野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

かぶき踊りのような

山形ビエンナーレ。展示を色々みてまわる。茂木綾子さんの映画。蜜蝋職人、山、山伏。七次元の本屋さん。手描きペイントのブックカバーで覆い隠された本たちと、特性の本棚。山形ビエンナーレの展示は、一つ一つが良いデザインで提示されていて、でも、中身が濃密なのです。テーマは、民芸品だったり、山伏だったり、食だったり、文字だったり、本だったり、ファッションだったり、さまざま。

今日は、ぼくのソロコンサート。会場が360度囲み型の木の階段状の手作りベンチ。既にワクワクする空間に、様々な楽器を配置していく。スタッフの人々に、この楽器、ここでぶら下げたいんだけど、と伝えると、みんな喜んで、ぶらさげてくれる。ありがたい。楽しい。

終演後に、荒井良二さんとのアフタートークが予定されていたが、荒井さんが、終わった後にトークはいらないんじゃない?との言葉があり、オープニングトークにした。最初10分ほど、荒井さんとお喋りして後、鍵ハモの独奏で、「鍵ハモイントロダクション」。つづいて、鍵ハモの独奏をしているうちに、観客のこどもの「こっち」という言葉に誘われて、楽器を移動して、木琴だったり、色々な楽器に移る。太鼓がいつの間にか、犬になり、叩くとちゃんと歩いてくれる。太鼓の散歩をして、なんとか会場を横断に成功。足踏みオルガンも演奏。観客の人々に足を踏んでもらいながら演奏したい、との要望に、芸術監督の荒井さん、プログラムディレクターの宮本さんの二人に足を踏んでもらう場面もあり、どんどん色んな人が交代で踏んでくれる。こんな参加型コンサートもあるんだ。ありがとう、皆さん。ぶら下げた楽器を、テニスや野球のフォームでヒットして鳴らすも、いとをかし。後半に楽器を持参した皆さんとの合奏。新潟でのこどもたちとの経験を下敷きに。最後は、全員で混沌とした大合奏タイム。すごい心地よい騒音。出雲の阿国のかぶき踊りは、こんな感じだったかもしれない。

荒井さん、宮本さんと飲んで語り合うのも、今日が最後。再来年のビエンナーレでは、荒井良二いしいしんじ野村誠+‥‥のオペラやりたいなぁ。ありがとう。山形ビエンナーレ