電子メールは、比較的カジュアル感覚度の高いビジネス文書です。
ですので、つい気軽に思いつくままに用件をただ漠然と書き連ねてしまいがち。
深く考えずに書き続けると、文面がどんどん複雑になり、内容がわかりにくくなっていきます。
長い時間かけてメールを作成したにもかかわらず、メールの受信者が何を求められているかを理解できず、電話がかかってきたという経験はないですか?
「入門 考える技術・書く技術」では、日本人が論理的に考えて、わかりやすい文章を作成するための考え方について書かれています。
同書内で説明されている「受信者に優しい」ビジネスメールの書き方を紹介します。
基本的な注意点
まず、メールを書く際に当たっては、以下の点に注意しましょう。
- 何が言いたいのか即座にわかるよう、主メッセージは明快に、メール主題は冒頭に書く
- 全体の分量はもちろん、段落も文章も短くコンパクトに(長いメール、長い段落はそれだけで読む気が失せる)
- ロジック展開がわかりやすい過剰が規定な文章がよい。だらだら散文は厳禁
- 次のアクションを具体的に表現する(読み手にどのようなアクションを求めているのが、書き手は次に何をやるのか)
感謝の言葉にPDF
メール本文は、次のように書くことで劇的に改善されます。
わかりやすいメールのキーワードは「感謝の言葉にPDF」と覚えましょう。
(1)最初は感謝の言葉
いきなり本文に入ってはいけません。メールの書き出しは、簡潔に1〜2行程度の感謝の言葉を述べます。
(2)P(主メッセージ)
Pは、Purpose Statement(目的文)のことです。ここでは、そのメールで伝えたいことの要約を書きます。
感謝の言葉から1行開けて、短い文章で表現し、補足があれば空白行などを開けて書くようにします。
(3)D(詳細)
Dは、Detaiiのことです。Pの主メッセージの理由や判断根拠、内容説明、具体案を書きます。
ここで、Pの主メッセージと関係ないことを書くと、読み手が混乱してしまいます。したがって、Dの詳細部は、Pの主メッセージを補足する従属文章である必要があります。
また、箇条書きで書くようにすると、わかりやすく読み手に伝えることができます。
(4) F(今後のアクション)
FはFollow-Throuth(フォロースルー)の略です。
相手に求めるアクションや自身が行うアクションを相手に伝えます。
例えば、「○○日までに□□をしてください」、「○○日までに□□を行います」など。
「しりてが」禁止
「しりてが」接続詞は、文章間のつながりや論理性がわかりにくくなるので、できる限り使わないようにしましょう。
「しりてが」接続詞とは、
- 「・・・し、・・・」
- 「・・・であり、・・・」
- 「・・・して、・・・」
- 「・・・だが、・・・」
- 「・・・せず、・・・」
- 「・・・なく、・・・」
を指します。
同書内では、次の文章が「しりてが」の例として紹介されています。
【NG例】A社は倒産し、B社は黒字になった。
↓
【修正例】A社は倒産したにもかかわらず、B社は黒字になった。(逆接)
【修正例】A社が倒産したおかげで、B社は黒字になった。(因果関係)
「しりてが」接続詞は何気なく利用しがちです。文書の曖昧さを排除するために意識的に利用しないようにしましょう。
「感謝の言葉にPDF」のメール例文
本書内で「感謝の言葉にPDF」メールの例文として以下が紹介されています。
件名 中村君の昇進に関して
吉田さん
[(1) 感謝の言葉]
ABCプロジェクトのアドバイス、本当にありがとう。助かりました。
[(2) P(主メッセージ)]
ところで、問い合わせのあった中村君の件、中村君はチーム・リーダとして十分にやっていけると思います。吉田さんと全く同意見です。私は、前の職場で3年間、彼の上司としてやってきたが、彼を非常に評価しています。
[(3) D(詳細)]
●第一に、彼は非常にリーダーシップがあります。吉田さんもご存知のA商品は、実質、彼がチームリーダーになって商品化したようなものです。
●また、部下の面倒見もとてもよいです。部内では、若手から慕われる兄貴的な存在でした。[(4) F(今後のアクション)]
もし何か気になっている点や聞きたい点があれば、いつでも電話ください。今月25日からは米国出張の予定が入っているが、それまではこちらにいます。それではよろしく。
山岸
開発総務部
簡潔で、わかりやすくなっているのがわかるます。
まとめ
「感謝の言葉にPDF」とは
- 最初に感謝の言葉を書く、
- 次に伝えたいことの要約を、短い文章で
- そして判断根拠、内容説明、具体案を書き、
- 最後の今後のアクションについて書きます。
ちょっとだけ、論理的にメールの文章を考えるだけで、普段のメールが格段にわかりやすくなります。
決して難しいテクニックではないので、積極的に活用しましょう。