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2007-10-16

ルーンウォーズの特徴:プレイヤーとPCの分離


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RuneWars のPCは、アトリビュート(能力)を多数所有しています。

アトリビュートは、「通常のアトリビュート」と「弱点」にわけられます。

キャラクター作成の時点で、


  1. 所有しているアトリビュートからn個をえらび、弱点とする。
  2. 弱点と同じ数(n個)のアトリビュートを選び、ダイスを振って決めた数値から能力値を高める。(150%〜)

という手順がありますので、基本的にすべてのPC(やNPC)は、弱点を所有しています。


この「弱点」(flaw)とはルール上どんなものか?

ヒーローウォーズや HeroQuest では、「弱点」という概念がいまいちあいまいであったのですが、ルーンウォーズでは明確に定義されます。それは、


「キャラクターの外部から操作できるアトリビュート」


ということです。


これを説明するためには、もう1つのルーンウォーズの特徴を述べないといけません。

それは、「ダイスをロールして、成功した行為はかならずおこる」ということです。


どういうことかというと、ダイスロールして「起こる」と決まったことは、PCにとって不利なことでも実行されるということです。

通常は、これはあまり問題になりません。そもそもPCにとって不利なことはプレイヤーがダイスロールしないからです(まあギャグとしてやることもあるでしょうが、毎度毎度やっていると顰蹙を買うでしょう)。


しかし、ここで「弱点」の「キャラクターの外部から操作できる」というルールがいきてきます。もし相手の「弱点」を知っているならば、それを宣言してダイスロールをさせることができるのです。そして、そのダイスロールが成功したのであれば、プレイヤーの意思とは関係なく、PCはその行為を実行してしまいます

これは、NPCの場合でも同じです。


たとえば、攻城戦の一場面。城の守りは固く、敵将は防戦に徹して出てこようとしません。

ここで、たとえば敵将が〈名誉に拘る、弱点〉という能力をもっていることが分かれば(事前にシナリオ中で「敵の弱点の情報」という「クーポン」を得ておく必要があるでしょう)、敵を侮辱することで相手の弱点をロールさせることができます。うまく侮辱することができれば(ルール的には「感情」のルールを使わせて、「激情」状態にもっていくとかが必要)、敵将は有利不利を忘れて城から出て突撃してくるかもしれません。


三国志とかでありそうですね。


あと、もう一つ問題があって、ダイスロールをすると一定確率でファンブル/クリティカルが起きて、行動が極端になるんですね(笑)。そのときも、プレイヤーの意図とキャラクターの行動はたぶん一致しません。


上記のルールから、必然的に「プレイヤーキャラクターと、プレイヤーの分離」という原則がうまれてきます。ルーンウォーズでは、プレイヤーの意図どおりに、プレイヤーキャラクターが動かないことがあるのです


キャラクターは、アトリビュート/キーワード/アブストラクト/プロフィールの束として定義され、行動の確率のかたまりとしてあらわされます。これは[新城カズマ氏がライトノベルのキャラクターの定義として言っていることですが。

確実に「こういったキャラだ」ということを決めるには、ちゃんとプロフィールを書いてアトリビュートを定義しておいてあげる必要があります。


ルーンウォーズでは、プレイヤーはキャラクターをあやつるアクターであるのと同時に、キャラクターの予期しない行動に驚いたり、その行動を解釈して楽しむ観客でもあると言ってもいいと思います。そして、その行動の結果は、シナリオのあとでプロフィールに反映されたりします(成長メカニズムのひとつ)。

これは通常のTRPGではあまりない(ペンドラゴンとかでは感情ルールでありましたが)特徴なので、特記しておいてもいいかと思います。


以上、現段階での私の解釈。違ったらご指摘ねがいますw。

永遠の戦士エルリック7「白き狼の息子」



グランブレタン帝国が舞台だというのでホークムーンを再読などしていたら読むのが遅くなってしまいました。新エルリック・サーガ3部作の最終巻。(前前作のレビュー1その2前作のレビュー


主人公は現代(2001年)のイギリス人少女、ウーナッハ・フォン・ベックです。

前作までの主人公、フォン・ベック伯と“夢盗人”ウーナの孫娘で、イギリスのヨークシャー地方に住んでいる、古い映画好きの少女。


最終巻に少女の冒険をもってくるという構造は、なんかアイザック・アシモフの「銀河帝国の興亡」3部作(「ファウンデーション」ではなくこう呼びたい)を想起してしまうのですが、あちらの主人公アーケイディア・ダレルがけっこう主体的に動いていたのとは対照的に、こちらの主人公ウーナッハは状況に流されまくりです(笑)。狂言回しに徹してしまっているんですね。まあ、まわりにいるのがエルリックとかホークムーンとかではしかたない気もしますが……。ムアコックがこういう主人公をもってくるというのはどういう心境の変化なんかなあと思ったりもしました。


あとTシャツとパンツでうろつくウーナッハとか、ウーナの潜入の仕方とか、なんか読者サービスしすぎではないかね、ムアコック君。エディングスを思い出したぞ(笑)。


この巻の舞台となるグランブレタン帝国は、「ルーンの杖秘録」のグランブレタン帝国のパラレルワールドです。えー!みたいな感じですが、百万世界にはそういう可能性もあるらしい。だいたい「ルーンの杖秘録」の2巻の最後ぐらいから分岐した世界になっています(カマルグ陥落してホークムーン行方不明)。

グランブレタンをいまのムアコックが書くとこうなる、みたいなところが楽しめました。しかし全盛期の栗本薫だったらもっと退廃した帝国を描けただろうな。そこはムアコック自身の健全さか。


あと、ついに多元世界のなかでムアコック自身が登場(笑)。


お話的には、やはり予想したとおり、「ブラス城年代記」の最後のあの場面をパラレルでやっております。しかしちょっと予想外なところも。


ゲイナー・サーガもこれで終わりですが、ちょっと今回は元気がなかったなあ。>ゲイナー

エルリックがゲイナーとクロスターハイムと一緒に自動販売機コーヒーを買う場面は面白かったです。(いやどうなんだという気もしましたが)


書名にもなっている「白き狼の息子」ですが、あんまり活躍しません(笑)。なんだったの?みたいな感じでしたが、最後の数ページでアゴがはずれました。な、なんじゃそりゃー!みたいな。ウーナッハかわいそう・゚・(ノД`)・゚・


で、復刊の順番が「エルリック→エレコーゼ(→フォン・ベック)→コルム」だった理由がわかりました。たしかにこの順番で読みたくなるな。


ただ、個人的には「夢盗人の娘」でエルリックを現代人が見るとこうなんだーみたいな描写とか、「スクレイリングの樹」の縦横無尽な筆致とかがあまり見られなくて、ちょっと残念な感じの最終巻でした。やはり10才の少女を主人公にもってきたのは無理だったかなあという感じ。つぎはエレコーゼを読み直して、新訳出の三十年戦争もの「軍犬と世界の痛み」にいこ。なんだかんだいってやはりムアコックは個人的には好きなんですけどね。


しかし、やはり「アリオッホ」は改訳されるべきである。