分厚い空っぽ

貴志祐介氏の『悪の経典』を読んだ。
何も残らなかった。
別に悪い意味で言っているわけではなくて、
まあそっかこういうお話だったのねという…。
大変ひどい奴が出てきて大変ひどいことを次々に起こす。
そういう物を読んだら何かしら考えさせられるものだけど、
この本は一向に一考もさせられない、
なんて文法的におかしい洒落を言ってしまう余地があるというか…うぅなむにゃむ。
恐ろしい内容なのに怖くもない。
大丈夫か、私。やや不安になる。
あ、でも読み終わった時空っぽな感じが残ったな。
元々何かが詰まっていたところが空になったのではなくて、
空っぽがやってきたんだ。
たぶんこれは、この本から軽さを私が途中で
感じてしまったからじゃないかと思う。


悪の教典 上


悪の教典 下