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そっとチラ裏


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2011-09-16

ウィキリークスの米国外交公電リークで世界は変わったのだろうか?〜1前年のアフガン戦争記録公開反響との相似性〜

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 ウィキリークス"元No.2"で、現在は別のリークサイトOpenLeaksに携わっているドイツ人、ダニエル・ドムシャイト-ベルク氏が書いたウィキリークス暴露本『ウィキリークスの内幕』を、しばらくぶりに斜め読み中。

 この本の中でドムシャイト-ベルク氏が、今から1年以上前の2010年7月25日にウィキリークスが公開したアフガニスタン戦争記録約7万7千件に対する世間の反響について語っている箇所がある。これは今読むと、非常に味わい深い。

情報の公開後、「公開によって誰かが被害を受けるのではないか?」という大きな議論が世界規模で巻き起こった。だが、情報の中身そのものが話題になることはずっと少なかった。メディアの第一波ではドキュメントが具体的にとりあげられた。つづく第二波では、資料のふるいわけを終えた他紙が先の分析をなぞった。けれどそのあとは、何もなかった。

(中略)

この失敗の原因のひとつは、信じがたいほどのデータの分量にあった。資料の集積はあまりにも巨大かつ複雑で、どこから手をつければいいのかわからないほどだった。

ダニエル・ドムシャイト-ベルク『ウィキリークスの内幕』、p210

ウィキリークスの内幕

ウィキリークスの内幕

 まずここで注意したいのだが、アフガン戦争記録公開に先立ちウィキリークスは、記録が公開されることによってその記録に書かれているアフガン国内に居る米軍への内通者の身元がバレて報復される事が無いように、公開する記録に対して墨塗り編集を行っている。ただし編集には漏れがあり、100人程の人名が未編集のまま公開されてしまい、これが批判されることになった。

 ちなみに、このような人道を配慮した編集が行われたのは、この案件からウィキリークスと提携を始めたガーディアン紙らマスメディア側からウィキリークへ強く要請したからであった。それ以前のウィキリークスは、ウィキリークスにリーク資料を提供する内部告発者の身の安全については強く配慮していたが、一方でリーク資料の公開によって第三者の身に危険が及ぶ事については全くの無頓着であった。ウィキリークスにおいて公開資料に対して人道を配慮した墨塗り編集が行われた期間はまだたった一年間なのだ。この事はウィキリークスを評価する上で留意されるべきだ。その点で、人道を配慮した墨塗り編集が開始されたこのアフガン戦争記録公開は、ウィキリークスにとって大きな画期と言える。

 さて当時の自分が「はてなブックマーク」に残したコメントを読み返してみると、やはり米国政府のウィキリークス批判を鵜呑みにして、ウィキリークスを批判する内容だった。


mame-tanuki


「Afghan War Diary」に米軍やNATOに情報提供したアフガニスタン人の実名バレが。リーク者もWikiLeaksも杜撰だなぁ。
(2010/07/30 )

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mame-tanuki


杜撰なリークの数日後にはアフガン人の情報提供者がタリバンから暗殺予告を送りつけられ、ついには誘拐され銃殺される事件も。
(2010/08/04 )

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 それから1年以上の時が流れ、また同じような状況が繰り返されている。

 2010年11月28日以降ウィキリークスが次々と公開する米国外交公電は世界に衝撃を与えた。多くの論者がそんなウィキリークスに期待し、また願いを込め、ジャーナリズムや果ては民主主義を進化させる革命の旗手としてウィキリークスを持ち上げた。それが一転して非難の対象となっている。

 しかし、一年前のアフガニスタン戦争記録以前のウィキリークスの事を考えれば、単に元の木阿弥になっただけなのではなかろうか。



【関連本】パノプティコン(全展望監視塔)は、中身が空っぽだとバレたら意味が無い


mametanuki
まめ狸

逆パノプティコン社会という楽観主義は、「監視者が気まぐれなサボり魔であることがバレバレでは抑止力の意味無し」という悲観主義からは空論に感じた #wl_jp / Amazon.co.jp: ウィキリークスからフェイスブック革命まで 逆パノ… http://htn.to/b2pUdv
(2011/05/24 17:44:45)

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mametanuki
まめ狸

@mametanuki そもそもオーウェルの『1984』は体制が市民を徹底監視する社会の恐怖を描いた作品なのだろうか?その社会を構成する個々人の精神の弱さこそを描いた人間残念論という読後感があったけど http://htn.to/b2pUdv
(2011/05/24 17:46:06)

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