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少年時代

両親が生きていた頃、子供を連れてよく帰省した。
5月の連休も8月の夏休みもだ。次第に経済的理由で8月だけになって
しまったが・・・。
子供を親に会わせに行く事と子供を自然に触れさせる事を年一の行事としていた。
子供がいて田舎がある家庭なら何所でもやっている事なのだが・・。
田舎の川や海で十分遊ばしたので東京では一度も海には行ってない。
田舎の海へ海水浴に行くといつまでも海から上がろうとしない子供にイライラ
させられたものだ。

↑台風の来る前や去った後は結構子供達にも楽しかったはずだ。
子供時代もっと大きい波の中に頭から突っ込み波の後に出るのが( )良かった。
今できる子はいない。波が高くなると遊泳禁止になるからだ。
この場所では無いが家の真ん前の海岸は普段波の静かな浜だったが大波の日や
台風前は3メートルも4メートルも高い波が打ち寄せる時もある。
その波に突っ込んで波の後に出るのは大人でも出来る人は少なかった。
2メートル位の波でも波の圧力で押され波に巻き込まれ海水を大量に飲み込む
羽目になった。

上の写真と同じ場所。普段は殆ど波がない。私の少年時代は色が付いて無かった。  
 
一週間近く田舎に滞在して帰京する際、タクシーが動き出し、後部窓から見ると
何時までも見送ってくれる両親がいた。
子供らも見えなくなるまで手を振りバイバイしている。
タクシーの後部窓から見える真夏の光に照らされた親の姿を見ながら
「こういうシーンはあと何年先まで続くのだろうか?」と思った物だった。
その光景は今でもフラッシュバックする。
 
その内に見送ってくれるのは母一人になり、そして誰も見送ってくれる人が
いなくなった。
孫と子が盆に来て数日滞在して帰っていった後、親は寂寥感にさいなまれると
言われるが両親はどうだったのだろうか。
「あ〜、やれやれ」と言っていただろう・・・おそらく。
 
私の少年時代や田舎の想い出は殆ど夏のシーンばかりだ。
不思議と冬や春、秋の想い出は無い。それ程、少年は夏が好きなのだ。
そのシーンには時々、陽水の“少年時代”の歌がオーバーラップしてくる。
「夏が過ぎ 風あざみ ・・・ 青空に残された私の心は夏模様」
私の人生も夏は終わってしまった。

来年は田舎に帰ってみよう。