藤子不二雄(オバQ),赤塚不二夫(もーれつア太郎)、石森章太郎(サイボーグ009)、手塚治虫(鉄腕アトム)。
幼年時のマンガ界のヒーローといえばこの4人であろうか。リアルタイムで見たわけではなく、既に世に発表されていた作品が実は多かったのだが、子供時代にはそれはわからなかった。
他にも印象に残る作品は多かった。ど根性ガエル。荒野の少年イサム。デビルマン。
マンガとはそれと出合うタイミング、年齢でその後の印象が決定付けられるものだろう。読売新聞読書欄で次回特集が赤塚不二夫であるというのを読んで、自分の中でのこの4人の巨匠の整理をしたくなった。
4人の中でいちばん長く幸せに付き合ったのは、藤子不二雄であったろう。長ずるに従って、哀しいことに残りの3人の絵は自分の好みから離れてしまった。赤塚の場合は、リアルに少年マガジンに連載している”天才バカボン”の内容が理解できなかった。壊れているな、という印象を持った。痛々しかった。石森章太郎も、コミックスで買ったサイボーグ009が実は限界であった。子供にはそれより前の作品がより好ましかった。手塚治虫については、殆ど過去の作品を探して読む、という世界。劇画に対応して描かれた巨匠の作品は、心から好き、といえるものでは無かった。マンガに純粋な娯楽、絵で語る喜びを、求めているのだ、と今ではわかる。
そういう意味では赤塚不二夫は手塚タイプでの付き合いであった。絵としては、昭和36年頃の”おそ松くん”が個人的にはいちばん好きである。後年の、一般に最も知られているバカボンタイプの幅広顔のおそ松は、読むのが辛かった。アトムでも同じことがある。昭和40年頃がいちばん良い。丁度アニメが放送されて、”地上最大のロボット”が連載された、人気ピークの頃。それ以降はやはり読むのが厳しい。どちらかというと、ストーリーで厳しかった。
藤子不二雄はその中で、いちばん好きな絵が晩年のころのものである、というケースである。ドラえもん終了前のころがいちばん好みである。いちばん子供向けのマンガに拘ったスタンスの所為であろう、と思っている。
赤塚不二夫、はそのキャラクターの破天荒さが好きであった。イヤミ、デカパン、ハタ坊。なにより主人公が六つ子である。シェーやおフランスのおかしさは、やはり小学校位までの子供に最もFITするものであろう。同好の士(?)と学校で貸し借りをしたことも懐かしい。
バカボンで限界が来て、起死回生を狙った遠藤周作原作の”おバカさん”あたりでも、読者の方が心配になったであろう。マンガを週単位で量産することの過酷さを、そこから知ったような気がする。
だが、そういう意味では、その後の”作者急病による休載”の走りというか、先鞭をつける役割を図らずもになった、といえるだろう。作者も人間、マンガを書くのはリアルに厳しいものだ、ということを読者に実感させる、ということ、これは残りの3人には余りなかったといえるだろう。
トキワ荘時代は、紅顔の美少年であり、いちばんの年下であったと記憶する。無理して自分を作り上げた根のまじめさが、そんな軌跡から見え隠れする気がする。
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