野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

為せば鳴る!

東京に来ております。昨日は、東京藝術大学上野キャンパスでしたが、本日は千住キャンパス。「野村誠千住だじゃれ音楽祭 第2回定期演奏会『かげきな影絵オペラ』」のためのワークショップ/リハーサル。だじゃれ音楽研究会のメンバーに加えて、公募で集まったメンバーなどで、約30名。

ということで、今日の次は、本番前日の2月3日がリハーサルです。しかし、今日、初対面なので、皆さん仲良くなれると良いのですが、いきなりリハーサルという雰囲気でもなく、しかし、悠長にウォーミングアップなどしている場合ではありません。ということで、本番を想定して、同族楽器同士で集まってもらいました。今日のメンバーは、金管楽器4名、木管楽器6名、鍵盤ハーモニカなど6名、ギター群3名、(擦)弦楽器3名、打楽器7名と野村がピアノ。本番は、これに5人のゲスト音楽家も加わります。皆さん、それでは、舞台にのりません!本番を想定して、舞台のサイズを前提に並んでもらいました。そして、各パートごとで、音を出してもらうところから始め、各パートごとで創作してもらうところから始めることで、創作しながら、お互いに少し親しくなっていったりするような感じで進めました。これも、各パートに、だじゃれ音楽研究会のメンバーがいるので、自然にどのチームにもファシリテーターがいるような状況がうまれていて、安心して、任せられることが大きいのです。その結果、「為せば鳴る、為さねば鳴らぬ、どうにでも鳴る」という新曲が生まれました。このメンバーでなければできない音楽。

その後、野村誠作曲「でしでしでし」(1995)のリハーサル。日本での再演は、1995年の水戸芸術館以来23年ぶりで、曲自体でも、2003年オランダ以来15年ぶりの再演になります。この曲は、とても素人が簡単に参加できる曲とは思えない変拍子だったり、かなり複雑曲で、20代の野村のエネルギッシュな作品ですが、しかし、やってみると、確かに初顔のメンバーなのに、成立してしまう、不思議な曲です。今の野村だったら、書かないだろうし、アマチュアの方々と少しのリハーサルでやるのに、こんな複雑に作らないのですが、23年前の野村は、こんなことを考えていたのか、と驚きました。しかも、ピアノのパートは結構、指がまわらなく、これを軽々と弾いていたと思うと、運動神経が少し鈍ったかなぁ、と思い、練習しなくっちゃ、と思いました。それにしても、今日初対面で、最後には全曲通しができて、それも小学生から80歳までみんな参加してできていて、ああ、通ったー、と嬉しく思ったわけです。

そして、最後に、梅津和時さんの「ああいいね、クラいいね、那覇とムジーク」を練習しました。だじゃれと音楽が見事に融合した傑作です。これも譜面を見ると難しいかな、と思ったのですが、よくできています。うまくいきました。

ということで、13時ー17時まで、みっちり4時間リハーサル終了。ちなみに、2月4日のコンサート、定員200名のところ、既に、申し込みが80%ほど埋まっておりまして、事前申し込み受付は、間もなく〆切になる見込みで、あとは当日に入場整理券という形になると思われます。当日の方は、立ち見になる可能性もありますので、お申し込みはお早めに。

http://aaa-senju.com/p/10307

その後、次年度のプロジェクトの打ち合わせに、アダチベースを訪ねました。貧困層の中学生を対象にした居場所づくりの活動。NPOカタリバが運営。だじゃれ音楽研究会のメンバーが、ファシリテーターとなって、足立区の様々な場所にアウトリーチしていく活動を展開できないか、というのが、次年度の目標。

打ち合わせ後、だじゃれ音楽研究会メンバー、スタッフと夕食。コタローくんは、だじゃれ音楽研究会に関する修士論文を提出したところ。どんな研究成果があがったのか、非常に楽しみであります。

仲町の家に戻ると、チベットに関するレクチャーが終わったところ。ここでも、また色々な人が集っているようです。2011年に、「音まち千住の縁」がスタートし、初年度は、野村誠足立智美大友良英、大巻伸嗣の4プロジェクトで始まりました。あれから6年の月日が経ち、徐々に、いろいろと浸透していって、実現したこともいろいろあります。

さすがに疲れていて、22時に就寝。