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2007-10-15

レビュー翻訳:Blood Over Gold


f:id:mallion:20070819052927j:image:w250:rightIan Cooper 氏のレビューが World of Glorntha ML に流れておりましたので、翻訳させていただきます。だいたい、僕もこのレビューに賛成。




『Blood Over Gold』は HeroQuest/グローランサ向けの新しい大キャンペーン・セッティングであり、前の出版物でほとんどカバーされていなかったウェネリア地方――交易公たちの故郷を扱っています。


公平な批評のために書いておきますが、私はこの本にクレジットされています。しかしそれは(著者の)Jeff氏がプラロリ人の民族キーワードを作るインスピレーションを得るために私のテルモリ人の民族キーワードが参照されたというだけで、まあおせじみたいなものです。


『Blood Over Gold』は、136ページで、よくできた製本です。カバーアートは特に素晴らしい。「塔」とフェイ・ジー市の燃え盛る“ガーディアン”を描いたもので、プレイの中心になる町の雰囲気をよく表しています。


キャンペーン・セッティングの焦点は、交易公――かつて「海洋の大閉鎖」の間、ドラゴン・パスとラリオスのあいだで通商路を支配して肥え太った貴族たちです。しかし「海洋の大開放」によって伝統的な収入源が干上がってしまったため、彼らは生き残りのために新しいやり方を探し求めています。プレイヤー・ヒーローたちはフェイ・ジー市を支配するキャロマン家にトラブルシューターとして雇われ、家門の家運を回復する手助けをすることになります。


このセッティングでは、フェイ・ジー市でのシティアドベンチャーから、機会と利益を求めてのワイルダネスアドベンチャー、大家門のあいだの政治陰謀まで、多様な冒険の機会を提供しています。その多様性は、長いキャンペーンを運営する助けとなるでしょう。


「深き森と速き川」

最初の章は、ウェネリアの歴史の入門で幕をあけます。この地方は何度も西方と東方の戦いの場となり、それは廃墟と政治体制の断片に見ることができます。それに地理と歴史に関するセクションが続きます。交易の主要な軸となっているのは水路で、舟はウェネリアで重要なものです。ここではカヌーとジョラズ舟に関する情報が提供されます。包括的なガゼッタと地図は、ここがなぜ冒険に適した場所であるかを示しています。無数の人間と非人間(例えばアーストラの森のエルフたちやライゼルのドラゴニュートたち)、エレンプローズのような古代の廃墟と荒野。この章はウェネリアを脅す部外者(たとえば「狼の海賊」やスメルチ王国)に関するセクションで結ばれます。


「ウェネリアの人々」

この章は、ウェネリアの大きな人間文化をカバーしています:交易公、ウェネリア人、プラロリのスンチェン人、新海岸の島嶼人です。それぞれの文化は、HeroQuest 式の民族キーワードだけでなく、さらにライトアップを含んでいます。


交易公は、アシャーラ教会の聖キャスレインを奉じる西方文化の君主、騎士、魔術師たちであり、マルキオンの聖者と、ヒョルト人の神々を聖人として礼拝する「誤った信仰」の混合となっています。このセクションでも交易公の家門を記載しており、とくに突出した家門をリストアップしています。


ウェネリア人はオーランス人文化であり、『Thunder Rebels』のようなサプリメントからおなじみですが、また、かれら独特の特徴があります。彼らはドラゴン・パスのいとこたちとは異なり、呪術の習わしと神教のカルトを混合した魔法を中心にしています。ここではフェイ・ジー(キャンペーンの核心)周辺の氏族をふくむ、さまざまなウェネリア人のグループ向けのバックグラウンドも紹介されています。


プラロリ人は、背景地域の西にあるプラロレラ地方の原始的なアカジカの民です。スンチェン人が(HeroQuestで)はじめて公式に扱われており、プラロールの呪術の習わしについての情報があります。

島嶼民はスロントスが沈没したのちに残された多くの沿岸地や島々の住民です。


この章は、新しい職業キーワードを紹介して終わっています(舟乗り、漁師、番兵、交易公の貴族、ラバ追い)。


「フェイ・ジーへようこそ」

フェイ・ジー市の中に、本のカバーに描かれている「塔」があります。その燃え盛る火球は、都市の“ガーディアン”です。フェイ・ジーはいささか不運な町で、何度も略奪され、破壊され、そして再建されてきました。最近では『運命の日』と呼ばれる日に“狂戦士”ハレックとその配下の「狼の海賊」によって略奪されています。大暗黒のさなかにここにあった「偽りの太陽の塔」の廃墟をもとに作られたこの街の街路は、塔をつくった奴隷たちのゴーストたちにいまも憑りつかれています。この町は港町であり、新しく開かれた海から利益を得ています(そして、それに伴う危険も)。それゆえ多様な人々の集まる場所でもあって、地元民やすべての交通にかかわる人がここに住んでいます。四辺世界から来たキャラクターたちが、ここで文字通り「船から足を洗う」ことができます。またここでは、都市の歴史と一般市民の情報とともに、都市や近辺のあれこれといった情報をカバーしています。この章は、都市差し迫った環境の説明で終わります。


「キャロマン家」

フェイ・ジーの交易公、キャロマン家について、ナレーターキャラクター(NPC)たちのこの本でもっとも役立つ部分がここにあります。キャロマン家には大きなトラブルがいくつあります。家門は近年、ジョラズ家から分かれましたが、本家のほうはこの分裂に不満をもっており、再度これを統合することを目論んでいます。キャロマン家の影響を受けているウェネリア同盟の氏族のいくつかは、扱いが難しくなっています(これには戦王グレイメインの影がちらついています)。そして、海賊はいまだ町に対する脅威のままです。ヨージ・ドゥ・デライシ(キャロマン家のリーダー)は病んでおり、息子はみな後継者にふさわしそうではありません。権力の継承が難しいとみて、敵対勢力が内外で集まりつつあります。このセクションは、キャロマン家の「構造」とそのいろいろな「部門」あるいは派閥)、一人一人の説明と彼らの関係を述べ、さらにキャロマン家の強敵であるジョラズ家のバルソール公を詳しく説明しています。


「フェイ・ジーを覆う影」

最後は、本の1/3を占めるキャンペーン用マテリアルです。これによって、プレイヤーキャラクターは新米のトラブルシューターから家門の主導者にまで成り上がることができます。転換点にあたる4つのシナリオがキャンペーンの柱となっており、プレイヤーキャラクターたちの冒険のキーポイントとなります。これとともに、ストーリーシード、アドベンチャーフック、ナレーターがキャラクターの要求に応じたエピソードを作りあげるために使うことができるアウトラインがいくつも掲載されています。キャンペーンでは、プレイヤーヒーローたちが家門のなかで位をあげていく3つの異なったフェイズがあり、より大きな影響を得るごとに、より大きな危険にさらされていくことになります。そして、最後は生死を賭けた闘争においてクライマックスに達します。


この本は役に立ちますか?

『Blood Over Gold』は、これまで HeroQuest のためにつくられた中でも最高のサプリメントの1つであるかもしれません。おそらく、あなたが HeroQuest 基本ルールと1冊を選ぶだけで遊び始めることができる、と約束できるのはこの本だけでしょう。グローランサの新しい地域でのセッティングは、「いままで出てきた情報」の重みを減らし、扱いをやさしくしています。そのうえ、フェイ・ジーの港は、いままで扱われてきた民族からでもゲームに参加でき、プレーヤーに豊かな選択肢を与えます。もし私が HeroQuest の新しいGMたちに1冊だけを推薦することになっているならば、この本がそうでしょう。そして、私はグローランサのゲーマーたちに楽しいプレイ時間を与えてくれることと思います。いままで私が遊んでみたところまでに関していえば、豊かで、面白かったです。


これは、完全にセッティングされたキャンペーンです(背景、設定、そしてキャラクターたち)。そしてまた設定に沿ったいつでもすぐ使えるシナリオとともに、ナレーターとプレイヤーたちに自分自身の冒険をつくるのを許しています。直線的な物語スタイルを好む人々と同様に、よりフリーフォーム型のプレイスタイルを好む人々の必要を満たすことのできるこのやり方は、HeroQuest のための理想的な組合せだと思います。ルーンクエストのサプリメント、『Griffin Mountain』や『Borderlands』と比較してみるのは適当かもしれません。これは、『Griffin Mountain』のキャンペーン・セッティングの雰囲気と、『Borderlands』のストーリーラインのドラマをもっているといえるでしょう。


編集とアートワークは素晴らしいです、そして、それはグローランサラインでも最も高い水準です。私的にですが、アートワークは HeroQuest の製品で見たなかでも最高だと思います。すばらしいカバーアートとともに、想像力を喚起するイラストと美しい地図が豊富に収録されています。


この本は Moon Design 社のページ数を増やして1冊でいくという決定の聖約(testament )であり、キャンペーンセッティングを1冊でまとめることができ、HeroQuest のゲームに新たな息吹を吹き込みました。


それでは言いたいことはないの?

誰でもより多くを望むことはできますが、実際には現実的な紙幅の制限によって妨げられます。私は、キャロマン家以外のナレーターキャラクターに関して、より詳細があればよかったと思います――ウェネリア連盟の族長たち、ジョラズ家のメンバー、都市の居住者の何人か(ほとんどが一行で説明されています)。新海岸という設定自体は、この本のシナリオ用マテリアルとして活用されていないように見えます。ラマーリア、ハンドラ、カクストロプローズといった場所は、より広い探索向けだと思われるのですが……。しかし、これは与えられたマテリアルを批判しているのではなく、とても良いものだけにより多くを望んでしまうということなのですけれど。