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For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder? 出張所

2018年03月15日 木曜日 Taylor T-20 シングル

久々の新作は Taylor T-20 シングル。

Taylor はかつて存在した送信管専門メーカーで(今でもブランド自体はどこかが持ってるようだ)シカゴにあった関係から、WE と共通の部材が使われていたとかいう話もある。で、805 とか 211 といった一般的な球の他に、独自規格の球がいくつかあって、型番の頭にTがついてるのはそういう独自の球だといえる。今回使ったT-20もその一つで、型番通りプレート損失とμがどちらも20という、トリタンフィラメントの直熱三極管である。規模としては VT-62/801A に近いが特性は全く違い、どちらかと言うと 841 に似ている。また同規模で TZ-20 というゼロバイアス管もある。フィラメントは 7.5V/1.75A なのでVT-62 より五割近く電流が多い。

作例もまったく見つからず、とりあえず実験アンプで動かしてみたところ、音にも性能にも見るべきものがあるので、ちゃんとしたアンプに仕立てようと思った次第。中古の球数自体は少なくないが、主にアマチュア無線のファイナルで使い倒されたものが多く、程度のいいものは多くない。大抵は陶器のベースにニッケルプレートの素朴な球だが、たまにマイカベースでブラックプレートのものがあり、今回もそういう個体を使用した。

なにしろグリッドがプラスマイナス両側に振られるので、手っ取り早く動かすにはカソードチョークドライブが手軽である。そこでドライバに gm の高い 6BQ5 を採用し、カソードに 30H のチョークと巻線ボリュームを入れてT-20 に適切な電流が流れるようにする。マニュアルにはタフな球で 32W 突っ込むとプレートに赤斑が出るとか書いてあるが、電流を流しっぱなしのA級で使うので定格の 20W を守る。Ep=400V、IP=50mA くらいが目安。また初段にはゲインが欲しいので WE404A を採用する。

電源トランスは10年位前に中古で買ったタンゴの MX-165 というもので、50シングルや VT-62PP を想定したもののようだが、B電圧がこちらの欲しいものより少し高いので、抵抗を入れたりインプットコンデンサを小さくしたりして取れる電圧を低めにしてみる。OPT はタムラのF-915である。これもモデルチェンジ前に買ったので現行品よりはだいぶ安く買えた。タムラの中では普及品の位置づけだが、俺にとっては十分に高級トランスである。

そしてできた回路がこちら。

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この回路で、THD=5% で約 8W 出る。10dB ほどの NFB をかけてゲインが25dBほど。だいたい 30Hz から 70kHz まではほぼフラット。音としては、オーディオ用三極管のしっかりした中低域に送信管らしい華やかさがちょっと乗ったような、なかなか独特の音で悪くない。もう少しこなれてくるとどうなるか、しばらく色々聴いてみよう。

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2017年04月04日 火曜日 815PP

ここのところ、既存のアンプの改造も含めて割と真面目なアンプ作りが続いていたので、久々にスクラッチで見た目優先のものを作ってみようと思い立った。そこで選んだ球が 815。ツインビームの送信管で、832A や 829B と同じカテゴリである。見た目の面白さからかそこそこ作例がある。

で、こいつをこれといった工夫もない普通のプッシュプルで動かそうとして設計した回路がこういう感じ。

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スクリーン電圧の制約があるので、ここをツェナーダイオードで固定した他、計測結果でピークが大きかったのと超高域がやや不安定だったので初段に積分補正を入れた。これをすると初段の大きすぎるゲインがある程度抑えられてちょうどいい塩梅になる。位相反転は出力管のバイアスが浅いのでPK分割で簡潔に済ませた。しかし 6AN8 が便利すぎて大抵の初段をこいつで済ませる傾向があるなあ。また、OPT はハモンドの 1635 という古い設計のもので、あまり大きな負帰還はかけたくない一方で、不平衡に強いという特徴がある。そこで出力段のバイアス調整機構は省略した。カソードが2ユニット共通で調整が難しいというのが大きいけど。

で、できたのがこちら。ギターアンプ用の大きなジェムをパイロットランプに使ったのがアクセント。

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で、今回はボンネットのあるシャーシを使って、ボンネットも見た目要素として活用する。

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本当はシャーシもサビ塗装にしようと思ったがうまくいかなかったのでシャーシはハンマートーン塗装にした。ボンネットには歯車や工具などの真鍮のパーツを配してスチームパンク風味にしてみた。

出力は 9W で頭打ちになる。多極管ネイティブらしくハードクリップである。もうちょっといくかと思ったんだけどなあ。12dB の負帰還をかけて仕上がりゲインが 26dB と想定したとおりになった。補正の結果 20Hz から 70kHz はほぼフラットで、上はそこからなだらかに落ちるようにできたが、20Hz 未満の超低域がこれまたやや不安定である。カップリングコンデンサを小さくするなどして低域を切ったほうがいいかもしれない。

音質的には、高音にちょっとアクセントが乗った、昔の球アンプってこういう音だったよねという懐かしい感じ。特にダイナコあたりを彷彿とさせるものがある。これも狙い通り。まだ調整の余地はあるが、なかなか可愛いのができたのではないかと思っている。

2017年01月25日 水曜日 スーパーツイーター

スピーカーは D123+2402 で気に入ってずっと使っているのだが、もうちょっと上がほしいと感じることもしばしばある。そこでスーパーツイーターの追加を考えたのだが、ある程度のクオリティを考えると高くてとても買えないものばかりである(捻出できる予算が少ないので)。そうしたらパイオニアの S-922 からの取り外し品のリボンツイーター(PT-R5Zというらしい)をオークションで安く買うことができた。木製の結構立派な自作っぽい台がついている。ネットワーク付きの単品で売られていた PT-R5 とだいたい同じものなのだが、PT-R5 も古い割にオークションで結構な高値であることを考えると、PT-R5 の相場の半分以下で台付きのものが買えたのは僥倖である。

もちろんこれにはネットワークはないので、自分で考えるしかないのだが、まず当座の手持ちを使って 1uF のフィルム一個で下を切って繋いでみる。ちなみに能率がおそらく 94dB くらいで D123 よりもかなり低いので、アッテネータを介さずにコンデンサ一個のみである。クロスはほぼ 20kHz/6dB ということになる。これだと確かに伸びやかになった空気感みたいなものは感じられるが、その変化はさして大きくない。2402 は15kHz くらいまでしか出ないのだから、足して欲しいところにあまり足せていないのだろうかと思い、ダメ元でコンデンサを 1.5uF にしてみる。こうするとクロスは 13.3 kHz くらいになって、音が出ているのがわかるレベルだ。2402 の上はスルーだしこれでは低い方まで音が出すぎて音がかぶってうるさくなるかと思ったが、俄然全体的な音に厚みが出てハイファイな感じになる。この違いにはちと驚く。これだと 2402 のレベルを若干下げたほうがバランスが取れる。そうするとホーンらしい強烈な個性はやや後退したようにも感じられるが、音それ自体の生々しさはむしろ増大するようにも聞こえるので、しばらくこれで色々聞いてみよう。

というわけでいい買い物だったが、使い方がセオリーからは大きく外れていることも自覚している。俺は割とハイ上がりな音が好みだからこれでいいんだけど。

2017年01月09日 月曜日 NL-50 シングル

最近以前作ったアンプをメンテしたり改造したりしているのだが、6C-A10 シングルは今ひとつなので解体して生まれ変わらせることにした。シャーシをイチから作るのは面倒だしソフトンの OPT ももったいないのでそれを活かすことにして考えたのが NL-50 シングル。

NL-50 はだいぶ前に譲ってもらったもので、以前 300B とのコンパティブルアンプを作ろうかとも考えたのだが放置していた。そもそもこれも謎の球で、見た目は Cetron の 300B そのものだから多分殆どのパーツは 300B なのに 50 という型番からすると 50 に近い球にしようとしたものらしい。売ってるのも Richardson じゃなくて National Electronics だ。フィラメントも 7.5V とはなっているがどうも 6.3V のほうが適切だとか、計測すると50 とは似ても似つかないとかやはりよくわからない。以前 300B の内部抵抗三割増しくらいだという話を聞いたのと、20年位前の MJ に実測した記事があるのでそれを参考にして、だいたい Ep=340V、Ip=60mA、バイアスを -60V くらいに見当をつけて設計したのがこちら。プレート損失の上限が 25W だからその80%ほどになるのでいいところではないか。自己バイアスだけど安全のためにグリッド抵抗は 121k に抑える。電源トランスだけノグチの PMC-170SH を買ってきた。

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前段は 6SN7GTB の二段という、直熱三極管シングルとしては平凡な構成で、軽い負帰還をかける。実際に作ってみるとほとんど設計したとおりの電圧に落ち着いたので一安心。完成形がこちら。

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測定してみると THD=5%で7W以上出ているのでびっくり。5Wがせいぜいだと思ってたから。OPT のインダクタンスが小さいので 20Hz 以下は歪が大きいけど、それでも 20Hz〜80kHz くらいはだいたいフラット。微分補正でピークも抑えられた。4dB ほどの負帰還をかけた上での利得が 25dB くらい。音はびっくりするくらいいい。分離がいい上に深みというか落ち着きというかそういうものが感じられる。VT-62 シングルとか、45 から変更した VT-52 シングルの延長上にある音で、やはり絶対的なパワーや低域の伸びを別にすれば直熱三極管シングルがいいんだよな。

2016年09月20日 火曜日 6GW8 PP

また五ヶ月放置……。

というわけで夏休みも終わろうという今日このごろ、アンプを作ろうと思い立った。何年か前に買ったきり放置していた木枠のシャーシがあってこれを活用しようと思ったのである。

しかしこのシャーシ、天板にすべての端子を装備しなければならないから、アンプ部に使える面積は案外小さい。なのであまり球数を使わないアンプを考えて、手持ちの球やトランス類を考慮した結果、6GW8 の PP に決定した。6GW8 はこれも結構前にサンバレーさんの試聴会の物販で6本3000円とかで買ったもので、ブランドは様々だが中身は全く同じ、おそらく Philips 製。OPT は山水の SW-15-8、チョークはタンゴの 5H150mA だが、これらはオークションで買って溜め込んでいたものである。電源トランスだけは春日の Kmb240 を新規で購入した。

そういう事情で考えた回路がこちら。

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ポイントはカソード帰還で、6GW8 のように gm の高い多極管には効果が大きいと考えた。これをやると 6GW8 のシールドが交流的に浮いてしまい具合の悪いこともあろうかと思ったが、目をつぶることにする。あと回路図にあるオーバーオール帰還は、完成後の試聴でない方が具合がいいので取り払ってしまった。また位相反転の PK 分割ではHK耐圧が規定値を超えるのでヒーターバイアスを施している。

そして完成してこのようになった。

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なんだかプロっぽい!もちろん俺にかような木工技術はないので、やったことは天板の穴あけだけであるが。

ざっと測定すると、出力は THD=5% で 8W。標準的であろう。DF は2しかないが音を聴く限り問題はない。ゲインは30dB くらいあるのでかなり高い。周波数特性としては、40kHz くらいにやや山がある以外、10Hz から 80kHz くらいまでほぼフラット。ちなみに出力管は6本買った中から適当に4本選んだのだが、とても良く揃っていて、バランスを取る必要もなかったのは僥倖であった。

音質的には、五極管ということでパワフルで太い音を想定していたが、あにはからんや繊細で音場が広く、非常に心地いい音がする。先述のように当初はカソード帰還に加えてオーバーオールの負帰還を施していたが、その有無を聴き比べるとない方がすっきり感が強い気がしたのでカソード帰還のみとした。低音の膨らみを懸念したが、Harbeth HL-P3 のウーファーを制御しきれないということはないようで、バスドラやベースがボンつくということも感じられないのでこれでよしとする。

そんなこんなで3日くらいででっち上げた割にいい感じの結果を得られた。そろそろでかいアンプも作りたいんだけどね……。

2016年04月24日 日曜日 復活の300Bシングル

だいぶ前に作って、ハムが出るのでいろいろいじっているうちにヒューズが飛ぶようになってしまって面倒になって放置していた300Bシングルなのだが、流石にもったいないので手を入れることにした。

ヒューズが飛ぶのはC電源のダイオードが死んだからで、これを交換して動いたと思ったらしばらくするとまたヒューズが飛ぶ。これは片方の出力管に電流が流れ過ぎるからで、一応左右を入れ替えても同じ球に症状が再現されるので、これは球がいかれたと判断する。そこで中国からPSVANEの安い300Bを買って、その他いじったところを概ね原回路に復帰させた。これで漸く安定した。桂光の300Bは、音は良かったのだがやはり作りの悪さが耐久性に直結していたようだ。PSVANEはだいぶマシな作りである。

出力等の特性は以前測定したとおり。最大の問題であるハムは、まだ俺の作るアンプとしてはノイズレヴェルが高いが、リスニングポイントまで離れると聞こえないのでまあいいか。音は、最初「こんなひどかったっけ」と思わせるものだったが、しばらく鳴らしていたら落ち着いてきた。新品の球、しばらくまともに通電していなかったことなどが原因であろう。

とかやっていたら今度は C3g トランスアウトプリアンプの調子が悪い。もぐらたたきである。

2016年04月02日 土曜日 DSD DDC

一年間のご無沙汰でした!

この一年オーディオ関係で全く何もしていないわけではなかったが、特に記すほどのことでもないという感じであった。不満もあるがそれを解決するには大掛かりな手入れが必要になると感じていて、放置していたというのが近い。

ところが、戯れに今まであまりやる気にもならなかったPCM音源のDSD変換を試みたら、不満のかなりの部分が改善されることに驚いた。DSDネイティブの音源はそれほどたくさん持っていないので、そういうのを聴いて「DSDってのは音がいいんだなあ」と思っているだけで、PCMをわざわざ変換しても録音されていないものが再生されるわけでもないと思っていたのだが。アナログ再生の音はもともと気に入っていたので、どうやら PCM 音源を DAC で変換するという過程に、俺の気に入らない何かが入り込む余地があるのではないかと考えた。

となると、手持ちの多くの PCM 音源も、たとえば JRiver Media Center などで DSD にリアルタイムで変換すれば、PCM をアナログに変換するという過程を省略できる。つまり DAC がいらなくなるわけだ。USB からなんらかの DDC によって DSD 信号を取り出せば、 DSD はもともとアナログ信号だから、僅かなアナログ的方法で余計な信号を取り去ればそのまま聴けてしまう。そういう手法を採用してる人は既に多いので、真似してみることにした。

まず DDC だが、基板の形で売られているものがいくつかある。有名なのは Amanero Combo384 だが、バスパワーしかないことと俺自身の天邪鬼な性格で採用しないことにして、Emma Technology という中国のメーカーが eBay で売っている XMOS を使った怪しげなものを購入する。Combo384 より数千円安い。ここから簡単な CR の LPF とライントランスを介して音を出そうという寸法だ。ただこのままではゲインが足りないので、昇圧できるトランスを使うのが一般的かつスマートな方法だが、手持ちにはタムラの TBS-1 という 1:1 のものしかないから、この後に球で増幅段を組むというのが基本的な設計である。

電源トランスとケースは以前作った NOS DAC をバラしてそのまま流用する。9V をブリッジ整流してレギュレータで安定化して DDC に与える。増幅段は 12AU7 の一段+カソードフォロワで、NFでゲインを調整する。ということで作ってみて音は一発で出たが、NFが強すぎたか想定したよりだいぶゲインが低いのと、LPF を厳しくしたせいで高音に影響が出てたのでその辺を見なおした回路がこんな感じ。

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DSD 再生で音が途切れる症状は W4S DAC-1LE よりはマシな感じで、心配していたポップノイズも再生の開始と終了時にしか気にならず、曲やプレイリストを飛ばしたりしても大丈夫。ただ、「サー」というホワイトノイズっぽいのが気になる。再生が止まっている時には出ないから球の増幅段の責任ではないので、これはなんとかしたい。音自体は好ましい。レコードを聴いている時の安心感に近いものがある。ので、ノイズの問題を解決しないとなあ。

村田@熊本村田@熊本 2018/02/19 23:22 mandaraさん、はじめまして。
手作りアンプの会でも、お世話になっています村田です。
回路を拝見いたしましたが、帰還が正帰還になっています。利得を稼ぐためでしょうか。
気になりましたので、質問いたしました。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

2015年04月03日 金曜日 6CW5PP

今年初の記事ということで明けましておめでとうございます(違

さて Harbeth HL-P3 は快調なのだが、よりこのスピーカーに特化したアンプを作ろう!というところまでが前回のお話であった。そういうわけで当初の予定通り 6CW5 三結の PP アンプを作ってみた。

そもそも手持ちの OPT が TANGO の U25-5 という一次側が 5k のもので、これに適合した球というのが案外少ない。デスクトップアンプということで大げさなものにはしたくないからできれば MT 管で済ませたいということもあり、そうなると選択肢は限られてくるのである。

6CW5/ EL86 は SG 耐圧が低いのだが、三結の場合はスクリーンに流れる電流がごく少ないのでオーバーしても平気であろう。Ep-Ip 曲線を眺めておおよそ Ep=250V、Ip= 40mA くらいのあたりに動作点を置いてみる。そのうえでそれなりの負帰還をかける余裕を前提に前段を考えると、せっかく出力管の内部抵抗がそこそこに低いのだから、初段にゲインを振った PK 分割よりもムラード型のほうが適切に思える。ということで回路がこうなった。

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ちょっと凝ってみたのは、位相反転段の共通カソードを定電流回路で縛ったところで、こうすると交流的にはカソードが浮くことになるから正確な差動動作が期待できて上下のバランスを考えなくてよくなる。定電流源としては初段の 6BL8 の三極部のカソードに 4mA の CRD をぶら下げて使う。この CRD は以前別用途で選別した 2SK30A を流用している。また出力段は自己バイアスだが、バイアスが微調整できるようにして電流が揃うように考えた。

そういう回路で作ってみたら、出力管の電流が想定より若干少ない以外はほぼ設計通りの数字が得られた。完成形はこういう感じ。

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エリーチカのシルエットのステッカーがアクセント。それ以外はごく平凡なデザインである。

ざっと測定してみると、出力は THD=5% で 7W と、予定より少し小さい。位相反転段が出力管をドライブしきれてないかなあ。ノイズは測定不能、ゲインはおおよそ 8dB の NFB をかけた上で 27dB くらいであり、これも想定通り。DF は約 3 で思ったより低いが実用に問題はないレベルだ。周波数特性を測ると、いつものことながら高域に大きなピークがあるので(今回は全体に内部抵抗の低めの回路なせいもあって膨らみが大きい)初段と負帰還抵抗にそれぞれ補正を加えたところ、10Hz ~ 70kHz くらいまでがほぼフラットになった。

一発で動作したので鳴らしてみると、低域寄りのピラミッドバランスである。厚みと迫力のある音だ。もう少しスッキリした嫌味のない感じになるかと予想していたのでこれは予想外。しかしなかなかいい音なので満足である。

2014年11月22日 土曜日 Harbeth HL-P3

ヤフオクでジャンクのおんぼろな Harbeth HL-P3 が出ているのを見かけて、終了間際になってもあまり値段が上がってなかったのでなんとなく入札したら落札できてしまった。きれいな個体の相場の半額以下だろうか。あまりにぼろいので写真はなし(笑)

HL-P3 というと小型の密閉 2 way ブックシェルフで、LS3/5A の後継的な位置づけの機種である。現行では HL-P3ESR になってるが、最新型の定価は24万円もしやがるし、当時の定価もペア18万だから、俺にとってはとても高級な部類である。ジャンクでなければとても買えない。デスクトップで使う場合背面にあまり空間が取れないので、小型スピーカーの主流である背面バスレフはあまり具合が良くない。無理に低域を狙わない密閉型を試してみたいと思っていたところだったのでちょうどよかった。

絶対的なパワーはニアフィールドの小音量用途だからさほど必要ないとしても、能率の低い小型スピーカーということで、ウーファーをきっちりドライブするためにはプッシュのアンプのほうがいいだろうと考え、6BX7PP を使用する。鳴らしてみると案外低音も出るが、なにより定位のよさに驚いた。セッティング条件は最悪に近いと思うのだが、ヴォーカルやリード楽器がピシっとセンターにハマる。とにかく濃密なスイートな音だが、ギターの音のエッジも出ているし、ただ甘やかな音というわけでもない。さすがにこのクラスになるとレベルが違うなあ。いい買い物だった。デスクトップスピーカーをめぐる旅もこれでしばらく終わりである。

2014年11月03日 月曜日 Wyred 4 Sound DAC-1 LE

先日の DSD 実験で、DSD 音源の可能性を感じ、改めて DSD をメインシステムで鳴らす手立てを考えた。現用 DAC であるところの Burson Audio DA160 は、音は気に入っているものの 24/96 の PCM しか受け付けない。世代が古いから仕方ない。考えうる方法は二つで、 DSD DAC を搭載している SACD プレーヤを買うか、SACD は現用の Pioneer PD-D9 のままとして単体の DSD DAC を用意するかである。どちらにしても高価なものが多く、前者で言えばなんとか買えそうなのは Marantz SA-14S1 くらいであるが、どうにもデザインが受け付けない。後者でいうとまず思いつくのが Audio-GD NFB-1 なのだが、このメーカーはモデル更新が異常に速く、どうもやっつけで仕事をしている印象を受けるのと、以前 WM8401 でトラブルを起こした前歴もあって、高額製品の導入には二の足を踏んでしまう。

なのでいろいろ調べているうちに、ES9018 を使いつつ比較的安価な製品として、表題の Wyred 4 Sound DAC-1 LE が見つかった。アナログ段がオペアンプではなくディスクリートで FET を使った差動であるなどと謳っているのもいい。元々は 24/96 のみ受け付ける PCM 音源用の製品なのだが、上位機種の USB まわりを移植して DSD を扱えるようにしたものらしい。元となる DAC-1 の評判も良さそうだし、これを購入することに決めた。メーカーに問い合わせると 100V での動作も保証するというし(届いてみたら 85V~124Vが動作範囲であるらしい)。早速注文したところが、アメリカから4日で届いてびっくりした。なおオプションの femto グレードのクロックも搭載している。

ラックのスペースに余裕がないので当座 SACD プレーヤの上に置くことにしたが、もともとゴム足がついていたりしてその辺はあまり気を使っていないようだ。筺体の立派さ自体は DA160 の方が上だが、これも安っぽくはない。

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フィルタの設定などもいじれるようではあるがここではデフォルトのまま暫く使うことにする。その他接続や設定に戸惑う要素はない。早速手持ちの DSD 音源を Audirvana Plus で再生してみると、音が硬え!DA160 が比較的柔らかめな音だったこともあって、これにはちょっと驚いた。尤も、メーカーが言うにはバーンインに200時間かかるとかであり、当初は多少 harshな音であるという。しばらく使っているうちに、こっちの耳が慣れたせいもあろう、音がほぐれたように感じられてきた。分離が良くて帯域の誇張もない。なんというか、きわめて透明な水の中の音を聴いているような雑味のなさが印象的だ。ES9018 というのは極めて Hi-Fi なチップなのだという一般的な評価だが、さもありなん。現状ではまだスネアのアタック音が強調されているように感じられるところもあって、この辺が時間とともにどうこなれてくるかを改めて評価すべきではあろう。しかし、かように先端的なデジタル技術によって造られた製品を自作の球アンプにつないで挙句に大昔の JBL のユニットで鳴らしているのだから我ながらよくわからないことをしている。