「かみ合わないジェンダフリー論争」を批判する前にまず、「噛み合っていない御自身の意見」を反省されてはいかがかしらー?


http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200512300001/のコメント欄を読んでいたら、以下の書き込みを発見。

こちらで知った方のBLOGにお邪魔して質問をしてきました。質問のメインはダイアモンド博士の日本での騒動原因予備知識についてでしたが、そのことについては、結局答えてもらえませんでした。それが答えのような気もします

自分のところやり取りをUPいたしました。
http://www.geocities.jp/dochitebouya_usa/yaritori_macska.html


なんとなく嫌な予感がしたので、リンク先をたどって見るとビンゴ。以下の記述がありました。

自民党調査会に報告された出来事が「ジェンダフリーを考え直すべきだ」と言う声の発生した元原因であり、
そして、AsNatureMadeHimという本が世間に大きく取り上げられるにいたったのだと考えます。 
そして、辻本清美氏と言う一議員の政策提言に見られるような、推進派の方の言葉が、

「ジェンダフリー」と「過激な性教育」と言われるものを人々が切り離せて考えられない原因をよく示していると思っています。


牧波さんと同じくらいのレベルの文章のためか、何が言いたいのかはよく判らないのですけれど、「川崎市の教育を考える会(仮)」のコメント欄の「ダイアモンド博士の日本での騒動原因予備知識についてでしたが、そのことについては、結局答えてもらえませんでした」という記述についてだけは理解できたので、そこを検証していきたいと思います。

ちなみに、dochitebouya_usa氏のサイトに掲載されているMacska氏とのやりとりはhttp://macska.org/article/111のコメント欄が元です。*1

では、 dochitebouya_usa氏の主張を見ていきましょう。

Basically I do support gender-free ideas. I don’t think there is anything in the book “As Nature Made Him” that goes against that idea. *2

博士が答えた後なぜ、下記のようなことの発言があったのかです。
にほんんでこの趣旨に反対すると言う人々はいないと思います。

As I told you, I think that everyone ought to have open opportunities to be educated and develop as they wish and can.*3

アンチ・ジェンダーフリーとよばれるグループの方々、特に教育現場でジェンダーフリーを考えなそうと言う人々は、学校で行なわれている、
ジョンマネー氏が研究室でデッビド兄弟や子供達に施した、性の早期認識を促すための行為と同じようなことに、疑問を呈しているのです。

ここに掲載されている博士のメールを見るかぎり博士がそのことについて
どう思っているのかはわかりかねます。


dochitebouya_usa氏は、上記に関して「ダイアモンド博士の日本での騒動原因予備知識についてでしたが、そのことについては、結局答えてもらえませんでした」と述べているのだと思います。


ではこれに対してMacska氏がどう答えているのかを見ていきましょう。

特に教育現場でジェンダーフリーを考えなそうと言う人々は、学校で行なわれている、ジョンマネー氏が研究室でデッビド兄弟や子供達に施した、性の早期認識を促すための行為と同じようなこと

の実例は何でしょうか?〔……〕実際にかれらになされたことはあなたの想像よりかなり深刻なことです。それらと「同じようなこと」が教育現場でなされていたら確実に児童性虐待として扱われるでしょう。保守派が例として挙げているどのような嘘よりはるかに重大な侵害です。


コメントする必要はないですね。では次にこれに対するdochitebouya_usa氏のコメントを見ましょう。

マネー博士の研究目的とは必ずしも一致しませんが、
この状況は過激な性教育と報告される例と重なります。

>実際にかれらになされたことはあなたの想像よりかなり深刻なことです。
・・・
>あまり軽々しくレトリックとして持ち出せる例ではないと思います。

恐れ入りますが、。
どのように私自身が本から受けたショックや、
クラスで子供が受ける授業の影響の想像を
深刻ではないと計られているのでしょう?
レトリックと言われる意味もわかりません。


Macska氏の「実例は何でしょうか」という質問に対するdochitebouya_usa氏の答えは「想像」だそうです。そりゃあ話も噛み合いませんわ。
でも議論(?)は続いているようなので、次にMacska氏のコメントを見てみましょう。

まず確認しておきますが、これはジェンダーフリーとは無関係で、いわゆる「過激な性教育」とされるモノについて言っているのですね。よく批判派によってジェンダーフリー批判と性教育批判が同時に行われますが、両者に論理的な繋がりはないので、あなたがジェンダーフリー(雛祭り云々など)と言ったときに性教育の方を問題としているとは思いませんでした。

> Macska 様が嘘の情報だとご指摘されている中には、

自民党の調査結果と言っても、回答の中には事実もあれば、多分虚偽もあるでしょうし、伝聞やうわさ話や単なる意見に過ぎないもの、あるいは自民党ジェンダー政策に対する反論まで含まれています(想像でなく事実です。嘘だと思ったら最寄りの自民党支部にお問い合わせください)。調査結果全部嘘だとは言いませんが、特定の報告が事実かどうかなんてわたしには確認できません。ただ、もしマネーが行ったのと同等の行為が行われていたのであれば、自民党に言うんじゃなくて警察に即時に電話して欲しいです。

また、調査票自体、質問項目に「気分が悪くなった子どもたちの声が届いています」とか「全国各地の小学生の父母から悲鳴があがっています」などと一々注意書きがついていて、とても実態が知りたくて行った調査とは思えません。このような質問項目を使った調査は一般論として信頼できないものです。

> 犯罪と言っても言い過ぎではないと思います。

もし犯罪行為が学校で行われているなら、警察に通報してください。ジェンダーフリー推進派の誰もがそう思うでしょう。性教育推進派の人たちも、性教育で一番大切なことのひとつは性行為には合意が必要だということなので、かれらが性犯罪を肯定するわけがありません(もちろん、性教育をやる人の中にも性犯罪をおかす人はいるでしょうが、それはかれらが性教育推進派だからではなくて、単にどの集団にも悪い人はいるというだけのことです)。

〔……〕

だから、とりあげられた中に「大きな問題」の実例があるなら、言ってください。わたしの知る限り、事実誤認やジェンダーフリーとは無関係の例がほとんどです。事実誤認でないと言えば、例えば男女混合名簿は事実ですが、わたしは問題だとは思っていませんし、仮に問題だったとしても教育界で論議すればいい話で国会が出てくる程の「大きな問題」だとは全然思いません。性教育の方については、教室で使用される資料の表面的な「過激さ」ばかり強調されて、それがどういうコンテクストでどのように使用されているのかという点を考えていない批判が多いように思います。


Macska氏はまず「ジェンダーフリ−と性教育の違い」を提示し、次に「自民党の調査には問題があること」「特定の報告が事実かどうか確認できないこと」を説明しています。そしてその上で「『大きな問題』の実例があるなら、言ってください」「犯罪行為が学校で行われているなら、警察に通報してください」と述べています。
では、これに対するdochitebouya_usa氏のコメントを見てみましょう。

>だから、とりあげられた中に「大きな問題」の実例があるなら、言ってください。わたしの知る限り、事実誤認やジェンダーフリーとは無関係の例がほとんどです。

そいうお立場でしたか。私はジェンダーフリーを応援している辻本氏のウェッブサイトを拝見して、
「過激な性教育」というものの発端は、その受け入れが困難な人達の声ではあっても
それなりに
理由があったのだなと思っていまいした。マネー氏の研究に理由あったように。

彼女が過激性教育を理由を説明しているわけではありません。
性的マイノリテイーの話がありました。

例えば社会が歴史的に求めてきた「性的役割」「家族の価値観」のなかに、
性的マイノリテイーは存在しないから、今後もそれをベースとした
道徳教育とか、家庭教育というものが学校で重要視され続ければ、
性的マイノリテイーが居場所を見つけられない状況は続きます。

だから、彼らはまず性的マイノリテイーの存在を当たり前にするため
男女以外の「性」の存在に触れるために
「タブー」の打破を早期教育教育・学校で始めたと思っていました。

〔……〕

長くなりましたがおつきありくださりありがとうございました。
「過激な性教育に関して示したもの、自民党の調査・発表が根拠にならないから別の例を」と

言うmacskaさまのお立場がはっきりわかりましましたので質問は申しません。

論争がかみ合っていないことを感じていたので最初に諮問をさせていただきました。
今はそれなりに理由がわかったような気がしています。


……冒頭の「ジョンマネー氏が研究室でデッビド兄弟や子供達に施した、性の早期認識を促すための行為と同じようなこと」の実例はどこへいってしまったのでしょうか。
このコメントに対して、Macska氏は以下のコメントを返していますが、

「過激な性教育に関して示したもの、自民党の調査・発表が根拠にならないから別の例を」と言うmacskaさまのお立場がはっきりわかりましましたので質問は申しません。

いや、自民党の調査からでもいいんです、具体的な例をあげていただければ。上記のように個別にでしたら議論が可能です。


最終的にdochitebouya_usa氏が「ジョンマネー氏が研究室でデッビド兄弟や子供達に施した、性の早期認識を促すための行為と同じようなこと」の実例を挙げることはありませんでした。


というわけで、結論。
実例をひとつも挙げることなく、「ジョンマネー氏と同じようなことがジェンダーフリーという名目で、学校で行われている」という御自分の「想像」を疑いもせずに

ダイアモンド博士の日本での騒動原因予備知識についてでしたが、そのことについては、結局答えてもらえませんでした


と主張するのは、どう考えたっておかしいです。論理として成立していません。
『As Nature Made Him』を使ってジェンダーフリ−批判をしたいのであれば、実例を一つでも挙げてからにして下さい。

*1:というか、そちらの方が引用の区別があり、読みやすいです。

*2:基本的に、わたしはジェンダーフリーの考えを支持している。「ブレンダと呼ばれた少年」のどこを読んでもそうした考えを否定する要素はないと思うね

*3:あなたに話した通り、わたしは人々はみんな可能な限り自分の望む通りに学び成長する広い機会を持つべきだと思っているよ。