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2011-10-07 私立桜が丘高校軽音楽部日記

[]高杉さん家のおべんとう」4巻、論理的に物事を考えていく作業と、少女が言葉に出来ない感情を伝えるということ。

高杉さん家のおべんとう 1 高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス)

高杉さん家のおべんとう 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ) 高杉さん家のおべんとう 4 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

12歳の少女にお弁当を作る よ「高杉さん家のおべんとう」 - たまごまごごはん

少女と一緒に、ごはん できた!「高杉さん家のおべんとう」2巻 - たまごまごごはん

「高杉さん家のおべんとう」は本当にあらゆる年齢層男女問わずオススメしたくなります。

大好きだなあー。昨今のマンガでも最も楽しみな作品の一つです。

 

読んでいない人のために超簡単にまとめると、オーバードクターで就職難民だった三十路の独身男性のもとに、一人の寡黙少女が預けられる、という話。

それだけ聞くと「うらやま!」ってなるんですが、実際のところ少女久留里は全然喋らない(しかも境遇が重い)、人生崖っぷちの男性ハルがそうそう人助けできる甲斐性があるわけもなし、で踏んだりけったり。

ようするにお互い、会話でどうこうできない。それどころじゃない。

しかも下手するとハルは不審者扱いされかねない。

じゃあどうする? というところで思いついたのが「おべんとう」だった、というわけです。

なるほど、食事は最も重要な「家族」をつなぐテーマです。

しかも「おべんとう」となると、「明日」が存在します。明日のためにつくる=明日も私たちは家族です。

じわじわと育む二人の関係が、いいんだなー。

 

●大きな進歩●

で、4巻。

劇的な進歩は相変わらずありません。

だってさー、人生ってそうそうファンタジーじゃないんだから(いや確かにシチュエーションはマンガ的だけど)、「何かがあって」「結果劇的に変わる」ということのほうが少ないわけです。

むしろ、毎日の蓄積で変化し、逆にドラマチックな出来事はその瞬間はびっくりするほどさらっと通りすぎて、逆にあとからでかい思い出に変質していくもの。

ハルと久留里の関係はまさにそれ。今回は後半でラオスに行くんですが、この旅行自体がさほど巨大な出来事になっていないのがびっくり。

もちろん久留里はそれで一つ大きく育ちますが、思ったほど重要視されていない。

ハルが海外に行き慣れているから、ってのはあるんですが、一大事件かとおもいきや普段の生活のやり取りのほうが出来事としてはでかいんですよ。

 

特に大きな出来事だったのは、むしろこちらの方でしょう。

ハルと久留里の初めての大げんか。

久留里が明確にハルに対し憤りを表明したシーンです。仲良くなる前まではきっつい言葉を吐いたこともありましたが、一緒に住むようになってからガチ切れしたのは珍しいこと。

この事件の方がハルと久留里にとってはラオス旅行以上にでかいんですよ。

そして、二人の関係を変えていきます。

と言っても正確には「変わっていたことを確認」した、の方が正しいでしょう。

 

喧嘩ができる、というのは相当仲が良くないとできないことです。

つまり、久留里はハルに対して「これだけ怒っても大丈夫」という認識ができていた、ということ。

これは大きなことですよ! 親しいから怒れるんですよ!

まあ、ハルはなーんもわかってないですけど。相変わらず頭でっかちというか、理論で整えようとしすぎて感情の方をおろそかにしてしまっていると言うか。

マンガ的には「ほんとだめだな!」と突っ込んで終わるんですが、いざ自分がこの立場だったら……どこまでできるかわからん……。

それも含めてですよ。久留里が怒った。ハルはそれに対してのリアクションを取った。そして日常が戻った。

これがこの巻で一番大きな出来事だったと思うのです。

 

●ともだち●

もう一つの大きな出来事は、久留里の親友が一人増えたことです。

久留里の愛されっぷりは尋常じゃない。

姉御ことなつ希ちゃん(右)。非常に頭の切れる、いい子です。特に人間関係づくりの面において。

女のどす黒いところ+真っ白いところ担当とでもいうか。彼女いい奥さんになると思うなあ。

お調子者でいてなにげに狼、久留里が好きなマルくん(左)。イマドキの中学生は進んでいます。

この二人と久留里で「姉御グループ」扱いされていたんですが(もちろんなつ希がきちんと計算してみんなを守っているというのがある)、そこに園山奏という少女が入り込んできます(右から二番目)。

彼女はマルくんが好きで近づいてきた、という割りとまっすぐすぎるくらいまっすぐな女の子。久留里が偶然それに気づいてしまったため、久留里は彼女を「友達」だと認識します。

これでかいんですよ。今までは寄ってきた子(なつ希もマルくんも)がうろちょろしているだけで能動的に友達だとは言わなかったのですが、今回は久留里が園山のことを「友達」とはっきり言っています。

そこには色々な思いがあるのですが、ここにきて「策略を練るなつ希」「寡黙で深く考える久留里」「考える前に行動する体育会系園山」という関係が出来上がります。

対人スキルがあがったのが大きいのですが、久留里自らが声をかけたというのは巨大な一歩。

デザートを彼女のために準備するほどになります。

デザートという「友達認可システム」の話が描かれていたのは面白かったです。

いやあシビアなもんだ。でもシビアだから密接につながるものもある。

 

●ハルと久留里の距離●

ハルと久留里はずいぶんお互いに近づくようになりました。

まあハルはあくまでも「論理有りき」なのは変わらないので、今回も「久留里(を知るような生活の作り方)が研究対象」と言っています。

しかし「久留里の研究」ってどう考えてもエロい想像しかできません。

ぼくも久留里の研究を。いやなんでもない。

だからここでも「久留里サンは〜」と言っています。あくまでも久留里の挙動を見て、分析、収集、推理、行動。

それがいい方向に転がっているのは彼が根本的にいい人で、必死だからなんですけれどもね。でも他の人が見て「これは当たり前の空気」というのができない。

もっとも、彼の不器用さが、不器用な久留里には合っているんだとも思います。長文トークをする際、ハルに対しても園山に対してもですがメモしていくんですよね。

多分このシーンは久留里最長のトーク。それでも伝えたい、と感じるほどになったのはとてつもない出来事なのです。

そうなんだよ、気づけよ!>ハル

 

久留里はハルとの生活を、食卓とおべんとうを通じて見つけた、と言えます。

会話に詰まることがなくなった。会話のきっかけはお買い物と食べものでいくらでもなんとかなる、というのがわかった。

それ以外はお互い言葉につまることもあるけど、切り返しに食事と買い物の話で乗り越えられると安心できるようになった。

4巻まできたら、もう不安なくなりました。会話がなくても心配じゃなくなりました。

これが一緒に過ごすということか。家族、かあ。

なので4巻は久留里が笑顔を見せるシーンも増えます。

久留里が亡くなった母親と共に過ごした町に来て、嬉しそうにしているシーン。

かわいいね! 本当にかわいいね。

通常であればなるべく近づきたくない場所なはずなのに、それが嬉しくて仕方ないのは、今が楽しいからにほかなりません。今が辛かったらこうはならない。

よかったね。

家族になったね!

 

家族かな?

久留里は一巻からハルに対してなんとなく不思議な感情を抱いていることに気づいています。

これを「恋だね」っていうのは簡単なんですが、いやあ、「家族愛」とか「恋愛」とかってぽんぽんと線引きできないものってやっぱりありますわ。

 

この作品のすごいところって、おべんとうという家族の「明日」の軸を作りながら、研究とは何かをがっちりと読みといてわかりやすく解説していること。

ものすごく客観的な視点があちこちに散りばめられているし、ハルが客観視の塊みたいな人間なのでとーにかく作品そのものの情報も多いし、久留里やその周辺に対しての視野が広い。

ただ久留里にあってハルにないのは、微妙な自分の感情をじっと温めること。

ハルは久留里のためも含めて蹴るんですが、そのへんもハルは言い訳を作ってしまう。でも久留里は自分の感情に対しては言い訳を作りません。

と、同時に「遠い未来」を余り考えません。ここ、ここが彼女のいいところ。

園山さんはマルくんが好きで、彼と同じ高校に行きたいな、というとてもかわいらしいことを考えます。

久留里が園山を「友達」と感じたのは、彼女の秘めたる思いが自分の思いとシンクロしているから。

ただし、久留里は「ハルとどうこうしよう」とは考えません。今日一緒に過ごせた。明日一緒に過ごせる。そこまででもう幸せなんです。

むしろ「今日特売だから」とか「今晩安くておいしいものができた」ということを考えます。

別に「これからも一緒にいられる」と感じているから、ではない。不安が0なわけじゃないけど、そこまでは考えない。

 

マンガ的には「年の差恋愛いいね!」って言いたいところですが、こっちがそう決めつけるのは早計。

もっとストレートで単純な「好きだなあ」です。

最もラオスの15歳の結婚の話や、等身幾つ離れていたら結婚できるかを見てドキドキするくらいに、はるか遠い(彼女の中においての)ファンタジー的な憧れはぼんやりと抱いているようですが、それは表に出しません。

女子中学生らしい感覚、久留里らしい感覚、という距離感です。

これがたまらないんだよねえ……。

一応フラッパー連載ですし、意図的に久留里が「かわいいキャラ」として造形されているので立派な青年向けコミックスではありますが、微妙な人と人の距離感という永遠のテーマを見事に描いた「正統派少女漫画」な部分も持ち合わせている本作。

「目が離せない」ってほど急激に何かが変わらない作品だからこそ、じっくり見守り続けたい作品です。

特に今回は、ハルのいいところもいっぱい出てたしね。確かにこれは好きになるね。

他のキャラが増えてきたことで、彼が考えてきたことがいかに重要だったかも蓄積してきたよ。

おトク、久留里もよくいう言葉。

おトクって、なんだろうね。

 

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まるいちも「ずーっと読んでいたい」マンガだあよね。

友人と「この作品ってある意味、川原泉的な少女漫画の流れを純粋に継いでいるんじゃないか」と話していたんですが、割りとそんなにトンチンカンでもない気がしたり。なるほど、その筋は感覚的に近いかも。

言葉のテンポや膨大な情報量と並行しながら、説明しきれない感情も描かれていく。すごく繊細に作られた作品だと思います。本当に大好き。