arXiv 査読とうまく付き合える

今日は首都大秋葉原キャンパスでミーティング。以前は有線 LAN しか使えなかったが、最近は Wifi が使えるようになって便利になった。

お昼は [twitter:@n_hidekey] さん、[twitter:@chokkanorg] さん、[twitter:@kanekokaneko123] くんと同じテーブルで食べる。道すがら、大学院の受験希望者がどういう感じかと聞かれたが、うちは博士後期課程に進学希望の人以外は原則受験を断るようにしたら、年間数人の見学になった、という話をした。学部生がゼロならもっと外部からの進学者を受け入れてもいいと思うのだが、内部進学者だけでかなりの人数になるので、内部進学者を優遇するつもりは特にないのだが、キャパシティ的にどうしても難しい。大学院から自然言語処理に専門を変えたい人には、学部生がゼロ、あるいは外部生に比べて極めて少ない研究室を全力で勧めている次第である。

あと、arXiv 文化についても話したり。ACL は締め切りの1ヶ月前を切ったら arXiv に投稿(更新)しないことという方針になったのだが、個人的にはこれは歓迎である。自然言語処理はジャーナル文化ではないので、〆切の決まっている国際会議に投稿する前に arXiv に出して先取権を主張したいのは分かるが、double blind でないとどうしても有名研究室の論文が有利になるのが嬉しくない。今回の方針は妥当な落とし所かなと思っている。

教員1名の研究室でどうするかということについて考えるのだが、理研産総研のような組織や CREST みたいな大型研究プロジェクトに参加すればだいぶ勉強になる、という話を聞いて、確かにそうだなぁ、と思ったりする、ただ、そういうプロジェクトに単騎で参加する人って、割と自分で手を動かす人であるように最近思っていて、自分の現在の研究スタイルでは参加しにくい。自分は個々に(それぞれでやりたい、もしくはやってほしい)研究を進める人、という役割よりは、個々の(学生の)研究をファシリテートする人、というような役回りなので……。

まあ、この9-10月くらい色々考えてみて、教員になってから自分にはやりたい研究は特にないと思っていたが、今年に入って実はやりたい研究があるのではないか、と思ったりしていて、もっと自分の色を出してもいいのではないか、と考えている。抽象的に言うと、特にこの問題を解決したい、というような対象のレベルでやりたいこともあれば、解き方としてこういう形で(背後の言語的構造を考慮しつつ、簡単ではあるが数理的にはすっきりしたモデルで)解きたい、というアプローチのレベルでやりたいこともある。

なんでやらなかったのかな、と思うと、これ学生にやってもらおうとすると、その学生ができるかどうか分からないので責任が取れず、やるなら自分がやらないといけないと考えていた、ということで、色々状況を考えると妥当(というか、消去法的にそれ以外ない)な選択だと思うのだが、博士後期課程の学生および博士後期課程に進学したいという学生が増えるにつれ、実は(自分もそこそこ関わることで)結構できるのでは、と思い直してきたりしている。これちゃんとやるには学部生の配属を2-3人くらいにしないと(そのぶん外部からの進学者を取れるので、博士後期課程に進学したいという人が確率的に増える)安定的に回らない気がしているが、とりあえずここから1年半はかなり研究が進む時期だと思っているので、独創的な研究に取り組んでみたい。

午前中から午後まで通して色んな研究を聞いたりディスカッションを聞いたりして大変勉強になり、かつ刺激をもらう。今の環境(首都大で教員1名でできる範囲)での大域的な最適化は2019年度に情報科学科に入学してくる学生がM2になる2024年に達成されると予想しているのだが(現在の学生は誰も残っていない)、情報通信システムコース(旧組織)としてできる局所最適化は今年と来年で完成だと思っているので、質・量ともにしっかりした研究をできるようにしていきたい。