野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

日本センチュリー交響楽団の定期演奏会

昨日から、日本センチュリー交響楽団との仕事が続きます。今日は、いずみホールに、センチュリー響の定期演奏会を聴きに行きました。先日、ハイドン大學で取り上げた3曲と、ディッタースドルフの「コントラバス協奏曲第1番」です。指揮は、飯森範親さんで、コントラバス独奏は、同楽団首席コントラバス奏者で、野村とのコミュニティ・プログラムに昨年度より参加して下さっている村田和幸さん。ぼくの人生でも、コントラバスの協奏曲を生演奏で聴くのは初めてかもしれません。なかなか、コントラバスの協奏曲を聴く機会もないものです。ぼくの人生の中で、コントラバス協奏曲を書くことがあるかどうか分かりませんが、今のところそのような機会はありません。

村田さんの演奏が素晴らしく、普段なかなか聴かないコントラバスの高音域やハーモニクスの音色の美しさなどに、会場全体が耳を傾ける至福の時間でした。

ハイドンの演奏は、ハイドン大學の講義をするためにスコアは読み込んであったのですが、スコアを見てピアノで弾くことはあっても、敢えて、オーケストラの演奏の音源は聴かないようにしていました。音源で聴いてしまうと、耳で曲に先入観を抱いてしまうので、できるだけ譜面から読み取れる情報を解読しようと思っていたので。ですから、今日は、まるで初演に立ち合う作曲者のような気分で、「あそこのヴァイオリンだけになるとかは、どんな感じにやってくれるかなぁ」とか、「ファゴットロングトーンは、どんな感じかな」とか、色々楽しみにして来たので、それが実際にオーケストラの生演奏になったのは、感激でした。ちょっと、作曲者の気分でした。

それで、演奏なのですが、指揮者とオーケストラが、予定調和ではなく、その場でライブで演奏を即興的に組み立てている。そんな感覚になる瞬間が何度かあり、指揮者と楽団の関係性が、ハイドンを続けていく中で、培われているように感じました。これは、続けていくと、よりスリリングな演奏ができてくるに違いないです。

行きと帰りの電車の中でも、ハイドンの伝記「The Life of Haydn」をパラパラと読んだり。エステルハージ家の副楽団長になったときの契約書があったり、子どもの頃に、ティンパニを担当していたことがあったり、いろいろハイドンを形づくる鍵になる要素が色々あり、面白く読書し、ハイドン漬けになる。

The Life of Haydn (Musical Lives)

The Life of Haydn (Musical Lives)