びーの独り言

どこいくの?どっか。

2018/07/10(火)休「入院5」

 やはり寝つきは悪かった。23時までは眠れなかった。起きると5時だった。気持ちよくて7時まで寝ていた。
 7時の朝食は検査のため抜きだった。8時に共用スペースに行くと「半分青い」をやっていた。wifiを試したが、やはりダメだった。電話するしかないなあ。
 0830看護婦さんが来た。歯科治療だった。口からの雑菌の侵入を防ぐため、事前に治療しておいて、歯磨きのやり方を指導してもらう。考えてみれば当たり前の治療だが、まさかここまで本格的だとは思わなかった。普段最も見たくないものに対峙しなければいけなかった。絶対ダメだという自信があった。後悔しかなかった。看護婦さんが案内してくれたが、「結構簡単に3本くらい抜くらしいですよ」と言われて身体の芯から震えあがった。
 レントゲンを撮り、続いて歯の検査。かわいい女性がしてくれた。端から1本1本採点していった。それが何往復か。レントゲン写真を見ながら説明を聞くと、なんだか大丈夫そうだった。安堵しかけたとき「2本抜きます」と言われた。どこ?指先は話にまったく出てこなかった右上の親知らずを指していた。さらに左下の親知らずも。えーーーーー!戦慄以外の何物でもなかった。そんなん予想だにしてなかった。普通の歯よりイヤだった。なんなら移植よりイヤだった。そりゃ必要なことと頭では理解してるけど、感情はこれ以上ないくらいイヤがっていた。特に左下は完全に横向いて埋まってた。「歯茎を切って、歯を砕いて、少しずつ取ります。神経が近いので麻酔してても痛いかもしれません」。拷問や。なぶり殺しや。今まで人生のツケが回ってきたんか。耐え難きを耐えるのがよりによってこれか。あまりにハードモードすぎるやろ。
 ブラッシングを教えてもらった。教えてもらうのは初めてで、だいぶ想像と違っていた。そのまま歯石除去へ。歯石除去は痛いから嫌いだった。取ってもすぐ溜まるし。長年こびりついた不摂生は、キュイーンいう音とともに削られていった。そしてそれは過去の罪を赦されるようでもあった。すぐにイヤな感じで滲み始めた。歯石だけじゃなく歯や歯茎を削ってるのではないか?その滲みるポイントは徐々に横移動した。歯に関する神経を順番に刺激してるみたいだった。だいぶ口の中は血だらけだったみたいでしきりに「気にしなくていいですよ」と言われた。そう言われると逆に気になる。実は親知らずを抜くよりもブラッシングの方が十字架でかくないか?
 間髪入れず1020放射線科へ。これからのスケジュール提示があった。放射線を4回に分けて脾臓に照射し、移植前に全身に照射する。痛くないというがまったくわからない。私の場合、照射量が少なく副作用は起きにくいらしい。骨髄量が少ないからだろうか?
 部屋に帰るとすぐYさんの採血が待っていた。久しぶりにYさんを見てホッとした。「親知らず2本抜くのがショックで」と言ったが、軽く流された。これが現実か。
 11時前すぐにエコー。薄暗い部屋のベッドに寝転がりプローブを当てられた。息を吸って止めてを繰り返し。私の内蔵は普通の人と配置が違ってるが、ちゃんと見えてるのだろうか?
 部屋に戻ろうとすると外国人のおじいさんが廊下を歩いていた。話を聞くと20分歩くのを1日に4回やっているとのこと。私も運動を勧められているのでヒマな時間にやらなきゃなあ。
 12時過ぎに昼食。例によって朝食も一緒に出てきた。さすがにご飯2杯は無理だが、それ以外は食べた。だんだんサラダがおいしくないことに気づき始めた。必ず湯通ししてある。ただこれから生野菜は食べられなくなるんだよなあ。
 Yさんが血圧と酸素濃度を測りに来た。親知らずネタはあまり受けがよくないのか、いい年した大人が何言ってるのという空気を感じる。無言の励ましと受け取っておこう。
 15時前骨髄穿刺だった。先に若い先生が同意書を持ってきて軽い説明。先生は絵を描いて、左と右の腰に丸を書いた。まさか両腰から採るのじゃないだろうな?一旦先生は出てって、Yさんと再び入って来た。同意書3枚にサイン。左か右か選べたので左の腰骨にした。右は木曜日にこけてから少し痛かった。今回で骨髄穿刺何回目かは忘れた。以前は骨髄穿刺というだけで大事件だったが、これからは何回もやるので痛がってる場合じゃない。それでもやはり緊張して枕を抱えて震えていた。見かねた先生が「3回深呼吸して」と言った。最初の皮下麻酔が痛い。それから組織を採るために針を侵入させるところ。それ以外はまったく痛くなかった。あれっ、こんなに簡単だったっけみたいな。ただし相変わらず汗びっしょり。血が止まって動けるようになったのは1640だった。
 wifiを繋げるためocnに電話した。親切に対応してくれたが、なんとダメだった。この手の電話で問題が解決しなかったのは初めてだった。ocnによればパソコンの問題なのではということだったので東芝に電話した。東芝のサポートは手際よく素晴らしかった。自分では思いつきそうもないとこをいじるように指示があり期待してると、なんだかわからないが、説明の途中にも関わらず突然直った。理由がわからないのが引っかかるが、とにかく明日も繋がるかどうかだな。
 18時過ぎmisterがお見舞いにやって来た。小中高と同じで現役の内科医。今回の件は何か運命めいたものを感じなくもない。話すネタは山ほどあった。いろんな思いが次から次へと出てきた。話すことで私の心は落ち着いていった。来てくれてとてもありがたかった。持つべきものは友である。また元気になったら飲もう。
 面会時間の20時を過ぎ、部屋に帰ると夕食があった。食べてる途中で夜の看護婦さんが挨拶に来た。また知らない人だった。食べ終わってから看護婦さんが血圧と酸素濃度を測りに来た。明日のオーダーを渡されると、マジックで「歯科」と書かれていた。
 最後歯を磨いた。寝る前にしっかり磨くのがいいらしい。歯科でもらった歯ブラシは柔らかくて小さかった。これで歯茎と歯の境目を10秒ずつ磨く。外はいいのだが、内が大変だった。正直うまく磨けているか自信がなかった。ゆすいだ水は血だらけだった。直に収まるらしい。