透明人間は204号室の夢を見る / 奥田亜希子

レビューという名の感想文です。


新人賞を受賞し小説を出版でできたは良いものの、その後の作品が作れず、世間から忘れられていこうとしていた時に、自分の本を一度手にとった男に惹かれてしまった女の子(実緒)のお話です。
まず、ただただ気持ち悪いです。
この主人公の女の子が。
主人公の本を手にとった男(晴臣)とその恋人(いづみ)、バイト先のリーダーも含めて、ろくな人間は出てこないようには見えますけどもね。
晴臣に惹かれて、知られないようにこっそり小説を投函し続け、想像の中で晴臣の家に行ったりするところなんて、気持ち悪さの局地ですね。
いづみと知り合うことで良くなるのかなと思ったら、そういうこともなく。
いづみと晴臣も、地味に実緒に好意をろくに抱いていたわけでもなかったりというのが、海に行った後の帰りの音声録音ではっきりしてたので、あれ?とはなりましたが。
いづみはすごくいい人に見えたんですけどね。
途中出てきた、元担当の渡瀬が口だけのろくでもない人なのかと思ったら、最後の最後でちゃんとしてくれたのは想定外でした。
最後に、晴臣に小説を届けていたのがバレたことで、活路が見いだせたのが救いでしょうか。
すっきりしたんだかしないんだかよくわからない感じでした。