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過去問で遊ぶ物理 ― の、あとしまつ

2009年センター試験 第4問 問7

D

こちらの16:00あたりから。

各状態の変化によって外部に対してした仕事が正か負かゼロかを問う問題です。

熱力学からは離れる感じですが、仕事は次の式で表現できますよね。

W=Fx

ただし、Fとxの向きがそろっていればWは正で、逆向きなら負になります。これはつまりFとxがベクトル量で、内積を計算しているということです。

W=¥vec~F ¥cdot ¥vec~x

まぁ、それはともかく、閉じ込められた気体は外側に対して圧力を加えています。したがって力は必ず外側に向きます。ということは、仕事の正負はピストンの動く方向が体積の増えるほうか減るほうかで決まるということになります。ということでグラフから体積が増えているか減っているか、あるいは変化しないかを読み取ればそれが答えと対応しています。

ちなみに、この宇宙もわずかに圧力を持ちながら膨張していますから、外部に向かって仕事をしていることになります。熱の供給がないことを考えれば断熱変化的に膨張しているわけですから、どんどん冷えているはずですね。(外部ってどこなんだよ!という疑問はひとまずおいといて)

2009年センター試験 第4問 問6

D

こちらの12:10あたりから。

ここから熱力学の問題になります。

動画では定性的にそれぞれの変化を捉えて回答しています。受験物理的にはもっときっちり数式を使って解くものかと思っていたのですが、本屋で問題集を眺めてみても同じように定性的な議論で解いていますね。ここでは一応定性的な議論の裏でどういう数式、具体的には状態方程式を想定しているかを考えてみます。

まずA〜Dの各状態の状態方程式を立てます。状態Xの圧力P_X、体積V_X、温度T_Xとします。

P_A V_A=nRT_A

P_B V_B=nRT_B

P_C V_C=nRT_C

P_D V_D=nRT_D

ですね。

問題文(とグラフ)を読むだけで同じとわかるものがあります。B→Cは等圧変化ですので圧力が同じ(P_B=P_C)、C→Dは定積変化ですので体積が同じ(V_C=V_D)、D→Aは等温変化ですから温度が同じ(T_D=T_A)。これらを代入します。A→Bは断熱変化で単体の変数として固定になる変数がありません。

P_A V_A=nRT_A

P_B V_B=nRT_B

P_B V_C=nRT_C  … (P_B=P_Cより)

P_D V_C=nRT_A  … (V_C=V_D,T_D=T_Aより)

A→Bは断熱膨張なので熱の供給無しに外側に向かって仕事をしています。したがって内部エネルギーが減るため温度が下がりますのでT_A>T_B。…では動画と同じなので、熱力学の第1法則を考えてみます。

¥Delta U = ¥Delta Q + W

これは気体の内部エネルギーの変化量、熱量の変化量、気体がされた仕事の関係式ですので、状態というよりは微分量になっています。A→Bの変化では断熱変化、つまり、Q=0です。したがって体積が増え、外部へ仕事をした場合Wが負になるため¥Delta Uが負になります。また、内部エネルギーの変化は

¥Delta U = ¥frac{3}{2}nR¥Delta T

です。(ただし単原子分子の場合です。)ということは¥Delta Uが負の場合、¥Delta Tが負になります。したがってT_A>T_Bがわかります。

あとは比較的簡単で、B→CはPが固定ですのでVTが比例の関係になっています。グラフからV_B<V_CとわかりますからT_B<T_Cとなります。また、C→DはVが固定ですのでPTが比例の関係になっています。グラフからP_C<P_DとわかりますからT_C<T_A(T_D=T_Aより)となります。

ここまでで判明した温度の関係式を並べますと、

T_A>T_B

V_B<V_C

T_C<T_A

ですから、矛盾のないようにならべるとT_B<T_C<T_Aとなります。

原子分子の場合と2原子分子の場合で内部エネルギーを表した公式の係数が変わりますよね。私が高校生のころは単に丸暗記していて大学で熱力学とか統計物理学をやってようやくその意味がわかったような記憶がありますが、手元の高校向けの参考書にはその理由も簡単に書いていますね。課程が少し変わっているのかもしれません。

[ v = v0 + at , x = v0t + 1/2 at^2 ]

v=v_0 + at

x=v_0 t + ¥frac{1}{2}at^2

物体が加速度運動するときの速度と位置の変化を表す公式で、高校物理のかなり最初に覚えるはずですよね。

これ、参考書とかパラパラ見ているとグラフを描いて幾何的に面積を求めて導出しているんですが、積分を使えばあっさり導出できます。ということで、それをやってみます。

まず、速度は加速度積分加速度は速度の微分)となっています。

v=¥int a dt

高校物理では加速度は一定なので、

v=at + C (C積分定数) …(*)

初速度(t=0の時の速度)をv_0と置くと、

v_0=a¥cdot 0 + C

C=v_0

これを(*)に戻して並べ替えると、

v=v_0+at

ということで速度の公式が求まります。

引き続き、位置は速度の積分(速度は位置の微分)となっています。

x=¥int (v_0+at) dt

x=v_0 t + ¥frac{1}{2} at^2 + C’

本来ならここで初期条件からC’ = x_0のようにしておけば、より一般的に使える公式になるわけですが、公式としてはC’ = 0として

x=v_0 t + ¥frac{1}{2} at^2

この形で覚えることになっているようです。

位置については都度ゼロアジャストするような形で考えるわけですね。速度についてゼロアジャストするとなると、系の変換がややこしいので初速度を入れ込んだ形で覚えるってことでしょうか。

この微分積分を使うことでそれほど物理の理解が深まるわけではありませんが、せっかく数学で学んだことがさまざまな分野で使われていることの実例なんだからどんどん使えばいいと思うんですよね。

2009年センター試験 第4問 問5

D

こちらの10:20あたりから。

問4の状態から糸が切れたときの振る舞いですね。

動画で解いているように、つりあいの状態で力を全部キャンセルして、糸が切れた分の力のアンバランスが発生していると考えて解くのが普通なのかなと思います。大差ありませんが、ここではかかる力をすべて考慮に入れてから、置き換えて解いてみます。

資源の無駄を防ぐため(?)、問4の絵を再掲します。

f:id:mamiske:20090923152122j:image

このうち糸が引っ張る力mgがない状態になります。このときの、運動方程式をたてると

¥rho_0 S(L-x)g - ¥rho SLg = ¥rho SLa

ですね。

ここで問4のつりあいの式を思い出していただくと、左辺はmgと等しいことがわかります。

mg = ¥rho SLa

あとはこれをaについて解けば

a=¥frac{mg}{¥rho SL}

がわかります。

動画での解き方と最初のほんの少しの手順が違うだけですね。

2009年センター試験 第4問 問4

D

こちらの5:30あたりから。

浮力の問題です。浮力の問題は、物体にかかる力を書き加えるときにごちゃごちゃしがちな気がしますね。

力を全部書き込むと

f:id:mamiske:20090923152122j:image

こんな感じになります。

重力が¥rho SLgで、浮力が¥rho_0 S(L-x)g、おもりに引っ張られる張力がmgです。浮力としては「物体が押しのけた水の体積にかかる重力」と同じ大きさの力がかかります。ちょっとややこしいんですが、仮にそこに水の入った風船があるとすれば浮きも沈みもせずつりあうはずですので、そのイメージを持っていればちょっとは覚えやすいのではないかと思います。

あとはつりあいの式をたてて

¥rho SLg - ¥rho_0 S(L-x)g + mg = 0

¥rho SL - ¥rho_0 S(L-x) + m = 0

¥rho SL - ¥rho_0 SL + ¥rho_0 Sx + m = 0

¥rho_0 Sx = - ¥rho SL + ¥rho_0 SL - m

¥rho_0 Sx = ( ¥rho_0 - ¥rho ) SL - m

x = ¥frac{¥rho_0 - ¥rho}{¥rho_0} L - ¥frac{m}{¥rho_0 S}

x = ( 1 - ¥frac{¥rho}{¥rho_0}) L - ¥frac{m}{¥rho_0 S}

こんなかんじです。

計算は難しくはないんですが、ややこしいのでうっかり間違えないようにしてくださいね。私も動画では計算間違いをしています、反省。