NL-50 シングル

最近以前作ったアンプをメンテしたり改造したりしているのだが、6C-A10 シングルは今ひとつなので解体して生まれ変わらせることにした。シャーシをイチから作るのは面倒だしソフトンの OPT ももったいないのでそれを活かすことにして考えたのが NL-50 シングル。
NL-50 はだいぶ前に譲ってもらったもので、以前 300B とのコンパティブルアンプを作ろうかとも考えたのだが放置していた。そもそもこれも謎の球で、見た目は Cetron の 300B そのものだから多分殆どのパーツは 300B なのに 50 という型番からすると 50 に近い球にしようとしたものらしい。売ってるのも Richardson じゃなくて National Electronics だ。フィラメントも 7.5V とはなっているがどうも 6.3V のほうが適切だとか、計測すると50 とは似ても似つかないとかやはりよくわからない。以前 300B の内部抵抗三割増しくらいだという話を聞いたのと、20年位前の MJ に実測した記事があるのでそれを参考にして、だいたい Ep=340V、Ip=60mA、バイアスを -60V くらいに見当をつけて設計したのがこちら。プレート損失の上限が 25W だからその80%ほどになるのでいいところではないか。自己バイアスだけど安全のためにグリッド抵抗は 121k に抑える。電源トランスだけノグチの PMC-170SH を買ってきた。
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前段は 6SN7GTB の二段という、直熱三極管シングルとしては平凡な構成で、軽い負帰還をかける。実際に作ってみるとほとんど設計したとおりの電圧に落ち着いたので一安心。完成形がこちら。
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測定してみると THD=5%で7W以上出ているのでびっくり。5Wがせいぜいだと思ってたから。OPT のインダクタンスが小さいので 20Hz 以下は歪が大きいけど、それでも 20Hz〜80kHz くらいはだいたいフラット。微分補正でピークも抑えられた。4dB ほどの負帰還をかけた上での利得が 25dB くらい。音はびっくりするくらいいい。分離がいい上に深みというか落ち着きというかそういうものが感じられる。VT-62 シングルとか、45 から変更した VT-52 シングルの延長上にある音で、やはり絶対的なパワーや低域の伸びを別にすれば直熱三極管シングルがいいんだよな。