201251・・・「洗練された散文」(新谷記)

大竹昌二の写真集を僕もデザインさせてもらったことがある。
大柄なモデルをグランドキャニオンに連れて行って撮ったものであった。
ジャネットといったか。鳥肌がたっているので編集者に聞いたら早朝の零度以下の
中でのヌード撮影だったという。たしかに野性的かつ自然ではあったが。

「洗練された散文のような味、これが大竹芸術の真価」という評はあたっている。
また「日本民族の西欧指向の権化」というのも。
でも僕にはどうもその大人の部分がよくわかっているとはいえない。
大竹の写真には踏み込ませない一線があるようで、深く惚れ込めないところがあった。
堀内さんが大竹と対象的に書いている秋山庄太郎も花の写真集を1冊
デザインを担当させてもらって感じたのは、彼には大竹にはない和風の情緒性があって
多くのファンに愛されたのがよくわかるのである。

談志の話から始めているが、談志の落語が良いとか掘内さんに聞いたことはない。
文楽志ん生、可樂は自宅でレコードを聞かせてくれたが。

↑長野県治部坂の別荘地で、倒産により閉鎖された美術館に放置されたままの
洗練されていない、けなげな彫刻というだけで、大竹にも写真論にも関係ありません。念のため。