■ ミスは無くならない
減らそうと努力してもなかなかミスを減らす事は出来ません。
仕事上においてのミスが即刻、命取りになることは希ですが、勝負の世界となると、些細なミスが大きく勝敗を分けてしまします。
将棋の羽生善治さんは著書「決断力」で、どんなに訓練を積んでもミスは無くならないとし、次のように述べています。
ミスをすると情勢が混沌としてしまう。今までスムーズだった流れがそこで停滞したり、あるいは泥仕合のようになってしまうのだ。局面が複雑になり、判断がつきにくい場面になる。すると、更に難しい状況になってしまうのでまた次のミスが出やすい。
ミスを犯すのは仕方のないこととしても、ミスの発生を最小限に抑え、またミスを犯しても影響範囲を最小限にする必要があります。
■ ミスを最小限に抑える秘訣
羽生さんは「決断力」の中で勝負のあやについて多くのことを述べています。以下に、私たちがビジネスを行って行く上で参考にすべき心構えを5つピックアップしました。
1)一つ一つの局面に集中する
当たり前のことですが、目の前にある課題に集中して作業にあたる必要があります。
2)優勢の時はシンプルな行動を心がけ、劣勢の時はじっと相手のミスを待つ
優勢になってくると心に余裕が生まれ、余計な行動をとってしまいがちです。優勢なときほどシンプルな行動を心がけます。また、劣勢の時もシンプルな行動に徹して相手のミスをじっと待ちます。
3)定跡に捕らわれずに自由な発想で新しいアイディアを試す
セオリーや定跡は時間がたてば風化していきます。また、それらに固執しすぎると自身のアイディアが閃かなくなくなります。過去のアイディアはアイディアとして取り入れ、さらに自身の経験から来る新しいアイディアをプラスして試します。
4)困難な局面では問題点を整理する
私たちは困難な局面にぶち当たると、早くその場を切り抜けようとよく考えずに処置しがちです。よく考えない行動は次の行動をさらに困難なものにします。困難な局面ではじっくりと状況を整理して対応策を考えます。
5)決断とリスクはワンセットだと割り切り勇気を持って前進する
私たちはなるべくリスクを取らずに行動することを選択してしまします。リスクのない行動に成功は訪れません。決断は勇気を持って一歩、前に踏み出すことです。
ビジネスや研究の世界でも、たとえば、新しい技術を開発するのに、技術の解説書を読むことはプロセスとして大切だ。しかし、文献に書いてあることはすでに常識である。問題はその後だ。その先を目指すには自分で手を動かすことが知識に血肉を通わせることになる。
■ 乗り越える
恐怖とは目に見えないリスクが生み出すものです。
現状のリスクを分析・理解し、恐怖を取り去り勇気を持って行動することでミスも最小限に抑えることが可能になるのです。
- 作者:羽生 善治
- 発売日: 2005/07/08
- メディア: 新書