野村誠の作曲日記

2017-06-16 センチュリー響の定期演奏会、アプポ完成

やぶくみこさんと打ち合わせ。6月26日より、城崎国際アートセンターで滞在制作をするので。ダリオさん、やぶさんとコラボレートで何が生まれるのか、楽しみです。7月15日と17日に本番があります。

チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」の第2楽章「アプポ」が完成間近ですが、いろいろ寄稿錯誤中。今週、韓国に行く予定が延期になったので、せっかくなので、作曲時間を使っています。時間がない時は、どんどん直感で書きますが、時間がある時は、敢えて、直感で浮かんだものをすぐに書かないで、他のアイディアスケッチしてみたり、色々した上で、書きます。そうすると、実際に譜面に書かれない(ボツになる)様々なアイディアの試行錯誤ができるのですが、こうしたボツになるアイディアを考えることは、決して無駄ではないと思って、楽しんでいます。時間があれば、できるだけ、こうした無駄をやりたいわけです。なぜなら、たとえ作品には反映されなくても、作曲のプロセスの中で、自分が色々な可能性を試せたことで、少しだけ成長することができるわけです。

作品をつくる上で、音楽創作ワークショップというのは、そうした無駄をやりまくれる貴重な場なわけです。このワークショップというのも、実は時間の効率よく進めるよりは、無駄なことをいっぱいするのが、豊かだったりします。レゴで遊んだり、飲み会に行ったりしなくても、作曲はできるのですが、でも、それがある方が音楽に深みが出る。

日本センチュリー交響楽団と行っている若者就労支援プロジェクト「The Work」のワークショップで色々試したアイディアを、このチェロ協奏曲の中に、なんとかして全部盛り込めないか、と試行錯誤しておりますが、もちろん一部分しか採用されません。でも、採用されなくても、いいのだと思う訳です。ぼくなんて、自分が作曲のために考えた様々なアイディアのほとんどは採用されていないので。荒井良二さんと子どものワークショップをした時に、荒井さんが、子どもの描いた絵の上から、どんどん絵の具で描いて、子どもの絵が埋もれて、荒井さんの絵になっていったときの衝撃。でも、絵を描くというのは、そういうことで、作曲するのも、そういうこと。全てを活かそうとすると、何も活きない。何かを否定するのでなく、全てに可能性を開いた上で、選択していく作業

と、こんな日記を書きながら作曲できるのも、有り難いことです。作曲の途中に、色々なことを考えられるのは、大変有り難い。そして、今日は、日本センチュリー交響楽団の定期演奏会を聴きにシンフォニーホールに行きました。こうして作曲の途中で、コンサートに行く余裕があるのも、有り難い。

大阪の福島駅を降りると、関西将棋会館があり、もう少しいくとシンフォニーホールがある。明日の2時には、藤井聡太4段の対局が、関西将棋会館であり、日本センチュリー交響楽団のコンサートがシンフォニーホールである。ぼくは将棋ファンであり、オーケストラ仕事をする作曲家なので、いつか、プロの将棋の人たちとのコラボレーションをやってみたい、と思うのです。実は、17年ほど前に、カザルスホールの出していた冊子に、御喜美江さんと野村のインタビュー掲載されたことがあります。その前の号が、将棋の佐藤康光さん(現在、日本将棋連盟会長)のインタビューで、佐藤さんはヴァイオリンを弾かれるし、クラシック音楽がお好きとのことでした。ぼくが、将棋会館の1階の掲示板だけを眺めた後、シンフォニーホールに向かう。

ドミトリー・シトコヴェツキー指揮で、ジョン・アダムスのポストミニマル作品「議長は踊る」。シトコヴェツキーのヴァイオリン独奏+指揮で、コリリアーノの「レッド・ヴァイオリン」組曲と前半は20世紀のアメリカ音楽。後半は、シューマン交響曲第2番。個人的には、アダムスのリズミックな音楽を、センチュリー響はどのようなアンサンブル演奏するのかを聴くことで、将来、このオーケストラに自分が作品を書く時の参考になるだろう、と思って行ったのですが、伊福部昭ゴジラシリーズや、すぎやまこういちドラゴンクエストなども演奏しているわけですから、こうしたタイプの音楽も、ノリよく演奏。逆に、特に目当てにしていたわけでなかったシューマンの音楽は、20世紀のアメリカ音楽の後に、19世紀のドイツの音楽が本当に力強く新鮮に響き、シューマンのパッション演奏家エネルギーを受け取り、家に帰って、作曲の続きをやる力をいただきました。

それで、家に帰って、作曲しようと思って譜面を見返すと、何も書き換える必要もなく、これで完成だ、と思いました。煮詰まった気持ちになっていた自分が、演奏会リフレッシュされて戻ってきたらすっきりして、第2楽章「アプポ」の完成。いよいよ第3楽章「グン」に着手します。世界初演は、8月23日です。

こちらが、8月23日の詳細

http://www.toyonaka-hall.jp/event/event-1451/

こちら、城崎の予告編映像

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