記憶について考えさせられた二冊


第一回本屋大賞を受賞した、
こちらを読んでみました。

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

交通事故に依って大怪我をして、
新しい記憶が80分しか持たなくなってしまった数学者の老人と、
家政婦さんとその息子との交流を描いた作品です。




人間の「記憶」ってやつについて深く考えさせられ、
「ハードカバーの新刊は買わない」という自戒を破り、
こちらも買ってしまいました。

明日の記憶

明日の記憶

こちらはマイブームが現在進行中の荻原浩さんの作品です。
50歳の働き盛りのサラリーマンが、
突如、若年性アルツハイマーに罹ってしまう物語・・・。



二冊とも今年映画化されました。
この二冊、どちらもかなりお薦めです。
是非二冊連続で読んで欲しい。




「記憶」ってある意味「人格」・「人生」のすべてですよね。
「物心がつく」という「記憶」の「フェイド・イン」から始まる「人生」。
そして「死」という「カット・アウト」で終わる「記憶」。




美味いものを食いたい。とか、楽して儲けたい。とか、
どんな欲望だって、それ、「記憶」がなければ発生しないんだし、
「記憶」がなければ、何も感じないってことです。
排泄物が汚いという記憶を失った痴呆患者は、
たいていそれを食べてしまうそうです。
「呆ける」ということは、
「カット・アウト」の「死」の恐怖を和らげるために、
「フェイド・アウト」に変えてくれる、
神様からのプレゼントだという人もいます。




だけど「記憶」ってやつは、
痴呆症やアルツハイマーの患者じゃなくても、
間違えている場合もあるし、
時間が変化させている場合もある訳で、
常に正しい真実な訳ではないんです。




般若心経のいう、
「色即是空 空即是色」や、
「不生不滅 不垢不浄 不増不減」っていうのは、
こういうことをいっているのかなぁ。



「大脳≒記憶≒人間」じゃあ、
なんだかつまんねぇもんねぇ。




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