう考えることはたしかにあろうよ。しかし実際に口に出したり行動したりできるのは橘さんだけ!
普通にやったらまずセクハラコース間違いなし。アニメ版だと中多紗江シナリオが一番紳士だったなあと思います。
 
逆にかっこいい(いや橘さんもかっこいいけどさ)「さん」付けで言うなら、最近だと上条さんでしょう。

イマジンブレイカー上条さん
なにかすごい攻撃力があるわけじゃなくて、それらを打ち消してまっすぐに言葉とげんこつでぶん殴る彼の姿がまあかっこいいこと! 超正統派主人公っぷりによって「さん」が付くようになりました。
ここまで一直線なキャラが貴重、というのもありますが、視聴者からしてみれば、彼が言う言葉の力強さに対しての憧れのようなものも、ちょっとこもっている感じがします。
 
追記。
友人いわく。「ヱヴァ破の「シンジさん」は理由が分かりやすかったですねw」だーよーねー!TV版と旧映画版のエヴァでは、シンジは「シンジ」「シンジくん」呼ばわりでした。というのもうだうだうじうじした性格、いざという時に踏み切れない弱さ、お前そこでオナニーはねえよという情け無さっぷりが話題を呼んだからです。大人になってからみると「まあ仕方ないよなー」と思いますが、かっこいいヒーローではありませんでした。海外では「嫌いなキャラベスト1」という不名誉も。マッチョヒーロー的思想だと確かにあんなにひ弱なキャラはなかなかいない。
しかし「ヱヴァ破」ではびっくりするほど力強いキャラにジョブチェンジしました。なんといってもTV版の何十倍も使徒が怖い! 格段に怖い! もう逃げて、お願いだからシンジくん逃げて!と絶叫したくなるほど。そうか、彼はこんな恐ろしい状態で、それでも戦っていたのか。おいかっこよすぎじゃないか。そして「破」では本当に絶望的な戦いの中、彼は逃げませんでした。手を伸ばしました。そう、彼はすっかり等身大の少年から一歩抜きん出て、ヒーローになった。少なくとも綾波の。
そして「ぼくらと同じ『シンジくん』ではなくなった、あれは『シンジさん』だ」という見方が広まりました。これは作品がいい方向に作用し、視聴者がそれを受け止めた好例の表れだと思います。
 

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まとめ。
 
・作品内でのキャラの立ち位置がはっきりしている場合、目上キャラには「さん」後輩キャラには「ちゃん」などが付きやすい。
・作中で呼ばれている愛称の響きがかわいかったり、キャラがそれをよしとしている場合は愛を込めて呼ぶ。
・キャラクターの性格や物語の笑いなどをネタにしてニックネームにする。
・下僕プレイ。
 
その他3つ目に近いですが、「ペルソナ4」のジュネスやチエチャンのように、一部ファン内でネタとして付けられるものもありますね。
まあ一つ目のが多いでしょう。作品自体がそう呼ぶように意図していなくても、自然と「さん」付けされていくキャラ達は幸せ者だと思います。
だってそれは、キャラが愛されてる証拠だもの。
もう何も怖くないよ、マミさん。