剽窃の「ジャンヌダルク」伊藤純子議員、「子どもの性被害の問題に取り組む」気はまったく無し

先日公開した記事「『伊勢崎のジャンヌダルク』への怒り」では、伊藤氏の記事は「『被害者』を『幼稚』『破廉恥』と叩き、『加害者』を擁護する発言」であり、「市会議員のものとしてふさわしくない」ことを述べました。つまり、

本当に伊藤氏が市会議員としての誇りを持っているなら、ほんとうに問題にすべきなのは「『モデル募集』という名目で少女を誘い出して少女と性交渉したり、ホテルなどで強引な撮影をしたりする」輩から、市民が「被害者」にならないように対策を立てることなはず。

と主張したわけですね。
それに対して翌日、伊藤氏のサイトに「反論」がアップされたのですが、その内容は以下のとおり。

たとえ、読者のあなたと私の意見が合わないとしても、所詮、あなたと私は思想が異なるのですから、見解の相違は仕方がないと思われます。
〔……〕
「撮影する側の男性の責任は不問ですか?」−もちろん悪いですよ。よく読んでもらえればご理解いただけると思いますが、「これに乗っちゃう男性男性だけど、このようなサイトを見る限り、女性の方にも問題があると思われます。…私は女性だけを非難した覚えはありません。
〔……〕
私の意見に賛成できないのは残念の窮みですが、「揚げ足とり」での攻撃は慎まれてはいかがでしょうか?

まず、私は伊藤氏の記事に対して「言いまちがいや言葉じりをとらえて非難したり、からかったり*1」していません。ここだけははっきりと述べておきます。
一応「こんぶダイアリーさんの反論についてお答えしましょう」と伊藤氏も述べているのですが、そもそも私は「撮影する側の男性の責任は不問ですか?」なんて生温いことは一言も申し上げていません*2し、どう考えても「こんぶダイアリーさんの反論についてお答え」にはなってないです。
そもそも伊藤氏が論拠として挙げている「書き込み」についても、「それってサクラじゃないんですか?」「書き込みを読んだだけで決め付けている」んじゃないんですか?「もし『少女側から水着や下着姿などの大胆な格好と報酬額を提示』していたと仮定しても、その書き込みが『性交渉』や『強引な撮影』を許すものではないことくらい、小学生でも分かりそうなこと」ですよ、と遠まわしに書いていたのですが。遠まわしすぎて伊藤氏に伝わらなかったみたいですね。残念。


まぁそんなことは思いて学ばざればさんや成城トランスカレッジさんなんかで言及されているので今更ですが。
今回取り上げるのは、伊藤氏の記事ととてもよく似ている読売新聞の記事に関してです。*3……とは言っても、別に「剽窃だ!」と言及するわけではありません。
今回のエントリでは、この読売の記事と伊藤氏の記事とにある「違い」について、前回のエントリで牧波さんが言及したことと織り交ぜて、伊藤氏の記事を改めて批判しようと思います。



1、「女性の方にも問題がある」という発言について


まずhttp://konvdoor.fc2web.com/mortify/itou_yomiuri.html#fを見てください。

読売(01/12)
同協会では今月10日、検索専門サイトにモデル募集にかかわるキーワードを入力し、表示された上位100サイトの中身をすべて調べた。その結果、不特定のモデル希望者と撮影希望者が情報交換する内容のものが14サイトあり、このうち18歳未満の少女も対象になっているものが8サイトあった。撮影側が制服などのコスチュームを希望、少女側から水着や下着姿などの格好と報酬額を提示するなど問題のある内容だった。

この記述に関してまでは、読売と伊藤氏の記事では殆ど同じことがかかれているのですが、読売の記事では、続けて

読売(01/12)
昨年、神奈川、奈良県警などが摘発した児童ポルノ製造販売事件では、児童買春・児童ポルノ禁止法違反などで逮捕・起訴された男(公判中)が、サイトに「モデル募集」と書き込み、報酬5万〜10万円を提示して、18歳未満の少女100人以上を集めていた。

と、実際に起こった事件について記述されています。私は前のエントリにて、

牧波(01/16)
実際の事件の内容は、「『モデル募集』という名目で少女を誘い出して少女と性交渉したり、ホテルなどで強引な撮影をしたりする事件」です。「誘い出して少女と性交渉」をしているのは、誘い出した「加害者」だし。「強引な撮影」をしたのも、撮影をした「加害者」です。
一億歩譲って、例えこの「加害者」が「誘発的と思われるものばかり」と(伊藤氏が)揶揄した書き込みに「乗っちゃった男性」であったとしても、「加害者」が擁護されていい、なんて結論にはならないはず。「誘い出して少女と性交渉」をしたのも、「強引な撮影」をしたのも、他ならぬ「加害者」なのだから。もし「少女側から水着や下着姿などの大胆な格好と報酬額を提示」していたと仮定しても、その書き込みが「性交渉」や「強引な撮影」を許すものではないことくらい、小学生でも分かりそうなこと。

と主張しましたが、すでに伊藤氏は「実際の事件」の「加害者」である男性が「『モデル募集』という名目で少女を誘い出して」いたことを知っていたのですね。
それでも伊藤氏は以下のように、事件に関してはスルーし。その代わりに「加害者」に関して「過失責任」が問題だと主張し、「被害者」に対しても「問題がある」と主張したのですね。

伊藤(01/13)
これに乗っちゃう男性も男性だけど、このようなサイトを見る限り、女性の方にも問題があると思われます。

2、「『幼稚な少女が多い』という実態が浮き彫りにされます」という発言について


次にhttp://konvdoor.fc2web.com/mortify/itou_yomiuri.html#gを見てください。
上記に続けて伊藤氏は、以下のように「被害者」を「幼稚」であると主張しています。

伊藤(01/13)
こうした事件の背景から「お金欲しさのあまり、軽い気持ちで面識のない男と会い、被害に遭ってしまう幼稚な少女が多い」という実態が浮き彫りにされます。

「浮き彫り」にされた「実態」は、あくまで「幼稚な少女が多い」とのことで、ここでも「加害者」に対しての言及はありませんでした。
私は以前のエントリにて、

牧波(01/16)
一億歩譲って、被害にあった子どもたちが「お金欲しさのあまり、軽い気持ちで面識のない男と会」ったと仮定したとしても、実際に浮き彫りにされるのは「面識のない子どもに嘘をついて呼び出し、性暴力を犯すとんでもない大人がいる」という実態なはず。子どもたちが「被害に遭ってしま」ったことを理由に、被害者を「幼稚」だと決め付けて非難するという行為は、どう考えても浅はか過ぎ。もう「実に情けない、伊藤氏の恥知らずな言動」と揶揄してもいいくらい。

と、「実際に浮き彫りにされるのは『面識のない子どもに嘘をついて呼び出し、性暴力を犯すとんでもない大人がいる』という実態なはず。『被害に遭ってしま』ったことを理由に、被害者を「幼稚』だと決め付けて非難するという行為は、どう考えても浅はか過ぎ」だと、伊藤氏を批判しました。
しかし、すでに伊藤氏は「『面識のない子どもに嘘をついて呼び出し、性暴力を犯すとんでもない大人がいる』という実態」を知っていたのですね。以下、読売新聞の記述です。

読売(01/12)
昨年、記者の取材に応じた東京都内の中学3年の女子生徒(14)は、インターネットのモデル募集掲示板に「ヌードなし、1時間5000円以上」などと書き込み、4人の男性と会ったと打ち明けた。
「まず電話で話し、怪しいと感じたら会わない」などの防衛手段を講じているというが、40歳代の男からホテルの部屋でヌード撮影を迫られ、「このくらい(金を)払えば、普通はやるぞ」とすごまれた。報酬として渡された封筒の中身が紙切れだったことも。女子生徒は「ホテルに入ったら、男が集団で待っていて乱暴された友達もいる」と話し、「怖い部分もあるけど、欲しいものを買うには小遣いが足りない。これは親への反抗だから」と目をそらした。

それでも伊藤氏は以下のように、「加害者」の「実態」に関してはスルーし。その代わりに、「事件の背景から『幼稚な少女が多い』という実態が浮き彫りにされます」と主張していたのですね。そしてさらに、「加害者」の「実態」を知っていながら尚、「被害者」に非があることを前提に、以下の主張をしていたのですね。

伊藤(01/13)
こうした事件の背景から「お金欲しさのあまり、軽い気持ちで面識のない男と会い、被害に遭ってしまう幼稚な少女が多い」という実態が浮き彫りにされます。
そしてもう一点、「男と女は平等だ」だとか、思春期に男子との接触が近くなりすぎて、男女間の意識が希薄し、何のためらいも、恥ずかしさも感じない男児・女児が増えているからではないでしょうか?!
したがって「ジェンダー教育こそ、性犯罪の起因となるもの」と定義します。

「子どもの性被害の問題に取り組む」気がまったくない伊藤氏の言論

最後にhttp://konvdoor.fc2web.com/mortify/itou_yomiuri.html#iを見てください。

読売(01/12)
子どもの性被害の問題に取り組む「ECPAT/ストップ子ども買春の会」の宮本潤子共同代表は「体は大人でも、判断力は子ども。いざとなると、勢いにまかせたり、だまされたりしてしまう。大人が実態を知らせ、本気で注意を促す必要がある」と話している。

以上のように、読売の記事では、子ども(「被害者」)が「勢いにまかせたり、だまされたりしてしまう」という「実態」があるから、「大人が実態を知らせ、本気で注意を促す必要がある」というECPATの意見を掲載しています。このECPATの意見は、子どもが「被害者」にならないためにも、「実態」を大人が知らせよう、というものです。この意見には、ECPATが「加害者」の「実態」を問題視しているという姿勢が見えます。
もちろん伊藤氏は上記の部分もスルーしています。その代わりに伊藤氏が記述した文章は以下のとおりです。

伊藤(01/13)
恥ずかしながら、伊勢崎市が全国第7番目に施行したと豪語する「男女混合名簿」なんてものは、青少年の心を乱すとんでもない代物であります。もう、見過ごすわけにはいきません!
現在、伊勢崎市が施行しているこの「男女混合名簿」に反対していただけますよう、どうか全国の良識あるみなさまからの「非難の声」をお寄せください。声の多さがつのり次第、政策実行に移りたいと思っています。ぜひ、ご協力のほどを!

伊藤氏にとっての問題はやはり、「青少年の心が乱れていること」でした。これまでも見てきたとおり、やはり「被害者」が悪い、というのが伊藤氏の主張のようです。
私は以前のエントリにて以下のように主張しましたが、

牧波(01/16)
本当に伊藤氏が市会議員としての誇りを持っているなら、ほんとうに問題にすべきなのは「『モデル募集』という名目で少女を誘い出して少女と性交渉したり、ホテルなどで強引な撮影をしたりする」輩から、市民が「被害者」にならないように対策を立てることなはず。それすらもせずに、「被害者」を「幼稚」「破廉恥」と叩き、「加害者」を擁護する発言を恥ずかしげもなく世界に発信する。そんな伊藤氏には、本当に寒気を覚える。

今回、読売新聞の記事と比較したことによって、「寒気」をより強く感じるようになりました。伊勢崎市には絶対に住みたくないです。また、もし、近いうちに知り合いが伊勢崎に引っ越すようなことを言ってきたときには、何としてでも止めようと思います。

*1:揚げ足を取る、の意味:参照

*2:実際には、コメント欄のtという方の発言でした

*3:この間のエントリのコメント欄にて、牧波さんとid:june_tさんが会話のキャッチボール(笑)をしている間に、まなさんが見つけてきてくれました。ありがとうございます。