野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「動物の演劇」世界初演

本日、「動物の演劇」世界初演でした。満席でした。
公演を見た方は、是非感想などお聞かせください。

昨日のゲネプロのビデオを見ての反省点は、本番で修正できました。
あれだけ作曲され、振りつけられて、制約があるので、即興でやる余地は、ほとんどないのですが、それでも本番になってみて、その場で閃いたりやりたくなることがあるものだ、と思いました。

例えば、「ウマとの音楽」では、ウマが歩くシーンがあって、これは楽譜ではアコーディオン奏者が歩くことになっているのですが、本番中に、ピアニストが歩いてみようと思い、その場で歩きながら弾いているうちに、飛び跳ねながら弾いたりすることになりました。それで、飛び跳ねたために、ピアノの椅子が少し後ろにいったので、次のアコーディオンが蛇腹で風の音をさせている時に、静かに椅子をなおそうと思ったのですが、その時に、ふと椅子を引きずる音と蛇腹の音で共演してもいいかも、と思って、それをやりました。すると、ダンサーの上に重なった寺田みさこさんが、その音に触発されて即興で空を飛ぶようなしぐさをしたのです。

そのようなやりとりが水面下で色々起こっているのですが、もちろん観客には何がアドリブで何が決め事なのかは、全く分からないと思います。

開演前に、ピナ・バウシュの話をしました。智美ちゃんの学んでいるフォルクヴァンク芸術大学の舞踊科出身で、そこで教えていたこともある世界的な振付家。1986年に初来日の時、終演後、観客からすぐに拍手が起こらず、長い沈黙があったそうです。その当時の日本の観客はあまりにも見たことがないものだったので、どう反応していいか分からなかったとのことです。

ところが、それと同じことが終演の時に、起こりました。観客がすぐに拍手をせず、長い長い沈黙の後、出演者のお辞儀とともにやっと拍手が起こりました。見たことないものだった、という感想ももらいました。

今のところ聞いた感想は、賛否両論というよりも、賞賛、難解の2分されています。これは、作品が未整理で難解なのか、それとも作品が整理されているがやろうとしていることが新しいのか。後者であると嬉しいので、そのためにも、明日以降、クリアに明確にできる部分は意識的にやっていこうと思います。

公演は日曜日まで続きます。あと4公演、毎回違った体験ができるようにしたいです。
ちなみに、日曜日の公演は残席がごくわずからしいので、日曜日に来たい人は、即申込みをお薦めします。金曜日、土曜日の公演も、かなり売れているようなので、当日行くにしても、予約の電話を一本でも入れる方が確実だと思います。

では、会場でお会いしましょう。